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歪んだ愛の果てに

スプラッタシリーズの作品ですが、念のため。

「お前が章一か。俺をこんなとこに呼び出して何の用だ?」

「いえね、渡辺さんに集会に誘われた時に他の皆さんの事を聞いたんです。その時に白沢先輩の事も教えていただいたので挨拶でもと…」


章一は笑顔でそう言うと、俺に飛びかかり馬乗りになった。

そんな展開を予想してなかった俺はバランスを崩したもののすぐにつかみかかろうとした。


「てめえ! いきなり何し…」


しかし、一瞬で俺は青ざめた。

章一が俺の首筋にナイフを突きつけていた。


「どうしましたか? 動いたら首がなくなりますよ」

「ふざけてんのか…」

「本気ですよ」


俺の体は震え、それでも章一を睨み続けていた。

章一は笑顔を消さずに話し始めた。


「白沢先輩は覚えていませんよね。でも、僕はあなたに恋をしていたんです。学校に入学したばかりの頃、こんな僕にもあなたは部活の勧誘をしてくれました」


俺は余計に頭を混乱させていた。


「…何が言いたい。俺は男だ。それに本当にそう思ってるんだとしても示す態度がおかしくねえか?」

「僕はとても独占欲が強いんです。欲しいものは必ず手に入れたい、誰にもとられたくないんです。手を繋いでもキスをしても体を繋げても、あなたが僕だけのものになるとは限らない。だから…」


章一は薄気味悪い笑みを浮かべ、言葉を続けた。


「僕なりのやり方で、あなたを愛します」


そう言うと、章一は俺のシャツをめくった。


「おい! やめろ…!」


体型でも力でも章一の方が劣るが、言いしれぬ恐怖で俺は全身が強ばっていた。

そして、俺の胸にナイフが刻まれた。


「ッ…ぐあ…いてえ…」


電流のように体に激痛が走った。

傷口からは血が止まらず流れ出てくる。

見ているだけでも痛々しい光景に、章一は歓喜した。


「こうやって印をつければ、白沢先輩は誰のものにもなりませんよね?」


章一はそう言うと胸や腹、両腕に容赦なくナイフを入れた。


「っ…あ…章一…やめてくれ……ぐあ…うぅ………痛い…」


苦痛に呻く俺の目からは涙がぼろぼろと落ち、血塗れの体に走る激痛で正気を保つのもやっとの事だった。


「これで僕以外の誰にも白沢先輩は体を見せられませんね。傷もずっと残っちゃいますから…」


傷を刻むのを忘れずに淡々と話す章一を俺は睨んだが、前がぼやけてよく見えない。

すると、章一は俺の脇腹に両手で体重をかけた。


「うっっ!! しょう、い、ち……」


ちびっこい身体にしてはすごい力だ。

激しい吐き気が俺を襲う。


「おぇえ…!!!…げほっ、うえ゛っ……!!」


俺の口からドロドロしたすっぱい内容物が溢れ出た。


「…く……っ……は…ぁ…」


もはや叫ぶ力も残されておらず、ほとんど意識を保てていなかった。


「白沢先輩、心配しないでください。こんな姿になっても僕はあなたを愛します。いや、こんなあなたを愛してくれるのは僕だけなんですよ…? 理解出来ますよね」


脳に微かに響く声に、もはや怒りも怯えも感じなかった。

俺は小さく首を縦に振り、そのまま気を失った。


章一は傷口にあてがわれたナイフを手放し、その血を舐める。

満足そうに微笑むと、俺に聞かせるように静かに言った。


「明日も明後日も…毎日僕が愛してあげますよ」

その後、涼太は二度と帰ってこなかった………。

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