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ふたつめ
「コラ、起きろ!餓鬼共。」
腹部に感じた強烈な痛みと共に彼の意識は覚醒する。
「飯だ。ちゃんと分け合って食えよ?」
そう言ってニィと笑った髭面の男は小さなパンを一つ放り投げ、部屋を出ていった。
腹の痛みを堪え、慌てて床に落ちたパンを彼が拾うと白い埃が付いていた。
元々は使われていない部屋。床に埃が溜まっているのはおかしな事ではなかった。
付いてしまった埃を摘まみ取り、息を吹き掛けて細かい埃を落とす。
しかしそこは光の無い闇。
埃が落ちたか否かの確認が十分に出来る筈がなかった。
何故か怯えて動けないでいる2人の為にパンを3つに千切り、大きな塊2つを2人に差し出す。
一応受け取りはしたものの、食べようとしない2人。
彼は何とか元気づけようと2人のもう片方の手を両手で包み込み、ギュッと握り締めた。