47.飼い主、勝手にグチャグチャペッタン
お金をたくさん手に入れた僕達は、早速お肉をたくさん食べた。
お腹いっぱいまで食べたら、気持ち悪くなって全く動けなくなるなんて知らなかったよ?
宿屋にある食事処で食べたから、迷惑かけなくてよかった。
『ココロ起きて』
誰かが僕を揺さぶってくる。
それでも眠たくて全く目が開く気がしない。
『やるか?』
『これは舐めてもいいってことかしら?』
次第に顔がひんやりとしてきた。
「んー、くすぐったいよー」
『ココロ起きて!』
僕は布団で顔を隠す。
これでケルベロスゥも諦めるかな。
『本当に起きないな』
『相変わらずね』
『もう連れて行っちゃえ!』
今度はふわっとしたと思ったら、宙に浮いているような気がした。
段々と怖くなり目を開けるとやっぱり浮いている。
「ケルベロスゥ?」
『やっと起きたな』
『遅いわよ?』
ベロとスゥが話すと、体が大きく落ちていく。
ケルベロスゥで僕の服とズボンを咥えていたようだ。
『ぐぐぐ』
必死にベロだけが落ちないように、服を咥えている。
『ああ、すまん』
『つい……ね?』
すぐにケルとスゥが咥える。
『兄さんと姉さんいい加減にして!』
ベロはケルとスゥに対して怒っていた。
『喧嘩する気か?』
ねぇ、僕のこと忘れてない?
三匹で話すと僕はそのまま落ちていくよ?
『私強いわよ?』
案の定、スゥが話したら僕は床に落ちてしまった。
眠たかったはずなのに、今のでしっかりと目を覚ました。
『『『あっ……』』』
ケルベロスゥは戸惑ったような表情をしている。
むっ……怒りたいのはこっちの方だよ。
『ココロ! 大丈夫か?』
『ココロごめんね』
『痛いところはないかしら?』
でもすぐにケルベロスゥは僕にスリスリしてきた。
「だいじょうぶだよ」
僕のことを気にしているから、優しいケルベロスゥに怒る気もなくなってしまう。
それにしてもなんで僕を起こそうとしたのかな?
いつもなら何かあっても起こそうとしないのに……。
「どうしたの?」
『おででさんはいる?』
「おででさん?」
誰かが僕の背中をツンツンとしていた。
振り返るとそこにはおででさんがいた。
僕の言葉に反応して、おででさんはひょこっと出てきたようだ。
『パパさんの肩が気になってな』
『おででさんで治せないかしら?』
そういえば、朝からずっと右腕がぶらぶらしているような気がした。
おででさんがツンツンした時も、少し痛そうだったもんね。
『内緒でグチャグチャペッタンできないかな?』
「おこられない?」
マービンはグチャグチャペッタンが嫌いだって言っていた。
だから僕もおででさんにお願いごとをしていなかった。
それに勝手にやったら怒られそうだ。
『寝ている時なら大丈夫じゃないか?』
『気づかれちゃうかな?』
『いざとなったら、押さえつけるからいいわよ!』
少し強引な気もするが、ケルベロスゥもマービンのことを心配しているのだろう。
「おきちゃうかな?」
僕はおででさんに確認をすると、指で丸を作っていた。
何か秘策があるのかな?
「じゃあ、おででさんお願いね」
僕達は昨日と同じようにマービンの部屋に向かうことにした。
「うっ……」
チラッと部屋を覗くとマービンは苦しそうな表情で寝ていた。
「だいじょうぶかな?」
『きっとあの時のことを思い出しているんだな』
『ココロとコーナーって歳が近いもんね』
『誰だって悲しくなるわよ』
ケルベロスゥはマービンのことを何か知っているようだ。
それにしても、コーナーってどこかで聞いたことあるような気がする。
考えても思い出せないから僕の勘違いかな?
ゆっくりと部屋の中に入ると、僕とケルベロスゥはマービンの隣に座った。
「パパ、すぐになおるからね」
僕はおででさんに向かって頷くと、おででさんは指を握っては広げてを繰り返した。
次の瞬間、首元に人差し指をさした。
「へっ……」
『なっ!?』
その光景に僕達は声を出してしまった。
でもすぐに手で口を押さえる。
今何をやったのだろうか。
突然の動きにびっくりしちゃった。
でもさっきまで苦しそうに寝ていたマービンは、スースーと寝息を立てていた。
おででさんって寝られない人には良さそうだね。
再び指を動かすと肩に触れた。
おててさんは傷口に手を入れていたが、おででさんは触れただけで傷ができた。
そんなこともできるんだと僕とケルベロスゥは驚いた。
すぐにグチャグチャペッタンが始まった。
だが、相変わらず気持ち悪い見た目ですぐに目を閉じる。
ケルベロスゥも同じように目を背けていた。
あれは見てはいけない光景だね。
おででさん頑張って!
僕達は心の中で願っていると、そのまま目を閉じていたからか眠ってしまった。
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