6.最愛の人
みなさん、体調にはどうか気をつけてください……。作者いま今年度2度目のインフルエンザになっております……。
「最愛の人?」
「ああ」
最愛の人を助けたい。
そう言った彼の顔はとても悲痛なものだった。周りにいる彼、彼女らも酷く辛く悔しそうな顔をしていた。
「俺の恋人は俺と同じ神獣であり、魔力や精霊を管理する精霊王でもあるんだ」
「守護を司る神獣……?」
「そうだ。神獣ジョーヌ。それが彼女の名前だ。本名とは違うけどな」
神獣ジョーヌと精霊王は神話の中でも姿が全く違う。まさか、同一人物だとは誰も思わないだろう。しかし、何故そんな彼女が助けが必要な状況になっているのだろうか。
「彼女は約100年前、禁術が解かれてしまったときに魔力の乱れを調整するためにあちこちを飛び回っていたんだ。しかし、思ったよりも影響は大きくてね彼女は衰弱してしまったんだ。その時に彼女のことを気に入っていた呪術師が彼女にいくつか呪いをかけたんだ」
禁術の使用には膨大な魔力が必要となる。人から自然から生物すべてから魔力を奪うとすると魔力は大いに乱れるだろう。もしかするとそれもすべてその呪術師の策略だったのかもしれない。
「神と違って神獣には命があるの。途方もないくらい長い寿命だけれど、ね。その命を彼女は縛られてしまったの」
「それだけじゃなく魂も縛ったんだ」
彼曰くその呪術師が死ぬと同時に彼女は死んでしまったらしい。当時は今よりも神と人が密接に関わっていた時代だ。神獣も人の姿をする方が多かったらしい。呪術師になる前の人物が神獣を気に入ったとしてもおかしくはないだろう。
「魂を縛られたその呪術師と同じ時代に転生して今もなお呪術師に縛られ続けている。厄介なことに辛いというのは聖属性を持つものにしか解呪できない」
「だから、俺に……?」
「そういうわけ」
神獣さえも縛る呪い。自分に解くことができるのだろうか。
「そいつのところまではかなりの呪術師がいる。コツを掴むにはちょうどいいくらいだ」
「はい?」
今、この人はなんと言っただろうか。このチャラチャラしている騎士は。
「まあ、とりあえず。お前のことを追いかけてた奴らの拠点をぶっ放しに行くぞ」
「ふえ?」
「なに間抜けな声出してんだ。行くぞ。ルイとエミリアもだ」
「りょーかーい」
「わかりましたわ」
あれよあれよというまに首根っこをフィルに掴まれ俺は教会の外へ外界へと降り立った。
△▼△
リーン リーン リーン
頭の中で鈴の音が響く。憎たらしい、私を呪いで縛った張本人がやってくる音。
「元気そうだねぇ。エル」
「だ、れが、げんき、そう、に、みえ、る、って?」
私がそう言ってもただ目の前の男は笑みを深めるだけでなにも言わない。
「反抗的だなあ。ま、いいや。また来るね。エル」
そういうと男は去っていった。この身体が呪いで縛られていなければ、錠で繋がれていなければ今すぐにでもこの憎い男を殺せたのに。
(早く、早くーー)
そう思うことしかできないのがただただ憎かった。




