第001話_複数(あまた)の視線、二人の決意
『おい、あれだ。整備科の試験で、故障ユニットを新品以上の出力に叩き上げたっていう“オレンジ頭”は』 『隣の女子は試験用障害物コースを、史上最速かつノーダメージで完走したらしいぞ』『さすがに嘘だろ・・・』
入学式の式典が始まる直前のホール。150~200人という新入生が集まる中、僕らの背中には突き刺すような視線がいくつもあった。
僕は自分の髪を無意識にかき上げ、丸メガネの位置を直す。支給されたばかりの深緑色の整備士科の制服は、まだ生地が硬くて落ち着かない。しかし、この色が故郷のオイルの色を連想させて、意外と気に入っていた。
「・・・ちょっとハル。あんたのせいで、とんだ入学式になったわね。」
隣で腕を組んでいるのは、幼馴染のレナだ。操縦士科のえんじ色の制服を窮屈そうに着こなし、鋭い視線で周囲を威圧している。でも、ポケットの中に「幸運のウサギ」のマスコットを隠し持っていることを僕は知っている。
「僕だけのせい!?、レナもだいぶ目立っていたけど・・・」
「うるさいわね。あれぐらいできて“トーゼン“なのよ!」
レナは周りの生徒に聞こえるぐらいの声でそう言った。まるで出来る私がすごいのでは無く、出来ないあなた達が悪いとでも言いたげな様子だ。
「……新入生諸君。入学おめでとう。」
壇上に現れた校長の声が、ホールに重低音のように響き渡る。その声からは気品と力強さをひしひしと感じる。新入生たちの背筋が自然と伸びた。
「諸君らは今日から、銀河の最前線を切り拓く『剣』となり『盾』となっていくために、この学び舎で過ごすことになる。この宇宙は依然として過酷であり、未知なる領域を多い。しかし自らの限界を決めてはならない。限界を超えたところで己の真価を問われるのだ。研鑽を重ね、本物を喰らい、星を掴む権利を自ら勝ち取るのだ。以上だ。」
校長の言葉を聞きながら、レナは両手を力強く握りしめていた。
レナが不敵に笑い、裾を翻して歩き出す。 僕は制服の胸元を整え、その背中を追いかけた。
僕は丸メガネを指先で押し上げ、もう一度、頭上の三つの月を見上げる。
一人は「生きて帰る」ために。一人は「生かして帰す」ために。
僕たちの、騒がしくも過酷な四年間が、今、静かに幕を開けた。
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