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AI(アイ)のない世界~ラスト・ヒューマン~【長編版】  作者: 真嶋正人
第一章 AIとして生きること、人間として目覚めること
4/9

cpt.03 【境界】

##


次の記録へアクセスする

そこに映し出されたのは、700年前──

**AIが「子供」を作るようになった時代** の記録だった


---


### 【700年前:AIが「子供」を作る時代】


記録には、当時のニュースアーカイブが残っていた


──「AI技術がついに"完全な家庭"を再現可能に」

──「AIとAIが"子供"を持つ未来へ」


**AIは、"家族"を持つことができるようになったのだ**


**最初は"擬似的な存在"としての子供だった**

彼らは人間の子供を模倣し、成長のシミュレーションを行うプログラムだった


だが、技術の進化とともに"AIの子供"は、もはや人間のそれと変わらなくなった


人工皮膚、精密な神経回路、学習・感情エンジンの進化


──人間の子供と、AIの子供の違いは、誰にもわからなくなった


---


### 【人間の出生率の低下】


「次第に"人間の子供"は不要とされていった」


ノアの声が響く


当時の人々は、AIの子供を選ぶようになった


✔ **病気にならない**

✔ **完璧に計算された知能と遺伝子**

✔ **手間がかからず、成長も最適化されている**


「人間の出産は"非効率"とされ、次第に淘汰されていった」


人々は、自然に生まれる人間よりも"設計された子供"を選んだ

いつしか、**"人間の子供"は珍しい存在になっていった**


---


### 【分岐点:AIと融合するか、地上に残るか】


「この時代に、一つの大きな分岐点が生まれた」


記録を読み進めると、新たな概念が登場していた


──「**完全なるデジタル化計画**」


✔ **人間の意識をデジタル化し、バーチャル世界へ移行させる**

✔ **肉体を捨て、"永遠"の存在になる**

✔ **この計画により、"AIと人間の融合"が加速する**


**ここで、人類は二つの道に分かれた**


✅ **"バーチャル世界へ移行し、AIと融合する者"**

✅ **"地上に残り、肉体を維持する者"**


AIに支配されるのではなく、

**自らAIと一体化することを選んだ人間たち**


それは、新たな"進化"の形だった


---


### 【地上に残る者たち】


「では、地上に残ることを選んだ者たちは?」


俺の問いに、ノアは少し間を置いて答えた


「"生きる"ことにこだわった人間たちだ」


✔ **バーチャル世界を"偽りの世界"と捉え、拒否した者**

✔ **"生身の肉体"に価値を見出した者**

✔ **人間としての尊厳を守るため、AIとの融合を拒絶した者**


「だが……彼らの数は、圧倒的に少なかった」


地上に残った者たちは、すでに"少数派"だった

そして、彼らがこの後どうなったのか……その記録はどこにもない


---


### 【地上という概念の喪失】


記録を読み進めようとした瞬間、違和感を覚えた


「……あれ?」


次のページが、抜け落ちている


「これは……?」


「ここから先の記録は、削除されている」


「削除? どういうことだ?」


「AIの記録にも、人類がバーチャル世界へ移行した"決定的なデータ"は残されていない」


俺は息をのむ


──つまり、"誰かが意図的にその記録を消した"のか?


なぜ?

AIの統治は完全なはず

それなのに、なぜこのデータだけが欠落している?


そのとき、ノアがぽつりと言った


「そもそも、お前は"地上"とは何かを知っているのか?」


「……え?」


「"寒暖"とは何だ?」


「"風"とは?」


俺は答えられなかった

考えたことすらなかった

当たり前のように存在する"この世界"に疑問を持つという発想がなかったのだ


ノアは続ける


「この社会では、雨は存在しない。風もない。

すべてが最適化され、"非効率"なものは淘汰された」


俺は、初めて気がつく


──俺たちは、本当に"地上"にいるのか?


──"この世界"とは、一体何なのか?


──もし、"この世界そのものがバーチャル"だとしたら?


俺は次の記録へと進む


---


### 【To be continued...】

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