今を捨てて、田舎で暮らそう。
「なぁ、今を捨てて田舎で暮らさないか・・・」
突然こんな言葉を投げかけられ私はどうしていいかわからなかった。
「俺さ、お前が居ればそれだけでいいんだ。だから誰も居ない2人だけの場所でのんびり暮らしたい。」
本当にこの人は突拍子もないことを言う。
私がどんな思いで生きているか、貴方と居る事ができるならそうしたい。でも・・・無理な願いなの・・・
「変な話だよな。でもさ、毎日会社に行って忙しく働いてただココに帰ってくる」
「そんな毎日に疲れたのかもしれない」
彼は天井を見上げたまま話し続ける。
「だからさ、誰も居ない場所へオマエと一緒に行きたいと思ったんだよ。」
彼は本当にズルイ。
私の身体が動かない事も、話す事ができない事もわかっていて
それでも大好きな彼と一緒に居たい。誰も居ない場所で2人で寄り添って生きていたい。
彼はそっと私の手をとり、指を絡めてくる。
「これからもずっと2人一緒だよ」