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くだらない。

作者: 上津地 鉄平

 ただ思いついたことを書き殴っただけです。

 ああ、俺もう死ぬのか。でもどうか少しだけ、俺の物語を語る時間を神様ください。


 始めて物心ついた日私は、なんの変哲もない部屋にいました。母も父も、その部屋にはいません。

 ただただ、私は何なのだろうと思っていましたが。そこに母が現れます。


「おはよう」


 突然おはよう、というものですから、私もおはようと返しました。私はまず母に尋ねます。


「ここ、どこ」


 母は優しく笑いながら。


「あなたのお家よ」


 と言いますが、私にはよくわかりませんでした。私には、お家という意味がわかりません、ただここにいる、あれが母親、それ以外のことはわかりません。


 ですが、段々と日にちを重ねるごとにわかるものもあります。


 数日後、私は初めて外に出ました。

 お家の外には、こうえんが近くにあり、それはとても興味深い光景でした。


 今まで、おかあさんとおとうさん以外の生き物を見たことがありませんでした。

 しかし、こうえんには不思議な姿をした生き物がいます。

 六つの足をもつものから八本の足をもつもの。私とおかあさん、おとうさんは足が二本で形が全く違います。誠に興味深く、ずっと眺めていても飽きないものです。


「ここがこうえん」


 と私は尋ねます。おとうさんは仕事が忙しく、よるのろくじになるまで家に帰ってこないのです。そのため、母に尋ねます。


「そうだよ、ここが公園(こうえん)


 おかあさんは、そう言いオレンジ色と白色の椅子に座ります。私も座りますが、この椅子は色ごとに肌触りが違うのです。


 私にはわからないことばかりです。何故、肌触りが違うのでしょう、それどころか、冷たさも違います。


「どうして、さわったときのがちがうの」


 尋ねる私の言葉は不自由で、知っている言葉から必死に考えます。

 ですが、おかあさんは不自由な私の言葉を直ぐに理解し、応えてくれます。


「それは、材料(ざいりょう)が違うからだよ」


 ざいりょうとは、なんのことでしょう。私は首をかしげます。


「ほら、さわったときのちょっと違うでしょう、これは材料(ざいりょう)が違うから、材料(ざいりょう)は、この椅子の前のもののこと」


 おかあさんは、必死に私にわかりやすくしようとしていますが、よくわかりません。


「たとえば、これは木でしょ、この木はあなたのタンスの材料なのよ」


 なるほど、と納得しおかあさんの指差す木を見ます。タンスは木でできていると聞いていたので、大体のニュアンスでわかりました。

 私は様々なものに疑問をもちました。これは何なのだろう。その疑問が私を動かしていきます。

 疑問はおかあさんによって解き明かされます。そんな私は新たな知識を得ることに喜びを覚えました。その他にもテレビと呼ばれる面白い箱に私は出会います。

 家に帰った私は更なる疑問を得ます。


「この箱はなに」

「それはテレビよ」

「てれび、なにそれ」


 おかあさんは手に棒を持ち、ぽっこり飛び出たものを押します。するとてれびは光り、なにかが現れます。

 それは人です、人がそれに映し出されているのです。私は中に人がいるのでは、と手で触れます。しかし、いくら触っても人には触れません。


「こら、画面(がめん)を触っちゃだめ」


 おかあさんは注意します。なんで、と首をかしげる私におかあさんは言います。新たな疑問です。


画面(がめん)が汚れちゃうでしょ」

「がめん、てなに」

「光るところよ」


 手を話すと画面は汚れていました。注意されたことについての疑問と、画面についての疑問が解き明かされました。

 注意されたのはいい気分ではなかったのですが、また新たな知識を得て喜びを感じます。


 疑問に溢れた日常が続きます。疑問は加速します、テレビは常に疑問を生み出しました。何故テレビに人が映るのか、それは電波を受信しているから。何故テレビはリモコンに反応するのか、電波を受信するから。


 私は電波に疑問を感じます。それは見えないものだと言われましたが、見えないものなど信じられません。おかあさんは大人になればわかると言いました。


 きっとおかあさんにもわからなかったのでしょう。疑問に対する初めての敗北です、とても悔しくて悔しくて、私は泣き出してしまいました。自分の無力さに自分の無知さに只々、悔しさ怒り憎しみ残念様々な感情が私の頭の中で飛び交います。


 こんな顔、おかあさんに見せられない。私は顔を隠して泣きます。おかあさんは慰め謝罪します。

 ですが、私が悪いのです。何も知らない私が。


 嗚呼、悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい。


 なんて惨めで無様なのでしょう、私は最高にかっこ悪いのです。私はテレビに映るヒーローに憧れていました。ヒーローは常にかっこよく泣いたりしません、ましてや敗北などもってのほかです。


 ヒーローはめげません、どんなときでも。しながら私はおかあさんがわからないのなら仕方がない、と諦めてしまいました。それがとても悔しく哀れなものだと思いました。


 何故諦めたのか、自問自答が続きます。何故諦めたの、ばかだから。何故ばかなの、なにもしらないから、なんでなにも知らないの、それは。


 そのうち、私は泣き疲れて寝てしまいました。私はおかあさんから科学者になりなさいと言われます。


「科学者になればわからないことがわかるのよ」


 それは夢のような話でした。絶対に科学者になろう、と私は誓います。誰に、それはもう一人の自分です。

 私には二人の自分がいます、一人は疑問の自分。もう一人は答えを求めだそうとする自分です。


 私はおかあさんから貰うものは、何でも美味しいと感じました。もう一人の自分は、そんなに美味しいか、と尋ねます。

 私は本当はそれ程美味しいものではないのですが、美味しい。と答えます。


 答える自分と尋ねる自分。二人の自分はこれからどんどん、複雑に絡み合って行きます。どんどん、どんどん、滑稽に馬鹿らしく惨めに絡み合って行きます。


 私はテレビに映る、教育テレビ番組にハマっていきます。それは高校生や中学生、と物心がついてから、数ヶ月しかたっていない私には難しいものを理解しようと戦います。

 テレビは、尋ねる自分と答える自分の両方の役割をしてくれます。ですが、その代わり理解する自分が生まれます。


 それは、答える自分とくっつき融合し混ざり合います。答える自分は理解しながら答えます。次第に尋ねる自分も混ざりあっていきます。


 やがて自分は一つになります。戦いは、番組の時間になる度に訪れます。やがて理解し知識となります。何度敗北しても諦めず、違う知識と掛け合わせ、理解しようと奮闘します。


 それは続き私は歳をとります。それは、幼稚園に行くことを意味しています、私の親は私をようちえんに行かせようとしていました。

 私は親に言われた通りにようちえんに行きました。


 ようちえんに行くことに私はわくわくしていました。ようちえんとは何なのだろう、新たな知識と疑問に溢れているのだろうか、行けば全ての答えがでる。

 私にとってようちえんの疑問は、行けば勝手にわかる、なにも考えずにわかる初めての疑問でした。


 私はようちえんを知って落胆しました。まさか、ここまでつまらない場所だとは思っていませんでした。

 周りにいる子供は全員馬鹿ばかりでした、先生も簡単な疑問には答えられますが、難しい疑問には答えられません。


 テレビで得た知識は、周りの持っている知識の量とは比べ物になりませんでした。なにも考えず遊ぶ馬鹿を見て、私は軽蔑し嘲笑します。


 私の友達は幼稚園にある、図鑑や辞書だけでした。字が読めないものですから、先生や親から教えてもらいながら読んでもらいました。


 私は何時も幼稚園の図書室に籠っています、ここしか居場所がないのです。

 先生には変わった子供だと言われました、私から見れば新たな知識を得ようとしない馬鹿共が変わった子供だと思いました。


 そして、私は苛められます。馬鹿共は頭が悪く、何時も外で遊ぶ者ですから。力が強く友達も多いのです。

 友達も力もない私は、太刀打ちができずに苛められます。先生には見えない所で馬鹿共は苛めてきます。


 馬鹿共は何時も叱られているので、とてもずる賢いのです。私はずる賢い知識で負けています。

 それが悔しく悔しく、親や先生に言います。先生は軽く叱りますが、馬鹿共はへっちゃらな顔をして苛めてきます。


 親に言ったところ、先生に掛け合ってくれました。先生はあの子達がそんなことをするなんて信じられない、と言いました。


 ずる賢い馬鹿共は、先生の前では従順な子犬を演じていたのです。先生が叱るときでも言い訳をし軽く叱られるだけに、して逃げている馬鹿共は、親の登場によってこっぴどく叱られます。


 馬鹿共は、仕返しに懲りずにまた苛めてきます、これが永遠と続く幼稚園生活でした。


 私は小学校へ進学します。今度は色々学べる、と聞いたので私はまたわくわくしていました。

 しかし、これもまた落胆させられました。

 小学校の間で私の性格は変わって行きます。前の幼稚園では苛められたので、面白く馬鹿らしい性格へと変わっていきます。


 それはただの道化の真似でしかない、つまらないものだ。


 出るものはどれも簡単だ。学年が上がっても上がっても、どれも簡単で泣き出しそうになった。

 小学六年生辺りから、疑問の自分が復活した。疑問の自分はこう尋ねる。


「こんなくだらないものに時間を裂かれていいのか」

「言い訳がない」


 俺は即答。何時も図書室に籠もり辞書や図鑑を読み漁る毎日。

 数学など簡単で反吐が出る。その割には数学に関する本が少ない、こんなものよりテレビを見ていた方が何倍も楽しい。


 俺は、授業中サボりふざけ道化の真似事をし、人気者になった。

 テストはどれも百点だ。先生はふざけている割には点数が取れていると驚いていた。


 それはそうだ。どれも小さい頃に覚えたものばかりなのだから、点数が取れない筈がないのだ。


 道化を真似る愚かで滑稽な俺に付き纏う、もう一人の俺。それは俺に道化の真似事が楽しいか、馬鹿じゃないのか、と耳に痛いことばかり言ってくる。


 俺が黙れ、と言っても黙らないしうざったい。


 そんな俺に、一人の友達ができた。そいつは鉄平。唯一の俺にできた友達だ。そいつは馬鹿だが、人の心を読み取ることに異常に優れていた。


「お前、無理してないか」


 俺に疑問を問いかけるあいつに、俺は疑問で返した。


「は、どうしてそう思うんだよ」

「お前ずっと何かを演じているみたいだ」


 それを聞いたとき、興奮がこみ上げてきた。誰も俺にそんな疑問を問いかけるやつなどいなかったからだ。


 俺は、ある疑問を手に入れた。何故あいつは人を見破ることができるのだ。

 俺は知らなかった、俺は人の気持ちなどわからなかった。ただ下ネタを言っていればウケた。それを続けていただけだった。


 俺はそいつと仲良くなったのだ。親友になり、何でも相談した。そして奴の人を見破ることができる理由を探した。


 ゲームも遊びも勉強も、何をするにもあいつと一緒だった。でも答えは出ない、違う出ているが認めたくない。


 俺とあいつは根本的に違うのだ。俺には優しさがない、人と触れ合わず一人でいた俺に対して、あいつは人と関わり、人を思いやる優しさを持っていた。


 それが、見破る力の理由だった。なんの知識にも本にも載っていない、知識ではないそれは筋力のような力だ。


 あいつは人の表情だけではない、仕草や口調、目など様々なところから人を見る。

 俺の持っている知識では感情が精一杯だった。ちょっとした仕草から読み取れるあいつは、もはや超能力ではないのかと俺は錯覚した。


 俺は、中学に上がり。あいつとは離れ離れになった。


 つまらない、つまらない。あいつがいなければ只々つまらない。


 どれも簡単だ、全てうまく行く。でも人間関係においては、俺よりも強者がいた。

 成績はいいが喧嘩の弱い俺は、他校から入学した奴らに苛められた。


 嗚呼、つまらない。もう一人の俺は、苛められる俺に無様だと言った、そして質問した。


「お前の知識など無駄なゴミクズだ」

「黙れ」


 腹が立った、俺の知識が馬鹿にされたのだ。


「お前に問おう、生きてる意味はなんだ」

「知識を得ることだ、科学者になることだ」

「馬鹿馬鹿しい、知識など持っていても無駄だ」

「何故そう言い生きれる」

「お前は苛められる。人と関われないからだ、苛めをそのお得意の知識でとめられるのか」

「今を乗り越えればどうにかなる」

「科学者になってどうする」

「は」

「人間の愚かさはお前が一番知っている」


 訳がわからない、何故いきなりこんな話になったのだ。


「それがどうした」

「こんな世界に生きて、謎を解く。謎解きは楽しい、がこの世界に生きてなんの得がある」

「知識を得ることだ」

「その楽しさ以上に苦痛の方が大きいだろう、お前が鉄平を追いかけていた理由は孤独だったからだ」

「何が言いたい、黙れ」

「寂しい、寂しい。だからお前は鉄平の力を欲した」


 寂しい、それは俺の小さい頃から感じていた劣等感。俺のことを理解してくれた鉄平。だがあいつは今いない、苛められ寂しくて俺は。


「お前は孤独だ、人と本当の自分で話せない。お前は誰にも理解されない変わった子供だ」

「俺には、知識を欲しないあいつらが変わった子供だ」

「そう、思い込もうとしただけだ。友などいない。一人で寂しい俺だ」

「じゃあどうすればいいんだよ!!」

「死ねばいい、お前はずっと思っていたなにも考えずにいれる世界が欲しい」

「違う」

「人は愚かだ、誰かを蔑み優越感に浸ることしかできない」

「うるさい」

「お前も例外じゃない。そんな自分が嫌いだった、認めたくないが自殺願望がお前にはあった」

「もう、やめてくれ」

「生きるなど非合理的だ。生きてても辛いだけだ」

「辛くなんかない」

「強がるな、お前の弱さは俺が一番知っている」

「滑稽だ」

「ああ、自問自答して苦しみ泣き出す。滑稽だ」


 涙が溢れる。今まで隠していた無理をしていたものが涙と共に溢れ出た。


「もうやめにしよう」


 そこにあった、カッターを手首に当てながら。


 さようなら。

 深夜に書いたので超眠い。

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