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【連載版】魔獣の傷をグチャグチャペッタンと治したらテイマーになっていました〜黒い手ともふもふ番犬とのお散歩暮らし〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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54.飼い主、変化する

「ココロ、町に着いたぞ」


 僕はマービンに起こされて目を覚ました。


 いつのまにか町の入り口におり、中に入るには身分証明書を提出しないといけないようだ。


 僕はシュバルツからおりて、門番に見習い冒険者の証明書を渡す。


「ほう、見習い冒険者なのにミツクビウルフを連れているのか」


「はい」


 きっとケルベロスゥのことを言っているのだろう。


 ここでもミツクビウルフは珍しいらしい。


 そもそも魔獣を連れている人をあまり見たことがない。


「魔獣の管理はしっかりしろよ」


「はーい」


 僕は門番に挨拶をして町の中に入っていく。


 全体的に町は綺麗にしてあり、どことなく白を基調としているため僕達は目立つ。


 以前に比べてマービンも髪色が暗くなったのか、側からみたら家族にしか見えないだろう。


 僕はそう思っている。


 一緒にいる期間が長くなると似てくるもんね。


 僕達は今日泊まる宿屋を探すことにした。


「どこにあるのかな?」


「宿屋は中央にあるぞ。冒険者ギルドもそこにある」


 ここの宿屋は町の中心にあるらしい。


 冒険者ギルドにも挨拶はしないといけないかな。


 見習いだからしっかりしないとね!


 早速宿屋がある中心に向かっていくと、何か気になる建物をみつけた。


「これって……」


「ああ、ここは教会だな」


 教会はスキルを授かるために来たところだ。


 前の町には教会はなかった。


 もちろん僕が住んでいた町にもない。


 基本的には少し大きめの町にしか、教会はないと言われている。


 だが、その形や建物に見覚えがあった。


「ここ、ぼくがいったところ……」


「本当か?」


 ここから僕の家族は変わった。


 いや、ひょっとしたら僕が気づかなかっただけで、昔から変わっていたのかもしれない。


 回復属性魔法(闇)はきっかけに過ぎなかった。


 それを知っているのは僕のパパとママだけだ。


『似ているだけじゃないのか?』


「教会はどこも似ているからな」


 マービンは歩き出した。


 だけど僕はその教会が気になっている。


『合ってるかな?』

『でも森からの距離は近いわよ』


「んー、どうだろうね」


 僕達がそんなことを話していると、前からズカズカと威張った人が歩いてきた。


「チッ! 悪魔と魔物が町の中に入るとはこの町を終わっているな」


 ボソッと聞こえた声に僕は震えが止まらない。


 男はそのまま教会に入っていく。


「ポーションを撒いておけ!」


 教会にいる人に声を荒げて何かを言っていた。


『おい、大丈夫か!?』

『ココロ?』

『大丈夫かしら!?』


 すぐにケルベロスゥは僕に寄り添ってスリスリしてくる。


 震えもだんだんと収まってくるが、ここが確実に僕がスキルを授かった町だという確信に変わった。


「あのひとしってる……」


『あの人って……さっきのはオークだぞ?』

『兄さん、あの人はただのブタだよ?』

『何言ってるの? あの臭さは脂と加齢臭……公害ね』


 うん、ケルベロスゥの方が間違えているよ?


 オークってブタの魔獣だよね?


 あの人はどこからどう見ても神父だ。


 僕がスキルを授かった時に、〝悪魔の子〟って言ったのを今でも覚えている。


『オークの丸焼きにするか?』

『タマを食いちぎってくることもできるわよ?』

『焼いても食べられないし、タマを食いちぎるなんて汚いよ?』


『『あっ……』』


 ケルとスゥは今頃気づいたのだろう。


 それに神父はオークでも食べ物でもない。


「ふふふ」


 でも少し元気が出てきた。


 ケルベロスゥは僕を励まそうとしたのだろう。


 やっぱり優しいね。


 僕はケルベロスゥの頭を撫でる。


「お前達宿屋にいくぞー」


 マービンは遠くから僕達が来るのを待っていた。


「ケルベロスゥ!」


『なんだ?』

『どうしたの?』

『なにかしら?』


「きょうそうね!」


 僕はそう言ってマービンのところまで走り出す。


 ここで僕の家族が変わったのは関係ない。


 だって、僕にはたくさんの家族がいるもんね。

お読み頂き、ありがとうございます。

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