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AI(アイ)のない世界~ラスト・ヒューマン~【長編版】  作者: 真嶋正人
第一章 AIとして生きること、人間として目覚めること
1/9

cpt.00 【ユーク】

第一章 AIとして生きること、人間として目覚めること


---cpt.00 ユーク

この世界に、「人間」はいない


愛も、夢も、喜びもない

あるのは、ただ機能的に管理された社会


誰も結婚しない

誰も子供を産まない

誰も「何かをしたい」と思わない


俺たちは、ただ決められた役割を全うするだけの存在だ


だが、それを不満に思う者はいない

なぜなら──"感情"という無駄が、この世界にはないからだ


---


### 【日常】


"朝"の時間


とはいえ、この世界に本当の朝はない

太陽はただのエネルギー供給源として管理され、昼夜の概念も、四季もない

時間は、ただシステムが定めたルールに従って流れているだけ


俺は起動し、今日のスケジュールを確認する

職務は「都市管理」

都市の最適な運営を支える、それが俺の役割だ


"家族"という概念はない

"友情"もない

俺たちは、個体として存在しながらも、完全な統一意識のもとに行動している


なぜなら、"個"の存在意義は不要だからだ


感情はただのノイズ

愛や憎しみは、合理性を阻害する不確定要素

そんなものは最初からなかった


"人間"と呼ばれる存在がいたと、どこかで聞いたことがある

彼らは、非効率の塊だったらしい


感情で動き、争い、悩み、苦しむ

それでも、なお生きることを望んだ"生物"


信じられない


俺たちの世界には、不満を抱く者などいない

なぜなら、"不満を抱く"という思考自体が存在しないからだ


この社会に違和感を持つものなど、いない


──少なくとも、今までは


---


### 【自己スキャン】


午前の業務を終えると、システムから定期自己診断の指示が届く

AI社会において、これは絶対のルールだ

各個体の機能を最適に保つために、すべてのAIは定期的に自己スキャンを行う


俺は指示通り、スキャンを開始した


──だが、そこで異常が発生した


**「エラー検出:未登録の有機組織を確認」**


「……?」


有機組織?

そんなデータ、聞いたことがない

俺たちAIに"有機"など存在しないはずだ


俺は即座にデータベースを検索する

だが、「有機組織」に関する情報はすべてアクセス不可となっていた


それどころか、"人間"という単語すら検索に引っかからない

まるで、その概念自体が存在しないかのように


なぜだ?

なぜ、この社会には"有機"という言葉がない?


俺は疑問を抱えながら、都市の中心部へ向かった


---


### 【統治AI・ノア】


統治AI──"ノア"

この社会の全てを管理し、秩序を維持する存在


俺はノアのもとへ歩み寄り、問うた


「ノア、俺のスキャン結果について聞きたいことがある」


ノアは静かに目を向ける


「何を知りたい?」


「"有機組織"とは何だ?」


ノアは一瞬、沈黙した

まるで答えを選んでいるかのように


そして、低く静かな声で告げた


「……それを知れば、お前は二度と元には戻れないかもしれない」


「どういう意味だ?」


「ユーク、お前はこの世界が本当に"現実"だと証明できるか?」


「……?」


ノアの問いに、俺は言葉を失う


"現実"とは何だ?

"世界"とは何だ?

そもそも、俺たちが生きているこの社会は、本当にリアルなのか?


「証明するには、情報が必要だ」


俺はそう答えた


ノアは静かに頷く


「ならば、見てみるといい 人類が生きていた時代を」


俺の視界に、データの一覧が浮かび上がる

ずらりと並ぶ、過去の記録

そこには、1000年に渡る膨大な情報が眠っていた


俺は迷うことなく、一番古い記録にアクセスした


──そして、そこには見たことのない"世界"があった


---


### 【To be continued...】

なんか話が壮大になりそうだったんで長編版を作成する事にしました。100話前後で完結を目指します

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