序章 -5-
「おい、しっかりしろ。」
希は、要盛に振起された。
正気を取り戻した希は、まじかで要盛を見る事で、初めてきずいたのだが、要盛は、将軍にしては、あまりに若かった。
希と変わらない年のように思えた。その立ち振る舞いや凛とした声が彼を大きく見せていたのだ。
・・・か、かっこいい・・・
若くして、国のトップ。
整った顔立ちと洗練された身の振る舞い。
やさしいし、きっと優秀なんだろう。
小泉さんもダンディーで好きだったけど、若い将軍もいい!!
ビジアル的にかなりいい!!
ファンになりそう・・・・(惚)
希は、ミーハープリを前面に発揮した。この際、おさへの大人げない対応は、記憶から抹消された。
「まったく。お前は何しに来たんだ。ほかに言うべきことがあるだろうに」
要盛は、ため息混じりに本題を促した。
「今夜、江戸の結界楔の一つ『火の社』が破壊されたの」
「ああ、こちらにも先ほど連絡が入った。」
「残っている楔は、5つ。江戸を支えるには、きりきりの数よ。後一つ、やられたら、結界は、崩れる。この江戸でこんなふざけたことできる人がいるのか?目的は何か?わかんないけど。今、希をかの国に送らなければならない時期に、円陣を作って結界に負担をかけることは危険だと思うの。今、伝令を出して、緊急配備しているからしばらくは、犯人も動けない思うけど、長くは持たないし。犯人を捕まえないとこには危険だよ。戦・・・なるかもね。」
「で、おさ。お前は、どうでる気だ?」
試すような質問に、おさは、瞳に意思を写して言った。
「希をすぐかの国に帰す。結界の問題は、こっちの問題だから。」
不安そうな希に、おさは、言った。
「希、富士山に行くよ」
「え?!」
「事情が変わった。観光、ごめんけど。無理になった。これから、富士に行くよ」
「おさ、お前が行くのか・・・」
「ごめんね。要ちゃん。でも、希を巻き込むわけには行かない。富士なら結果にに負担をかけずにすむし、私一人で何とか、希を帰せる。富士は、国が分かれた場所。かの世界ともっとも近い場所だから。それに、半日なら私がいなくても、江戸は、私の部下で抑えられる。心配しないで」
一呼吸おいて、要盛は、しぶしぶ言った。こんな顔つきのおさに、もはや何を言っても無駄な事は、経験上わかっていた。
そして、最良の判断である事も。
馬鹿なくせに、いつだって、土壇場の判断は、間違えない。
長とは、そういったものだった。
「一日ぐらいは、何とかしてやる。希を頼む。希、一時であったが、出会えた事を幸運に思う。」
要盛は、笑顔で希に言った。そして、おさと目で合図を交わした。
「ナイス☆要ちゃん!! では、いってきまーすー!!」
元気よくおさは、返事をし、要盛は、無言でうなずき部屋の中にはいていった。同時に、おさは、希を来たとき同様に、抱え込み、地上30メートルの天守閣から飛び降り他た。
又、この展開なの〜〜〜ぉ!!!
抵抗する隙さえ与えられず、悲鳴は、むなしく夜の江戸に吸い込まれていった。
のちほど、再び希の体調が悪化したことは、言うまでもない。