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【連載版】魔獣の傷をグチャグチャペッタンと治したらテイマーになっていました〜黒い手ともふもふ番犬とのお散歩暮らし〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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37.飼い主、変態が怖い

「おにく! おにく!」

『ニックニク!』

『ニクニク!』

『オーニクニク!』


 僕とケルベロスゥは歌を口ずさみながら、町の中を散歩していく。


 やっぱり言葉を話すケルベロスゥが珍しいのか、みんなの視線が集まっている気がする。


「お前達もう少し静かにできないのか?」


 マービンも少し恥ずかしいのかな。


「パパもいっしょにうたう?」


『パパさんどうだ?』

『一緒にどうぞ!』

『歌わない選択肢はないわよ?』


「はぁー、俺も歌えば良いんだろ!」


 僕達がジーッとマービンを見つめると、ため息を吐いていた。


 パパも諦めて歌をうたうようだ。


「おにく! おにく! ニックニクー!」


 僕達はその場で足を止める。


「おにく! おにく! ニックニクー!」


「ねぇ、パパってへただね?」


『聞いてられないな』

『音痴ってやつだよ』

『見た目はそこそこ良いのに残念だわね』


 いざ、マービンに歌ってもらったが、耳を塞ぎたくなるような歌声をしていた。


「どうする?」


『これは言ったほうが良いんじゃないか?』

『さすがに恥ずかしいもんね』

『一緒に散歩もできないわよ』


 僕達はマービンに歌があまり上手じゃないことを伝えることにした。


「なぁ? さっきまで一緒にうたうって言ってたのにその扱いはないよな?」


 僕達がゆっくりと振り向くと、そこにはマービンがいた。


 さっきまで一人で前を歩いていたのに……。


「ぼくはなにもいってないもん!」


 それだけ言って、僕は一目散に逃げていく。


 だってあの顔は確実に怒っている時の顔だ。


『あっ、ココロせこいぞ!』

『ココロ待ってええええ!』

『逃げるわよー!』


 ケルベロスゥもすぐに逃げてきた。


『ココロ乗れ!』

『へへへ、パパ怒ってたね』

『器の小さい男ね』


 ケルベロスゥは僕の襟元を咥えると、持ち上げて背中の上に乗せた。


「おい、待て!」


 マービンも追いかけてこようとするが、ケルベロスゥの速さに追いつけないだろう。


 だってシュバルツに乗っていないもんね。


 たしか冒険者ギルドはあっちだったかな?


「ケルベロスゥあっちだよ!」


『あいよ!』

『いっくよー!』

『レッツラゴー!』


 マービンに捕まらないように、僕達は逃げるように冒険者ギルドに向かった。



『なあなあココロ?』


 ケルはジーッと僕の顔を見てきた。


 僕はスッと目を逸らす。


『ココロって方向音痴だよね?』


「うっ……」


 そうだよ……。


 森でも迷子になったけど、町でも迷子になったよ!


 だってどこを見ても同じなんだもん!


『それ私達も人のこと言えないわよ?』


『うっ……』


「そーだ! そーだ!」


 マービンのことをベロは音痴だって言っていたけど、僕達は方向音痴ってやつらしい。


 やっぱり似たもの同士だね。


 それにしても冒険者ギルドは真ん中にあるって聞いていたけど、真っ直ぐに進んだら真ん中ってわけではないんだね。

 

 気づいたらいつのまにか人気がないところに彷徨っていた。


『なんか不気味なところだね』

『こういうところには変態が多いから気をつけなさい?』

「へんたい?」

『姉さん! ココロに変なことを教えないで!』

『変態より殺人犯とかじゃないか?』

『兄さん!』


 ケルとスゥが何かを言っているが、僕には全くわからない。


 あとでベロに聞いてみようかな。


――ドン!


 後ろから大きな音が聞こえてきた。


 だけど振り返っても誰もいない。


「グオォォ……」


 この声はどこから聞こえているのだろうか。


 もう一度振り返るが本当に誰もいない。


 これがスゥの言っていた変態ってやつだろうか。


「はやくかえろうよ……」


『コ……ココロ怖いのか?』

『ぼっ……僕がいるからだだだ大丈夫!』

『そっ……そうよね……』


 ケルベロスゥの尻尾はいつもより垂れ下がり、股の間に挟んでいた。


 やっぱりケルベロスゥも変態が怖いのかな。


「グゥォォォ……」


「ひぃ!?」

『ヒイイイィィィ!?』


 大きくなる声に僕達はびっくりしてしまった。


『ワオオオオオオ!』


 勢いよく走っていくケルベロスゥの背中を必死に掴み僕は目を閉じた。


「あなた達が変な声を出すから逃げたじゃないの!」


「お前が俺の股間を蹴ったからじゃないか!」


「あんた達が邪魔だったから仕方ないわよ! それに真っ青から真っ黒になっても似たようなものよ!」


「おいおい、女がそんなこと言うなよ……。そもそもお前達警備隊から逃げているらしいな?」


「ギクッ!?」


「ここで捕まえたら、あの子達も喜んでくれるかしら?」


「お前らもあいつらに付きまとっているやばいやつらじゃないか!」


「何言ってるんだ? 俺らはバレずに隠れているからいいんだよ」


「そうよ? 昨日は部屋に侵入しようとしたけど、壁一枚のところで我慢していたのよ?」


「おい、あいつらのほうがやばいやつじゃないか?」


「早く逃げようぜ」


「俺達から逃げられると思うなよ?」


「ヒイイイィィィ!?」


 僕達がいなくなった場所で、誰かが言い合いをしていたことを僕達は知ることはなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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