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【連載版】魔獣の傷をグチャグチャペッタンと治したらテイマーになっていました〜黒い手ともふもふ番犬とのお散歩暮らし〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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70.飼い主、嘘がバレる

 あれから僕達は毎日シュバルツと競争しながら王都に向かった。


 途中で立ち寄った町にも美味しいお肉がたくさんあり、遠いところにお散歩するのも悪くないね。


「おっ、あれが王都だぞ」


「うわー、おおきいね」


 遠くには大きな壁みたいなのがたくさん見える。


「でもたてものはどこにあるの?」


「ははは、王都は城壁で囲まれているんだ。中には貴族とか少しめんどくさい人達が多いからね」


 貴族って人間のお偉いさんなんだって。


 関わらないようにするのが一番だ。


 それによっぽどのことがない限りは街に来ることはないらしい。


『めんどくさいのはこいつらだな』

『ここは魔物が多いね!』

『あれだけ壁を高くしないといけない理由はこれね』


「王都の周辺にはたくさん魔物がいるからな。ケルベロスゥの体を探すにはちょうど良いかもな」


『はぁ!?』

『あっ!?』

『にゃ!?』


 ケルベロスゥは気づいていなかったのだろう。


 ここに来る時にウルフ系の魔獣も少しいた。


 スゥが近づいて行ったけど、振られて全て倒していたけどね。


「おうとはれいぎただしくね」


『『『ワン!』』』


 新しい町に来たら目立っちゃうからね。


 なるべく危なくないと態度で示さないといけない。


 それに魔獣使いがいるからって、ミツクビウルフがよくいるわけではないからね。


「さぁ、あの列に並びに行くか」


「はーい!」

『『『ワン!』』』


 王都に入るには長蛇の列ができている。


 順番に受付をする必要があるからね。



「はい、次の人!」


 声をかけられて僕とケルベロスゥは前に出る。


「えーっと、魔獣使いかな?」


「うん!」


 僕はテイマーってやつらしいから、魔獣使いで問題ないだろう。


 僕は見習い冒険者の証明書を出そうとしたが中々見つからない。


 その間におててさんが何かを取り出して渡してくれた。


「変わった魔物もいるんだな。えーっと、身分証明書には……回復属性魔法?」


「へっ……?」

「うん?」


 僕とマービンの声が重なった。


「いや、スキルが魔獣使いでもないって――」


「ああ、俺の息子なんだよ!」


 すぐにマービンは自分の身分証明書を出した。


「えっ……うええええ!?」


 門番はそれを見て声を上げて驚いていた。


「マービンさん! おかえりなさい!」


 門番の態度の変化に周囲の視線が集まってくる。


 マービンは先に僕が受付をするように言っていた。


 これが原因だったのかな?


 マービンから受付をすると、ずっと目立ってたかもしれないね。


 でもどっちにしても僕達は目立った気がする。


「ああ、この子は大事な息子だから通っても良いか?」


「息子ですか? 確かご家族は……いや、せっかく帰ってきたなら王都を楽しんでこいよ」


 僕にそう言って王都の中に入れてもらった。


 マービンの家族が亡くなったのは、門番も知っているような様子だね。



 王都の中は今までの町とは比べ物にならないほど広かった。


『なあなあ、美味しい肉はあるか?』

『僕もお腹減ったかな』

『王都にはイケメンがたくさんいるわね』


 ケルベロスゥも周囲をキョロキョロとしている。


 僕達は目立つと思ったが、人が多いおかげでそこまで注目されることはなさそうだね。


「おいしいりょうりが――」


「お前達少し良いか?」


「どうしたの?」

『ん?』

『パパさん?』

『あっ、イケメン発見!』


 僕達が振り返るとマービンの顔がどこか怒っていた。


「お前らスキルを隠していたのか?」


 あっ、そういえば今までテイマーって言っていた気がする。


 僕は言っても良いと思ってたけど、ケルベロスゥがすぐに言い訳をしていたからね。


『あっ、いや……』

『ココロは悪くないよ?』

『私達がそうやって言ってきたのよ』


「まぁ、テイマー系のスキルを持っていないやつが魔獣を連れていたらおかしいからな」


「ごめんなさい」

『すまない』

『ごめんなさい』

『申し訳ないわ』


 僕とケルベロスゥは怒られると思いすぐに謝った。


 マービンに嘘をついていたことになるもんね。


「くくく、はぁー悲しかったな」


 やっぱりマービンは怒っていた。


「パパである俺に嘘をついていんだもんな」


『『『クゥーン』』』


 ケルベロスゥは項垂れてそのまま地面に伏せている。


「きらいになった?」


 僕はまた嫌われちゃったのかな……。


「くくく、それだけで嫌いになるわけないだろ。ケルベロスゥがココロを守ろうとしているのは知っているからな」


 マービンはそのまましゃがむと、ケルベロスゥを撫でていた。


 ケルベロスゥは僕を守ろうとしていたんだね。


 僕は何も知らなかったな……。


「ケルベロスゥありがとう。パパありがとう」


 すぐに二人にお礼を伝えると、ケルベロスゥはすぐに立ち上がってスリスリしてきた。


「ははは、本当に仲良しだな。これからはそこに俺も入れてくれよ」


「うん!」

『『『ワン!』』』


 僕はもう家族に嘘はつかない。


 どこか前よりも僕達は家族になった気がした。

お読み頂き、ありがとうございます。

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