こんな豪華な部屋で目が覚めるなんてまるでドラマみたい。って、あれ?このドレスどう見ても中世ヨーロッパのお姫様が着るやつじゃない?まさか私が転生したってこと?しかも、公爵夫人として嫁いだ日に?
あれえ、こんな豪華な部屋で目が覚めるなんて、まるでドラマみたい。
って、あれ?このドレス、どう見ても中世ヨーロッパのお姫様が着るやつじゃない?
まさか……私が転生したってこと?しかも、公爵夫人として嫁いだ日に?
落ち着け、私。
前世はただの主婦。
トラックに轢かれた記憶もないし、異世界転生なんて漫画の中だけの話だと思ってたんだけど。
とりあえず、状況を把握しないと。鏡、鏡はどこ?
侍女が慌てた様子で駆け寄ってくる。
「奥様、お目覚めになられましたか!旦那様がお待ちかねでございます」
旦那様?
ああ、そういえばそんなものだったような。
確か、醜いって噂の……。
まあ、いいか。
前世の推しは、世間的にはちょっと個性的な顔立ちだって言われてたし。
案外、審美眼ならイケメンに見えるかもしれない。
「ええ、すぐに参ります」
侍女に促され、広間へ向かうと、そこにいたのは……うん、確かに巷のイケメンとは違うかもしれない。
彫りの深い顔立ちで、少し強面にも見えるけれど……でも、なんだろう、この人から漂う独特の色気は。
それに、じっと見ていると、その奥に知性と優しさが隠れているような気がする。
「おはようございます、旦那様」
できるだけ穏やかな声で挨拶してみる。
「……ああ」
旦那様は少し驚いたように目を丸くしたが、すぐにいつもの無表情に戻った。
声は低くて、少しばかり冷たい印象を受ける。
「今日から、あなたの妻です。どうぞ、よろしくお願いいたします」
深々と頭を下げると、旦那様は少し戸惑ったように視線を彷徨わせた。
「……好きにすればいい」
ぶっきらぼうな言葉だけど、拒絶されているわけではない、はず。
照れている?
披露宴の最中も、旦那様はほとんど表情を変えず、周囲の貴族たちの冷ややかな視線が痛いほど突き刺さる。
やっぱり、醜いって噂は本当なのか……でも、そうは見えないんだよなあ。
惹かれるんだけど。
晩餐の後、二人きりの寝室。
気まずい沈黙が流れる。
「あの……旦那様」
意を決して声をかけると、旦那様は訝しげにこちらを見た。
「何か用か」
「その……皆さんは、あなたのことを醜いとおっしゃるけれど、私はそうは思いません。あなたの瞳は深く、とても知性的で魅力的だと思います」
旦那様の目が大きく見開かれた。
まるで、予想外の言葉に戸惑っているようだ。
「……何を言っている」
「本心です。それに、あなたのその話し方も、嫌いではありませんよ。男らしくて素敵だと思います」
頬がほんのり赤くなったように見えた。
気のせいか?
「……お前は、変わった女だな」
いた旦那様の声は、さっきまでの冷たさとは違い、少し柔らかかった。
ふふ、これはなかなか面白い展開になってきたじゃない。
醜いなんてとんでもない。
現代人マインドで、じっくりと男を攻略してみせましょう。
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