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【連載版】魔獣の傷をグチャグチャペッタンと治したらテイマーになっていました〜黒い手ともふもふ番犬とのお散歩暮らし〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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15.飼い主、グチャグチャペッタンしたい

 ケルベロスゥが噛みつこうとしたタイミングで、僕の隣を黒い何かが通り過ぎる。


 あれはシュバルツかな?


 一瞬すぎて気づかなかったが、いつのまにかビッグベアーの近くにシュバルツがいた。


 ビッグベアーと遊びたいのかな?


『うおぉぉ、なんだ?』

『急になによ!?』


 突然現れたシュバルツにケルベロスゥも驚いている。


 シュバルツは高く脚を上げると、そのままビッグベアーの顔に向かって振り下ろした。


――グチャ!


 鈍い音が森の中に響く。


 その行為が何度も何度も繰り返される。


 僕もびっくりして時間が止まったように感じた。


 シュバルツは温厚な子だと男から聞いている。


「シュバルツ……」


 隣にいた男も驚いて、その場で立ち止まっている。


 僕のスキルの影響で気性が荒くなったのかな?


 それなら謝らないといけない。


 僕と男は急いでシュバルツの元へ向かう。


「シュバルツもういいんだぞ!」


『ヒヒーン!』


 それでもシュバルツは泣いているかのように、声をあげてビッグベアーに脚を叩きつける。


 僕達はそんなシュバルツを眺めることしかできなかった。



 しばらくすると、シュバルツは僕達の元へやってきた。


 怖がらせないようにゆっくりと近づき、男の頬に自分の鼻をくっつけていた。


 今は冷静になっているのかな?


「さっきは急にどうしたんだ?」


『ヒヒン』


 シュバルツはどこか褒めて欲しそうな顔をしていた。


『こいつはご主人様に怖い思いをさせたあいつを許せないって言ってるぞ』


「ケルはわかるの?」


『僕も言ってることはわかるよ?』

『むしろココロ達には聞こえないのかしら?』


 動物にしか聞こえない言語があるのかな?


 僕も男もケルベロスゥの声は聞こえるけど、シュバルツは鳴いているだけだ。


「そうか……ありがとう」


 男はシュバルツを優しく撫でると嬉しそうにしていた。


 シュバルツは男を守ろうとしていたのに、自分が怪我して動けなくなったことを気にしていたのかな?


『なあなあ!』

『ココロ! ココロ!』

『私達も頑張ったのよ?』


 ケルベロスゥ尻尾をブンブンと振って、僕の周りをクルクル回っている。


 これは褒めて欲しいのかな?


「みんなありがとう!」


『俺様がいつでも守ってあげるからな!』

『僕が一番に守るよ!』

『私が全て解決するわ』


 なぜかケルベロスゥはお互いの顔を見合わせていた。


『いやいや、強いのは俺だろ!』

『この体は元々僕のだよ?』

『女子力もないやつらに任せられないわ』


 気づいた頃にはお互いに威嚇して唸り始めた。


 また兄弟喧嘩が始まったのだろうか。


 でも、今はそれどころではない。


「まずはグチャグチャペッタンしないと!」


『はぁ!?』

『へっ!?』

『なっ!?』


 さっきまで喧嘩していたケルベロスゥは、驚いた顔で僕を見つめる。


「だってけがしてるよ?」


 体からは血がポタポタと垂れている。


『そんなの舐めてたら治るぞ!』

『そうだよ? あんなの教育に悪いよ?』

『そもそも美的センスが足りないのよ?』


 ゆっくりと後ろに下がっていくケルベロスゥ。


「そんなにぼくのことがきらい?」


『いやいや、ココロは好きだぞ!』

『僕も大好きだよ? でも、僕達今は意識があるよ?』

『そうよ! せめて死んでからにしなさい!』


 ケルベロスゥが死んだら、僕はひとりぼっちになってしまう。


 おててさんはたまにしか出てこないもん。


 そのことを考えると、涙が出てきそうになってきた。


「しんじゃうの?」


『おいおい、泣くなよ? もふもふさせてやるぞ?』

『みんながココロをいじめるからだよ! 僕がいるから大丈夫だよ?』

『私達がそんなに簡単に死ぬはずないわ』


 僕を慰めようとケルベロスゥは寄り添ってきた。


 みんな優しいね。


「ちゅーかまえた!」


 ケルベロスゥにギュッと抱きつく。


 近くにきたから捕まえることができた。


『ふぇ!?』


「ならけがをなおさないとね!」


 僕がにこりと笑うと、地面からおててさんがニョキっと生えてきた。


『なぁ……』

『ココロ……』

『もう見たくないわよ……』


「グチャグチャペッタンだよ?」


『やめてくれえええええええ!』

『いやだよおおおおおおおお!』

『やめなさあああああああい!』


 ケルベロスゥの嬉しそうな声が森の中に響いていた。

お読み頂き、ありがとうございます。

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