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【連載版】魔獣の傷をグチャグチャペッタンと治したらテイマーになっていました〜黒い手ともふもふ番犬とのお散歩暮らし〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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26.飼い主、遠い記憶

「心起きなさい」


「まだ眠いよー」


「ケルベロスゥが散歩するのを待っているよ?」


「ママが行って――」


 布団で顔を隠そうとしたら、すぐに引っ張られた。


『ワン!』


 次々と大きな物体に覆い被されて身動きが取れない。


「もう……そんなに舐めないでよー」


「心が早く起きないからよ」


 僕が目を覚ますと大型犬ケル、ベロ、スゥ、それとママが起きるのを待っていた。


 ケルベロスゥを散歩するのは、僕のこの家での役割になっている。


 正確にいえばママとパパが忙しいからね。


 でも、ケルベロスゥって一匹じゃなかったかな?


 少し疑問に思いながらも、早く散歩に行きたいのか僕の顔をペロペロと舐めてくる。


 このままだと顔がベタベタになるまで舐め続けられるだろう。


 初めてケルベロスゥを見つけた時は子犬だったのに、今じゃ寝転がった僕より少し小さい程度だ。


 まぁ、小学高学年になっても、背の順だと一番前だもんね。


 早く大きくなって楽に散歩がしたいな。


 僕は着替えると、いつものようにケルベロスゥにリードを付けて、あとは体に巻き付けてるだけだ。


 僕の体の大きさだと、三つも持てないからそのまま離しちゃう可能性があるからね。


「ケルベロスゥ行くよ!」


 いつも嬉しそうにリードを付けるのに、なぜか今日に限ってはリードを自分で咥えていた。


 三匹とも頑固だから、こういう時に限って言うことを全く聞かないんだよな。


「あっ、ついでだからお父さんにお弁当を届けてもらっても良い? 連絡はしておくからさ」


 ママも朝から仕事があるのに、パパのお弁当を作っていた。


「パパはまた呼ばれたの?」


「そうみたいね。置き手紙があったわ」


 見せてもらった手紙には病院に呼ばれたと書いてあった。


 大きな病院でお医者さんとして働いているパパは時折呼ばれることがある。


 大体は当番制で家に帰って来ないことも多いが、家にいても担当患者の容態が悪くなると夜中なのに連絡がかかってくるらしい。


 病院も社畜ってやつなんだろう。


 新しい言葉を覚えたから、ついつい使いたくなっちゃう。


 この間もパパに社畜って言ったら、困った顔をして頷いていた。


『ワンワン!』


 そんな中、末っ子のベロはお弁当を見つめている。


 持っていきたいのかな?


「ベロはリードを咥えているからなー」


『クゥーン』


 少し悩んでいると、ベロは僕にリードを渡してきた。


 そしてお弁当が入っている巾着の紐を咥えた。


 僕にリードを持てってことだろう。


 それを見ていたケルとスゥもお弁当を持ちたいのか、リードを僕に渡してきた。


 結局いつものようにリードを体に固定させて、散歩スタイルの完成だ。


「ケルベロスゥは心を守ってあげてね」


『ワン!』


 ケルベロスゥは言っていることがわかったのか返事をしていた。


 お弁当の代わりに水筒とお菓子が入った袋をケルとスゥにも渡していた。


 動物のお医者さんをしているママはケルベロスゥの気持ちがわかるのかな。


 頑固なケルベロスゥはママには逆らわないからね。


「ママ行ってくるね!」


「いってらっしゃい。パパにも頑張ってて言っておいてね」


 外から入ってくる日差しが眩しくて、周囲は真っ白になった。


 ♢


「んっ……」


 顔に触れるもふもふした感触に僕は優しく触れる。


 近くでグルグルと喉が鳴るような音が聞こえてきた。


『おい、お前だけずるいぞ』

『僕が近くだから仕方ないよ?』

『私の首の毛も柔らかいわよ』


 何かが耳元で会話をしている。


 ケルベロスゥって話すことができたっけ?


 そう思いながら、目を開けると気持ちよさそうな顔をするベロと歪みあっているケルとスゥがいた。


 さっきまで見ていたのは夢だったのかな?


 それにしてもどこかケルベロスゥに似ているような気がする。


 それに僕も同じ声をしていた。


 ただ、ママは僕のママとは違ったし、〝病院〟ってところがどこかわからない。


『おっ、ココロ大丈夫か?』


 僕が目を覚まして、ジーッと見ていたことに気づいたようだ。


「ん? ぼくはげんきだよ?」


 その言葉に三匹とも嬉しそうな顔をしていた。


『やっと起きたのね。元気ならよかったわ』

『魔力の使い過ぎはダメだからね!』


 どうやら魔力ってのを使いすぎると体に良くはないらしい。


 魔力ってなんだろう……?


 僕が首を傾げていると、おててさんが床から出てきて手を上げていた。


『おててさんへのお願いは一日三回までだよ!』


 おててさんも指を三本立てている。


「はーい!」


 僕はおててさんのマネをして元気に手をあげる。


 ただ、気になっている存在が隣にはいた。


「おててさんのおともだち……?」


 手の形が違うおててさんがそこにはいた。


 まるでおててさんとは別の違う何かなんだろう。

お読み頂き、ありがとうございます。

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