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【連載版】魔獣の傷をグチャグチャペッタンと治したらテイマーになっていました〜黒い手ともふもふ番犬とのお散歩暮らし〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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41.飼い主、やっとのご飯は少し恥ずかしい

 僕はマービンと手を繋ぎながら食事処を探しにいく。


「おにく! おにく!」


『『『ニックニックー!』』』


 歌を口ずさむのが当たり前になってきた。


「ねぇ、パパはなにがたべたい?」


「……」


 マービンに話しかけるが、どこか上の空でぼーっとしている。


 王都に行く話が出てから、どこかマービンは変だ。


『おいこら!』


 そんなマービンにケルは頭をゴツンとぶつける。


「くっ……」


 少し表情を曇らせて痛そうな顔をしていた。


 ケルもそこまで強く頭をぶつけていないのに……。


『おっ……おお!?』


 ケルもそんなマービンを見て戸惑っている。


「パパだいじょうぶ?」


「ああ、ちょっと疲れちゃったんだな」


 そう言って、いつものように笑っていた。


 何かがおかしいけど、聞いても良いのかな?


『どうしたのよ? あなたらしくないわね?』

『ちょ、失礼なのは姉さんだよ!』


 そんなこと一切気にしないのがスゥだ。


「いや、馬車で行こうかシュバルツに乗って行くか迷っててな」


「どういうこと?」


「馬車で行くと結構時間がかかるだろ? 俺達なら馬車で行く必要もないからさ」


 王都まで馬車で移動すると、およそ10日ほどかかるらしい。


 それに比べてシュバルツとケルベロスゥに乗れば半分程度で王都に着くんだって。


 馬車って結構ゆっくり走っているもんね。


『俺が王都まで乗せて行くぞ?』

『散歩楽しみだね!』

『他の女の上に乗るなんて許さないからね?』


 この通りケルベロスゥは馬車よりも、自分達に乗ってほしいようだ。


「小さな町も所々にあるから、馬車で移動するより野営も少なくできるからな」


 時間が半分で済めば、途中で野営をしなくても王都まで着くことができるらしい。


『でも途中で魔物に襲われたりしないのか?』

『ビッグベアーがでてきたらたいへんだもんね』


「ああ、そこだけが問題になるな。さすがにビッグベアーみたいな強い魔物は出てこないが、多少の魔物は出てくる」


「それならあんぜんなほうにする?」


『それだと散歩できないね?』

『えー、私の楽しみが無くなるじゃないの!』


「王都までの道はみんながよく使っているから、俺らが魔物に襲われるより、馬車を狙う魔物の方が多いと思うけどな」


 魔物を寄り付かせない小さな魔導具みたいなのが、休憩場所には埋められているらしい。


 それもありよっぽどのことがないと、速く走っている僕達を追いかけて襲ってくることは少ないとマービンは言っていた。


「ここで食べるか」


 話をしていたらいつの間にか食事処に付いていた。


「ちょっと待っててな」


 一度マービンが店の店主に魔獣であるケルベロスゥが入っても良いか確認してくれた。


 急にケルベロスゥが入って、他のお客さんに迷惑をかけたらいけないからね。


『それにしてもパパさんの様子がおかしいわね』

『姉さんがズケズケと聞くからじゃない?』

『なんで私が悪いのよ! ココロも気になっていたわよね?』


「そうだね。いつもよりくらかった」


『なら何かあったんだろうね!』

『本当にあんたはココロにだけ優しいのね!』

『姉さんにも優しいよ? 唾が飛んでも怒らないし、寝ている時に僕を枕にしても怒らないし、よだれ――』

『あー! もうあなたは優しいわよ!』


 ベロとスゥはお互いに言い合いをしていたが、スゥはベロに勝てないようだね。


 一方、ケルはお腹が減っているのか、食事処の扉を一点に見つめていた。


 外にいてもお肉の美味しそうな匂いが香ってくるからね。


 本当にみんな性格が違うから、体がいつも戸惑っている。


「静かにしてくれるなら良いってさ」


 許可が取れたので、僕達はお店の中に入って行く。


 やはり店の中では注目されるが、前よりは少なくなった気がする。


「ミツクビウルフってあなた達だったのね?」


「しってるの?」


「ええ、今朝道の真ん中でミツクビウルフと少年が泣いているのが話題になっていてね」


 どうやら冒険者ギルドに行く前に迷子になったことを言っているのだろう。


 あの時は怖かったからね。


『俺は泣いてないぞ! それよりも肉をくれ!』

『兄さん口が悪いよ。それに泣いたのは認めた方が良いよ』

『そうよ。認めなさい』

『お前達だって泣いていただろうが!』


「ははは、本当に賑やかなミツクビウルフね」


 お姉さんは楽しそうに笑っていた。


「とりあえずこいつらには肉を頼む!」


「わかったわ。そこの少年も同じでいいかな?」


 僕はこくりと頷く。


 まさかそんなに町の人達に聞かれているとは思わず、少し恥ずかしくなってきた。

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