7.始まり
フィルに首根っこを捕まれ外界へと降り立ったカイル。その表情はとても暗く横にいるルイとエミリアは彼を気の毒そうに見ていた。
「よし、じゃ早速敵の根城にでも忍び込もうか」
満面の笑みを浮かべてそう言うフィルに思わず嘘だろという表情を浮かべるカイル。ルイはフィルの頭をひっぱたき、エミリアはそれを呆れたように見ていた。
「自分の力を理解するには一番実践がいいんだよ。ま、あくまで僕理論だけどね。いたっ!」
「お前、時間がないからってそんな説明はないだろう」
「そうですよ。それに、あなた基準で考えたら世の中は恐ろしいことになります」
カイルをかばうように立ちフィルを説くルイとエミリア。フィルは2回も叩かれた頭をいたそうに擦りながら二人の話を大人しく聞く。
「そうだけどさあ、案外こう、戦ってたら感覚を掴んだりするんだよ。ね、わかるでしょカイル?」
「そんなわけ「わかる」は?」
ルイの言葉に被せてカイルがフィルに返す。
剣を持って魔物と初めて戦ったとき、アルと出会って初めて魔法を使ったとき。練習よりも使徒隣り合わせのあの環境のとき、自分は一番力の使い方を理解できた。カイルは過去を思い出してそう思った。
「ほらね? 言ったでしょ」
「……これが、勇者の血なのか? 勇者の特徴なのか?」
「落ち着いてください。まだ2人しかいません。偶然の可能性もあります」
ルイの言葉に淡々とそう返すエミリア。フィルはカイルに横に立ち、その頭を撫でている。
「じゃあきまりって言いたいところだけど、どうやら敵さんからお出ましみたいだね」
そう言ったフィルの自然の先には黒いローブを着た集団がいた。
彼らを視認すると同時に身構える4人。フィルとカイルは剣を、ルイは短剣を、エミリアは長いロッドを構えた。
「じゃあ、第一ラウンドといこうか」
長い戦いに終止符を打つために。長いようで短い、1週間が始まった。その、瞬間だった。
アル「置いてかれたんだけど……?」




