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窓辺の小さな旅

作者: ごはん

電車の窓際に座った春香は、コーヒーの紙カップを両手で包み込みながら外を眺めていた。

今日も、いつもと同じ通勤路。けれど、ふと視界の端に小さな変化が映る。

昨日まではなかった花壇に、紫のビオラが朝の光を反射して揺れている。


「この道、毎日通ってるのにな…」

思わず口元がほころぶ。


次の駅では、ホームのベンチに老夫婦が座っていた。2人は小さなお弁当を広げ、互いに何かを分け合って笑っている。

「きっと、どこかへ遠足かな」

そんな想像をしていると、心が少し軽くなる。


——同じ時間を、同じ道で過ごしているはずなのに、見える景色は日によって変わる。

それは景色が変わったからか、それとも自分の心が変わったからか。


社内アナウンスが流れ、春香は現実に引き戻される。

でも今日は、少し違う。

花壇の色や老夫婦の笑顔を胸にしまって、会社に着いたら誰かに話してみようと思った。


もしかしたら人生も同じで——

行き先が同じでも、心が見つける風景によって、旅の意味は変わっていくのかもしれない。

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