02,格の違いを教えるそうです。
案内してもらった老人にこの世界について教えてもらった。
まずこの世界における階級、種族とは?だ。
階級は魔力量、剣技などの戦闘技術、判断力、思考力、精神の強さで決まるらしい。
全ての項目でその階級の基準値をクリアしたら、昇格できるらしい。
分かりやすくまとめるとこんな感じだ。
第1位階→この世界で最下等種族である人間種は、この階級より上へは昇格出来ない。
第2位階→人間種の1個上の種族であるオーガ、ゴブリン等の、この世界の大半の魔物はこの階級が限界。
第3位階→悪魔、天使といった肉体を持たない種族がこの階級あたり。
第4位階→竜種といった普段はお目にかかるのが難しいレアな種族がこの階級あたり。
第5位階→勇者の称号が与えられた者がこの階級に属する。だが、勇者不在らしい。
第6位階→魔王がこの階級なんだとか。いるんだかいないんだかわからないそう。
第7位階→この世界を創造したとされる唯一神オルハラがこの階級だそう。
第8位階→この階級の存在は信じられているだけで、到達した者がいない為実際はどんなものなのかは不明。
この世界に来る途中に聞こえたあの声は唯一神オルハラだろう。
実際に会ったことはないが、だれかを転生させることなんてできるのは神ぐらいしかいないだろう。
唯一って言われてるし。
しかし、その神は第9位階魔法というのを使っていたから、第7位階とかではないのだろう。
おそらく、第9位階。
ま、神と対立することはないと思うけどね。
こんな素敵な機会を与えられたんだから、感謝しかないよ。
それに俺第8位階だから世界最強みたいし!
あと、さっき見た落書きからもわかるように、人間種はほかの種族からは大変な差別を受けているようだ。
そして強さについて。
魔法やスキルというのは自分が実行するよう念じれば発動するらしい。
経験値と呼ばれるもの、つまり実績を積んでいけば自然と使える技は増えて、無意識的に「あ!新たな魔法を習得できた!」とわかるのだとか。
なんとも便利な世界である。
世界地図を使ってこの世界の情勢についても教えてもらった。
所謂、第2位階に属する魔物が国のリーダーを務めていることが多く、国民は魔物、そして奴隷が人間種というわけなのだそう。
しかし、長年の世界大戦により国、民は疲弊し、人口も減少したという。
この世界のことを大雑把に説明すればこんな感じ。
「おじさん、色々教えてくれてありがとう!」
「いきなりこの世界について教えてくれって、なんか今日は変なリエラちゃんだね。」
今の会話からもわかるように、俺はリエラという少女の肉体を拠り所としているらしい。
しかし、リエラという本来の魂はどこに....?
すると、何やら外で、悲鳴が聞こえてきた。
「お願いです!!せめて子供だけば――――グハッ、ヴ・・」
「ギャハハハ!人間どもは生きる価値なんてねえんだよ!!」
「お前らは奴隷になるしか役に立てねえんだよ!!」
「ハッ!すぐに死にやがる!ほんと貧弱だよな!」
何事だと思い、恐る恐るドアを少し開け外で何が起こっているか確認した。
「ちょ、リエラちゃん!危険じゃ!オーガの奴隷狩りは見つかったら終わりじゃぞ!」
「わかってるよ、おじさん」
人間が屈強なオーガたちに暴行されている様子が目に入った。
女、子供関係なくだ。
略奪、そして奴隷として売るために馬車の檻へと連れ込む。
抵抗した者、即ち、死。
思った以上にこの世界は深刻のようだ。
いくら、「暴虐の王」と呼ばれていた俺でも、自分と同じ誇り高き人間種とやらが、こうも虐げられているのを見ていると沸々と怒りがわいてくる。
だが、自分はあいつらを簡単に殺せるとも体で分かっていた。
無意識に第8位階魔法「瞬間移動」の存在が浮かび上がる。
「ほう?これを使えと?いいだろう!第八位階魔法『瞬間移動』発動!」
一瞬にして目の前の景色が変わる。この戦闘において最も最適な地点に移動したようだ。
そして、俺は調子に乗ったオーガどもにこう声を掛けたのだ。
「おい、そこの下等な生物。」
俺は低い声で、そして冷徹に言い放つ。
「あ?なんだてめえ?人間のくせに。しかもガキじゃねえか!生意気を通り越してもはや傑作だなww!」
「ガハハハハハハハハハハハハ!」
下等な生物たちが喚く。
「おい、誰に口をきいている。第8位階に向かってその態度とは。貴様らがこの私と会話をすることさえおこがましいというのに。貴様らは普通に死ぬだけでは満足できぬようだな。」
「????ブ、ブハハハハハハハ!え?え?何言ってんのこのガキww人間で第2位階以上とかありえないでしょwwそれに第8位階とかこの世に存在するわけないだろーがwwギャハハハハハハハハハハハハw」
オーガは笑う。
無知とは恐ろしいものだ。
「ハハ!おい皆、こいつ死ぬだけじゃ満足できねーってよw!!」
「ああ。久しぶりに殺し甲斐があるやつが現れ―――――」
すでにオーガの首2つは俺の手元にある。
「??????どういうこ―――――」
首もう一つ追加。
そろそろ自分に"死"が迫っていることを本能的に悟ってもいいころだが...まあ下等な生物だから無理もないか。
「いったい何が―――――!?」
また一つ、そしてまた一つ。
こうしてこの集団のボスと思しき1体を残した。
なぜ最後にボスを残したかって?
そっちのほうが面白いじゃん。
はい、俺の歪んだ性格が垣間見えたところで、フィナーレ。
「無知なお前に特別に知恵を授けるとするか。」
「ひいっ!?」
オーガのボスは怯えているようだ。
「俺の固有スキル『世界を統べる者』の特性の一つとして『掌握する者』というものがある。」
「だ、だからお前は何を言って!?―――――」
俺は構わず説明を続ける。
「その効果はこの世界に存在する物質すべてを、俺の手中に収めることができるというものだ。そして―――」
目の前の下等な生物はどうやら理解が追い付いていないようだ。それもそうか。下等な生物であるがゆえに脳みそも発達していないようだから。
「俺が首を手に収めると同時に第8位階魔法『無理世界創造』を発動し、貴様らの魂をこの有理世界とは違う無理世界に幽閉した。これでお前らの魂、つまり意識は贖罪する感情とともに永久に闇の中というわけだ。まあ、貴様の脳みそでは決して理解することもできないだろうがな。」
ようやく自分に危機が迫っていることに気づいたボスは俺にこう懇願した。
「お、お願いします!ど、どうか命だけは!そ、そうだ、お前の、いや貴方様の奴隷にさせてください!!」
「その必要はない。第8位階に殺して頂けることに感謝しながら死ぬことだな。最も、殺すと言っても精神もだかな。」
「やめ---------」
首は俺の手中。
貴様らは無理世界で一生贖罪するがいい。
様子を怯えながら見ていた住民たちは安堵する。
と、同時に人間種の希望が現れたことに歓喜する。
そして第8位階という存在に対し納得と驚愕、そして畏敬の念を抱く。
俺は檻から沢山の人々を解放した。
暖かいメッセージありがとうございます!
テンポが速い方なので楽しめかと思います!
次回も楽しみに