第二幕-2-
今回は、長いおまけが広範にあります。
完全にお笑い系です。
本章に笑いが少ないので、ここだけでもバカなものを入れてみました。読みきりなので、いきなりここからでも十分楽しめます。どーぞ。
「・・・・と、いうわけで。要ちゃーんー!!アイヌ王国の王様に紹介状かいて〜〜!!」
犬のように要盛にじゃれ付くおさに、なかば迷惑そうな表情の要盛は、希へ視線をむけてきた。恥らう乙女どころが、駄々っ子の様相に、希も言葉がなかった。
「おさ、この一大事だからこそ、お前が江戸から軽々しく出るのは、国防上由々しき問題出だと思うが」
と、要盛がしがみつくおさにいった。
要盛のすそが重くなるのを感じた。
こういう話は、おさには、まだ重いと思っている。
年齢もそうだが、それ以上に国に縛られない【おさ】に国を意識させる事は、両手に足かせするようなものだろう。身動きがしにくく、ひどく窮屈な。
「もう、要ちゃん、頭かたいな〜。そういうの【灯台下暗し】っていうのさ。近くの危険性もほっとけないけど、その先に世界滅亡が潜んでるんだよ!!今、江戸を守って、1年後とかに世界崩壊しちゃったら意味ないじゃん。」
(おさちゃん・・・・【灯台下暗し】の使い方・・・違うよ)←受験生なので敏感
「んで、その崩壊についてお前はどう思う?」
要盛は、言いなり真剣な顔をしておさに尋ねた。
「要ちゃん。私は、【すめらぎおさ】。やるべきことは、世界の秩序と安定を守る事。どうして、このまま動かないでいられるの?」
その言葉と表情から事の重大性を要盛は読み取った。
【世界の崩壊】どうこうは、正直、要盛には、判断できない情報であり、江戸を取り仕切る【お庭番の長】が江戸を出る事方が、現実的な危険性がある。
しかし、
要盛は、知っていた。
おさのここぞというときの判断【勘】は、結果論ではあるが常に最善であることを。
【すめらぎおさ】とは、そういうものなのだ。
彼女が、若くしてこの名前を背負っているのは、そういうことなのだ。
大きすぎる何千という人々の明日
決して、間違えられない選択を、託くせるもっとも信頼できる人として
彼女が、その判断をしたなら、要盛に残された選択と政策は、限られていた。
「心配しないで。それに、うちのお庭番の支部長達を甘く見ないでね。みんな、私より100倍しっかりしてるし。何かあっても、私がかけるけるまでがんばれる子達だから」
と、おさは、自慢げにいった。たしかに、こんなちゃらんぽらんな上司をもって、国の一大部署を取り仕切れる部下は、相当な精鋭集団に間違いはないだろうが・・・。
なににもまして、なぜ、トップが彼女なのか??に誰も疑問を持たないところが希は、なぞだった。しかし、その答えは、もう少しあとに分かる事になる。
「まあ、いいだろう。」
要盛は、言った。おさと希は、やったーと手を取り合った。
「しかし、おさ、おまえちゃんとわかっているんだろうな??この時期に、アイヌ国にいく事の意味を?」
そうおさは。要盛に聞かれ、まっさらな脳みそに「?」を出した。
「・・・・その顔は、わかってないみたいだな・・・・」
要盛は、ため息をつきおでこに手を当てた。
たしか、こいつ(おさ)は、地理と歴史苦手で授業中寝てるか、放課後のいたずら計画することに没頭してたな〜〜。こんなんで、今、アイヌ王国なんていったら・・・・
「遊牧民族のアイヌ王国は、その大陸いがい形を持たない。しかも、秋から次の春までの今の季節は、移動が盛んで、広い大陸にちりじりになっており、王の一行を探すのでさえ一苦労だ
。さらにいうと、王でさえそれなのに、一般人を探すなんて、ほぼ天文学的な確立になる。時期が悪いから、他の民族に対する交易は、春の時期のみだから、それ以外の接触は、下手すれば、皮はがされて、貿易商に肉片としてうられるぞ。」
「に、肉片!!」
人身売買をはるかに超えた恐ろしい光景に希は、頭が重くなった。
「た、確か、アイヌ王国の大陸って、江戸の1000倍以上あったよね??」
「おお、よく覚えてたな。またの名を【北の大地 北海道】。お前の大好きな銀鮭や毛皮が特産だ」
「ふふふ、まあ、実は、うちのおばあちゃんの妹のとねさんがアイヌ人に嫁いだので、毎年銀鮭送ってくれるんだよね。ありがたや、とねバーちゃん」
おさの好物【銀鮭】の入手経路が判明した。
そんな、経路を持っていたとは、要盛も以外であった。
「まあ、だから、災厄、強制送還ぐらいで、皮と肉は死守できるから大丈夫だよ、希」
おさは、肉片におびえていた希を励ますようにいった。
「だ、大丈夫。た、たぶん何とかなるよね?北海道、初めてだけど、札幌、旭川、函館・・・テレビで見た事あるし、選択科目で地理とってたし・・・・」
と、希は、おさたちにはわからない事をもじもじ言った。
「そ、それに、神さまがいる世界だもん。
Heaven helps those who help themselve.(天はみずからたすく物を助く)
運命だって、きっと私達の見方になってくれる!!(はず)」
希は、先週英語の授業で習ったフレーズを思い出した。
助かろうとするものに、神様が足蹴りして奈落のそこにけり落とすなんて事は、古今東西聞いた事ない(百十の王、獅子はやるらしいけど・・・・でも、まあ、それは、弱肉強食で、DNAが起こす悲しいさがよ)だから、この世界は、神さまとの距離が近い気がするし、なんとなるようにおもう。
「うん!!よく言った★」
おさは、うれしそうに援護射撃に入った希に笑顔で答えた。
「ってな事で、風は、私達に吹いてるって感じで、大丈夫!」
と、おさに満面の笑顔で言われてしまった要盛は、もはや何も反論が出来なかった。
(俺も弱気になってたかな・・・)
おさの前では、弱気な自分と対自させられる。退陣や勝敗を作れる自分は、けっして弱い人間ではないと思う。しかし、時として、おさのような無鉄砲なように見える一直線な思いに自分の後ろを見られているようにおもい、時にうらやましく、時として、自分がかたくなに思える。自分ももう少し思うように動く事も必要かもしれない。無駄とか勝敗とか考えずに、一身に思いを形に変える事も。
「それなら、出発は、早いほうがいい。準備を整えて、アイヌに出かけようか」
と、要盛の言葉に、二人は驚嘆し耳を疑った。
希は、うれしそうな笑顔で
おさは、苦重い表情で
「ま、まさか・・・要ちゃんもくるの??」
「仕方ないかからな。希一人じゃあ、お前の面倒みきれんだろう?」
「や・やさしぃ〜〜」
「(やっぱしっ)うわ〜〜、希も要ちゃんの面倒みきれないよ〜〜」
「って、事は、私が二人分の面倒をみるの???」
それは、結構めんどくさいことになりそう・・・・という、希の心の中で誰かが叫んだ。
「てか、要ちゃん、将軍って忙しいでしょ?!江戸から出たら大変じゃ・・・」
「俺が不在1・2ヶ月でつぶれる様なやわな幕府なんてつぶれてしまえ」
「@@@@@@@@@@@えっっっっ!!!!!」
超過激なんですけど!!!!
「うわ〜、また、適当なことゆってるよ〜」
「おさ、お前には言われたくないな。将軍なんて所詮、上の飾り物だ。下がちゃんとしていれば1ヶ月ぐらいなんて事はない。それに、今回、俺もお前を見習おうと思ってな」
不適な笑いにおさは、嫌な気がした。
「入ってこい」
と、要盛が呼びかけると、襖から誰か入ってきた。
「将軍・要ちゃんがもう2人!!!」
おさと希は、びっくりして唖然となった。入ってきた人は、姿かたちが要盛瓜二つであった。
「細胞分裂???」
「希、私は、実は、双子説が有力かと!!」
「おれは、原生細胞でも、双子でもない!!」
「んじゃ、どこぞの富豪が徳川幕府陰謀を企てて、要ちゃんそっくりロボで・・・」
「おさ、三流小説のような妄想は、そこまでにしなさい」
希は、要盛の見事なおさの裁きプリを頼もしく思った。
これなら、おさちゃんと一緒に旅できるかも????
「おさ、お前に見習って、【影武者】というものを日当で雇ってみたのだ」
(日当なんだ・・・アルバイトで「将軍職」・・・大丈夫なのか?徳川幕府も末なのかも?)
「業務は、沖田が上手くやってくれるだろう。もともと、この時期外交も少ないしな。その辺の会議なら影で十分事足りるだろう」
そういっている要盛を無視して、おさは、要盛の影武者をがん見していた。影武者は、冷や汗をかいている。
「(あやしい・・・)もしかして、あんた・・・」
と、おさが言ったとたん、影は、ガラッと印象を変えて、おさの前に跪いた。
「すみさせーん。おさ様」
「あ、やっぱり。あんた、いつからこんな副職してんのよ!!」
「えっ??おさちゃんの知り合い??」
「知り合いも何も、この子【重田 桂】って言って、お庭番の子だよ!!変装が得意で侵入や情報収集の仕事を主にやってもらってるんだけど・・・・」
と、おさは、桂のほうを見た。
「いや〜。偵察部今年度から、中央のあおりの付けが全部回ってきて予算限界なんですよ〜〜。日当いいんで、ついつい。すみませ〜〜ん〜〜」
「まあ、上司がこれ(おさ)だと、部下もいろいろ大変なんだろう。その中央のあおりの半分は、お前のクレーム処理費だと聞いてるしな」
と、要盛は、おさに最後の一撃を食らわした。
おさのHP残りわずか3。
どうするおさ!!
「そ、それに、希だって将軍がくっついてきたら気を使って、胃潰瘍に・・・」
「ぜび!!よろしくお願いします」(確かに、おさちゃんの手綱を引ける要盛さんは、頼もしい。しかも、イケメン。ばんざーい)
「こちらこそ」
(希の裏切り者!!!!)
おさ、HP0.
完全敗北。
そして、一見へんてこ3人組ではあるが、実は、国の将軍(日本で言えば、総理大臣)、隠密お庭番衆おさ(国防長官)と異世界少女(受験生)のとんでもない、VIPな三人の仲間探しのたびが始まろうとしていた。
そして、その前に、
一度、本部に帰ったおさと希に、一日中江戸城下を探し回っていた沖のお説教が待ち構えて、さらに、旅に出るという事で、本部が未曾有の大混乱になってしまったのだった。
*************************************************************************************【おまけ「ひとり言」】
希「ねぇ。そういえば、おさちゃん、要盛さんにちゃんとお土産渡したの??」
おさ「え?渡したよ」
希「うそ!!そんなところぜんぜん見なかったんだけど。いつの間に?!」
おさ「ははは、そこは隠密お庭番おさ!!!抜かりなく★
ほら。上↑みて。7行目ぐらいに【要盛のすそが重くなるのを感じた。】って、あるでしょ??あのときの、こっそり仕込みました」
希「?!ま、マジで?!?!?」
(本当に、すそ重くなってたんだ・・・・ってか、こっそりプレゼントって、意味あるんだろうか??そんなところに隠密の技術生かしても不毛だよ」
おさ「要ちゃん、びっくりするだろうね。そして、私に泣いて感謝するだろう〜♪」
希(・・・・それ以前に、おさちゃんからだってきずくかな???」
そのころ、江戸城では・・・・
要盛「!!!!裾に見知らぬ風呂敷が!!!」
沖田「ま、まさか、将軍のお命を狙う刺客の仕掛けた罠なのでは!!」
家来1「であえ〜であえ〜!!城内に潜む御将軍のお命を狙うふととぎ者をとらえるのだ〜〜!!」
家来2「なんと、見事な仕打ち!!敵ながら、我らに尻尾さえ見せない作業に天晴れ!!」
城内緊急体制発動!!
沖田「要盛様、どうか慎重に、風呂敷に御命を狙うなんらかの者があるやもしれません」
要盛「沖田、風呂敷を振るとなにやら硬いものが複数ぶつかる音が・・・」
老中「な、なに〜、音ですと!!若殿〜〜!!それは、音によって火花を散らし発火する爆薬やも知れませんぞ!!!」
沖田・要盛(ば、爆薬!!!)
老中「決して、落としては、なりませんぞ。落としたら・・・どか〜んですぞ!!」
沖田・要盛「ど、どか〜ん!!!」
家来3「一大事じゃ!!若殿がドカーンじゃ。ドカーンじゃ」
家来が、城内をそういって走り回る声が遠くで聞こえちた。
要盛「・・・・・沖田、俺は、この国の人々と江戸の御家人(社員)を将軍として守らねばならん。すまん。パスッ」
といって、風呂敷を要盛は、沖田に投げた。風呂敷は、また、カラーんという音が聞こえた。受け取った、沖田は、
沖田「うわ!!ひど!!私だって、家で待つかわいい妻子が私の帰りを待っていますので。老中パス」
老中「この、若造め!!わしに、人生の印籠を渡せるのは、将軍と妻だけじゃわぃ!!かようか弱い老人になんてたるしうち!!ちょっとは、いたわれ!!」
と老中は、要盛に風呂敷を投げた。こんなパスがしばらく続き、お互いにヒートアップしてきた。
老中「こんの〜〜。老いたとは言えど、江戸にこの日とありを言われたわしの右フォークボールを受けてみよ!!!」
要盛・沖田(伝説の老中フォークが来る!!・・・・・て、)
要盛「じー、駄目だ!!フォークは!!!
沖田「落ちるボールは!!!」
老中「問答無用!!フォークは、落ちるもんじゃ!!!」
要盛・沖田(駄目だ。完全に本来の趣旨わすれてる!!)
老中の放った、フォークボールは、見事に放物線を描き、落下した。
要盛・沖田(・・・・・どかーん?!!!!!)
バリーン!!!
要盛(え?!?!?バリーン??)
爆撃に備えて床に伏せていた、要盛は、予想していた衝撃の変わりに聞こえた音に恐る恐る目を開けた。
そこには、風呂敷から転がる色とりどりの飴玉が転がりだしていた。
要盛「・・・飴?」
要盛は、恐る恐る風呂敷を空けてみると、そこには、壊れたビンから飛び出した、砂糖が表面についたかわいらしい飴とハンカチが入っていた。
老中「命拾いしたワイ。いったい、誰が爆弾だと言い出したんじゃか」
要盛・沖田(おまえだよ!!)
沖田「これは、また、おいしいものが届きましたね。心当たりは・・・・」
沖田は、ニヤニヤして要盛に目線を送った。
要盛「・・・・まったく、人騒がせなやつだ。」
沖田「・・・ですね。でも、いい喧噪ですね。壊してしまって申しわけございませんでした。」
要盛「いや、誤解させた、あいつの無精さがいけないのだ。気にするな」
老中「青春じゃの〜、私の若い事も・・・」
沖田「老中様、続きは、あちらでお茶でも飲みながら」
要盛(沖田、ナイス!!)
老中のいつとも終わらぬ過去の栄光話から逃げられて、沖田に感謝した。
【表面に砂糖がついた飴】
それは、まだ、要盛が子供のころ。
おさとおきと三人で城下の夏祭りに行った時の話だ。
要盛は、屋台の飴屋の前で色とりどりの多種の飴が混ざって積み上げられている中で、この中に少ししか入っていない【表面に砂糖がついている丸い飴】を探して集めていた。
おさに食べさせるために周りの砂糖が光できらきら光るきれいな飴を集めていたのだったのだが、それを見ていたおさは、その真剣さから要盛の大好物だと今でも誤解しており、折々に贈ってくる。
今回も、何も書かれていないが、きっとあいつだ。
今回は、ちょっと気の聞いたハンカチも一緒に入ってるところを見ると、あいつもちょっとは大人になった見たいだった。
それでも、この砂糖飴は、自分とおさだけの秘密の思い出であり、特別であった。
なんどでも、きっと初めてのように心が甘い気持ちで満たされるだろう。
初めて、屋台の店先でおさから渡されたあの、一個の飴玉を貰った時のように。
次の日・・・・
家来4「おい、お前聞いたか?昨日の話?」
家来5「ああ、城内、その話で持ちきりだだぞ。」
家来6「なんでも、昨日、城内に怪盗Xを名乗る大玉に乗った男が乱入して、上様になぞの風呂敷を贈呈したとか」
家来4「は?俺が聞いた話だと、上様をはじめ側近が怪しげなどっちボール大会を内密に行い、負けたものが土管のって、堀井で寒中遊覧だって。俺は、聞いたぞ」
家来5「違う、違う!!お前ら何ってるんだ??俺が聞いたすじでは、上様が土管になる奇病を催されて、老中のエンドレス話を耐久戦できいているうちに、その対処法が見つかり、今朝から飴しか食べられない状態に・・・・・って・・・・え???」
家来達は、尾ひれ、はびれがつくまくって、もはや真実はどこかに行ってしまった話しを不審に思いつつも、我先にと披露しあっていた。
江戸は、平和だ・・・・
そんな光景を旅支度をととのへ城下へおりた、渦中の将軍【要盛】は、あきらめ気味思った。
おさ「よ!!要ちゃん、怪人Xの魔法の薬によって土管に変えられて、戻るためには、奇跡の渋茶が必要だって?!しかも、どっちボール大会の練習が出来ないからへこんでるって聞いたんだけど、もう立ち直ったの??」
希(・・・・明らかにうそっぽい噂が1日でここまで広がるなんて・・・しかも、おさちゃん信じてるし)
要盛「・・・・・」
要盛は、おさからもらった飴のびんを壊してもらったのが後ろめたく強く突っ込めない自分がいた。
要盛「こっそり渡したら、土産の意味がないだろう。次は、こっそりは通用しないぞ。」
おさ「あ・・・・。」
要盛「いい土産だ。ありがとうな」
のぞみ(・・・うわぁ〜〜〜!!男前くさ〜〜ぃ!!)
おさ「当然。昔からの付き合いだからね。要ちゃんの好きなものぐらい承知だよw」
そう笑顔で見上げるおさの顔をみて要盛は、微笑んだ。
もう少しの間、本当の【要盛の好きなもの】は、秘密でもいいかもしれないな。
一個ぐらいおまえより俺のほうが上手なものがあってもいいだろうしな。
きらきら光る砂糖の砂糖のように
すぐ解けて甘く香る
それは、すぐ明かしてしまっては、もったいないから・・・
(おまけ 終)