8.聞いてない
聞いてない。そんなことは知らないぞ、フィル。先に説明しろ。
カイルの頭はそれでいっぱいだった。
戦闘に突入してから短剣や魔法で応戦してくる呪術師たちを剣で捌きながらカイルの頭の中にとある疑問が思い浮かんだ。
「フィル! なんで、コイツら呪術を使わないんだ?!」
「あれー? 言ってなかったっけ?」
周囲にいた敵を剣で一閃しながら、こちらに余裕そうな顔でくるフィル。その様子に少し苛立ちを覚えたのか少し離れたところにいたルイがフィルに向かって「バカやろー!」と叫んでいた。
フィルはカイルの横に立つとこう言った。
「こんな感じのやつは呪術を使えない下っ端だよ。今回の目的は呪術を使える幹部の1人を倒しに行くことだから」
「ーーは?」
遠くから今度は「きちんと情報共有しなさい!!」というエミリアの声が聞こえてきたが目の前のフィルは「てへっ」という顔をするだけ。今度こそ彼の頭にはルイの拳骨が落ちた。
「いっっだ!」
「自業自得だバカ! もうカイルに喋ってないことはないか?」
「ないと思うけど……『やっと追いついたー!』ん?」
そう言ってカイルの方に乗ったのはカイルの契約精霊であるアル。彼は羽でカイルの頭を軽く叩き、そのあとフィルの頭を嘴でつついた。
「えっ?! ちょっ、扱い酷くない?!」
「『自業自得だ、馬鹿』」
「うっそだろ!」
2人に冷めた目で見つめられ「なんで?!」と言う顔をするフィル。彼のそれは本当の姿なのか、それとも本当の姿なのか。
少なくとも今のカイルには判断できなかった。
だから違和感を持たなかった。フィルの知識の豊かさに。過去のことに、呪術の詳しさに。
現在、この話と同じ世界の4代目勇者のあの話より100年ほど後の話を執筆中です! 準備が整い次第、投稿する予定です。




