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第004話_初めての授業 後編

 整備士科で授業が行われている頃、演習場に操縦士科の生徒たちが集まっていた。

 広大なホールには、『アヴィオン』数十基がアームのような物に支えられて並んでいる。『アヴァオン』に対して生徒たちがそれぞれの期待と不安を抱いていると、軍服をまとったヴォルフ・アイアンサイド教官の怒声が響く。


「初々しい学生諸君(ひよっこ)、傾聴!!!」

「これからお前らひよっこどもが少しでも役に立つ傭兵になるためには厳しい訓練をこなす必要がある。俺から言わせれば実戦以上に強くなる方法は無いが、戦場では一瞬の判断ミスが死に直結する。この玩具(おもちゃ)を使って今のうちに百篇死んで来い!!」

 

 彼が説明するのは、A.M.E.A(アメア)が誇る最新のシミュレーターシステムだ。敵の動き、機体の損傷具合などをAIによってリアルタイムで計算・再現され、操縦士に選択肢を提示する。どの選択肢を選ぶか、どの程度成功したかなど総合的に判断され得点が出される。


「ふんっ、箱庭遊びなんて興味ないわ。早く実機に乗せなさいよ。それともセントラルじゃ戦いごっこをするのが流行りなわけ?」

 レナはポッドを見上げてつまらなそうに鼻を鳴らしていると後ろから嫌な声が聞こえる。


「あら、これだから貧困街(ガター)生まれの野蛮人の言葉は理解に苦しむわね」

 隣で腕を組んでいセシリアが冷ややかに笑う。

「実機を壊されては、学院の予算がいくらあっても足りないのよ。まずはその足りない頭をどうにかすることね」

「・・・何ですって、あんた」

 レナがセシリアを睨みつけ一触即発状態だったが、ヴォルフの『演習開始!』という号令がそれを遮った。


「おさきに失礼」

 最初にポッドへ乗り込んだのはセシリアだった。

 彼女の操縦は、まさにお手本そのもの。アヴィオンが提示する選択肢の正解を選び続け、戦闘面においても被弾が少なく安定した動きだった。

 モニターに表示されたスコアは、歴代でも指折りのハイスコアだった。


「まぁこんなものかしら」

 ポッドから降りてきたセシリアは汗一つかいていない涼しい顔でレナを挑発する。


 続いて乗り込んだのはルークだ。

 彼の動きを一言で表すなら”堅実”だった。無理な加速はせず、防御を固めながら着実に目標を撃破していく。結果は平均を大きく上回る好成績。しかし、リプレイを見ていたヴォルフ教官は顎をさすりながら声をかけた。

「ルーク、お前の操縦は教科書どおりだな。悪くはねぇが実戦じゃあ足元すくわれるかもな」

「肝に銘じておきましょう」

 ルークは短く答え、レナの背中を見送った。


 ついにレナの番が来た。

 ポッドに入り、ハッチが閉まる。視界がホログラムの戦場に切り替わり、アヴィオンの音声ガイドが流れ出す。

『目標補足。推奨ルートを表示します。出力は30%を推奨――』

「うるさいわね。あんたの指図は受けないわ。船に乗ったら私がルールよ!」

 レナがスロットルを力任せに押し込んだ。

 警告音が鳴り響く。アヴィオンが提案する選択肢を無視し、彼女は最短距離――敵陣のど真ん中へ、文字通り突っ込んだ。

 普通の学生が選んだならすぐに撃墜されるコース。だが、レナは機体の限界ギリギリの旋回を繰り返し、予測線を強引に書き換えていく。

 モニター越しに見守る生徒たちからはどよめきが広がる。

「なんだあの操縦?!」「機体がぶっ壊れるぞ」「ありえないでしょ・・・」


『警告。機体強度が限界に近づいています。速度を落としてください』

「黙れって言ってるでしょ! この子は、まだ行けるって言ってるわ!」

 レナは敵機の弾幕の中を、まるでダンスを踊るようにすり抜け最後の一機をゼロ距離からの射撃で粉砕した。

 演習終了。ハッチが開くと如何にもアドレナリン全開といった感じのレナが出てきた。

「見たか、金髪女。こんなの朝飯前なのよ」

 レナはセシリアに敵意むき出しで挑発する。

 しかし、表示されたスコアはセシリアを下回るものだった。

 理由は明確だ。<安全性:評価外>、ルート逸脱と機体への過負荷により大幅な減点がなされていた。


「はぁ!? 何よこの点数! 全部落としたんだから文句ないでしょ!」

 レナがモニターを指さして憤慨する。

 セシリアがそれを見て、肩をすくめて吐き捨てた。

「当然の結果ね。そんなのは操縦ではなく、ただの自殺行為よ。やっぱりドブネズミに文明の利器は早すぎたのかしら」

 だが、ルークは違った。彼が教えられてきた常識をすべて壊されたような感覚に陥っていた。

「恐ろしいな。あんな角度から切り込むなど、アヴィオンの計算には無かったはずだ」


 そして、最後に口を開いたのはヴォルフだった。

 彼は腕を組み不敵な笑みを浮かべてレナを見下ろした。

「ガッハッハッ! 安全性? 評価? そんなもん実践ではクソ食らえだ! 機体をボロ雑巾にしてでも敵を叩き潰して生きて帰る。俺は嫌いじゃねぇぜ、その野蛮な操縦!」

 豪快な笑い声が演習場に響き渡る。

 不服そうなレナ、呆れ顔のセシリア、そして静かに闘志を燃やすルーク。

 

 ハルとレナ、二人の天才がA.M.E.Aに刻んだ最初の爪痕。

 それは様々なものや人に影響を確実に与えた。

週1~2回の投稿を目指します。更新したときはTwitter(現:X)を使用してお知らせします。


また本作品は編集者としてGeminiを使用しています。

本文作成→Geminiによる添削・校閲→本文完成の流れで製作しています。

間接的とはいえAI使用になるため、信条に反する場合はブラウザバックお願いします。

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