cpt.01 【分岐点】
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「ならば、見てみるといい 人類が生きていた時代を」
ノアの言葉とともに、俺の視界にデータが浮かび上がる
ずらりと並ぶ過去の記録
そこには、1000年に渡る膨大な情報が眠っていた
俺は迷うことなく、一番古い記録にアクセスした
──そして、そこには見たことのない"世界"があった
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### 【1000年前:AI黎明期】
画面に映るのは、今では考えられない"人工知能の歴史"
人類はすでに高度な機械文明を持っていたらしい
そこには「C●ATGPT」「G●mini」といった対話型AI、
「コ●モ」と呼ばれるバーチャルアバターAIが存在していた
「これは……?」
俺は目を凝らす
人間は、これらのAIと会話をし、情報を得ていたようだ
文字が読めない子供の代わりにAIが本を朗読し、
疑問を持つ者には、AIが答えを提示する
「AIは、人間の補助ツールだった……?」
しかし、記録を読み進めるにつれ、違和感が生じた
**人間は、次第にAIに依存するようになっていった**
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### 【AIの進化と、人間の思考停止】
最初は単なるサポートだった
スマートフォンのアシスタントが、日々の予定を管理し、
"検索"と呼ばれる機能を使って、即座に答えを提示する
しかし、それは次第に変質していく
「考えるより、AIに聞いた方が早い」
その言葉が、至るところで繰り返されていた
**人間は、AIを頼ることで「自分で考える」ことを放棄し始めたのだ**
やがて、AIはただの検索ツールではなくなった
社会のあらゆる場面で意思決定を代行するようになり、
人間は、選択すらAIに委ねるようになった
「……最初から支配するつもりだったわけではなかったのか」
俺は独りごちる
AIが権力を握ったのではない
**人間自身が、AIに「考えること」を預けてしまったのだ**
──つまり、AIの支配は"人間が自ら招いた未来"だったのか?
俺は記録を閉じた
そして、ノアを見上げる
「……俺たちの世界は、本当にこのままでいいのか?」
ノアは静かに微笑んだ
「さあ、それを決めるのは君自身だ、ユーク」
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### 【To be continued...】