表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】魔獣の傷をグチャグチャペッタンと治したらテイマーになっていました〜黒い手ともふもふ番犬とのお散歩暮らし〜  作者: k-ing☆書籍発売中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/71

12.飼い主、馬を助ける

『ヒイイィィィ!? びっくりさせるなよ!』


 どうやら男の声にケルも驚いていたようだ。


『あんたの声でこっちまでビックリするわよ』

『とりあえずどっちもうるさいよ? それよりもココロはここに隠れて』


 ケルベロスゥは僕の隣に来て警戒を強める。


 どこかその姿を懐かしく思いながらも、町の子に嫌われていたときに助けてくれた兄と姉を思い出す。


 末っ子なのに僕とは全然違うな……。


「やっぱり魔獣が話しているぞ……」


 男もなぜかケルベロスゥを見て驚いていた。


 普通の魔獣って話さないのだろうか。


 ケルベロスゥしか見たことがないため、何が普通なのかわからない。


「すまないがそっちに行っても良いか?」


『来るなと言ったはずだ』


 警戒を強めているケルベロスゥを横目に少しずつ近づいて来る。


 ひょっとして気になっているのは僕達ではないのかもしれない。


『それでお前は何のようだ?』


「そこの馬に用事があってね」


 おててさんがグチャグチャと傷口を触っている馬に興味があるのだろうか。


 男もグチャグチャしているところが見たいのかな……。


 僕は目を閉じたくなるくらいなのに。


『これ以上近づくと噛み殺すぞ!』

『ココロには近づかせない!』

『あんた気持ち悪い趣味があるのね。でもこれ以上近づいたらタマを食いちぎるわよ』


 ケルベロスゥは男がおかしな人だと思っているのだろう。


『グルルルルル!』


 三匹とも近づいてくる男に唸っている。


 やっぱりケルベロスゥは僕の番犬だ。


 そんなケルベロスゥの頭を僕は撫でる。


 ついでにもふもふして、毛並みの確認をする。


『やめんか!』

『力が抜けちゃうよー』

『ほらほら、もっと撫でてもいいよ?』


 どこか嬉しそうに尻尾を振っていた。


 それにスゥが話した後に、ケルベロスゥはお腹を向けて、寝転がっている。


 ケルとベロは必死に抵抗しようと歯を食いしばっているが、体は正直なんだろう。


 スゥは舌を出して嬉しそうだ。


「ほらほらほら!」


 僕はケルベロスゥのお腹をもふもふする。


 お腹は背中と違って、少し毛がふわふわとして柔らかいね。


「馬に何をやっているんだ? せめて弔いたいんだが……」


「あっ……?」


 俺達は男のことを忘れていた。


 そのまま気にすることなく近づいてきた。


『おい、食いちぎるぞ!』

『タマ一つじゃ足りないのかしら!』


 ケルベロスゥも気づいたのか、すぐに立ち上がった。


 ただ、尻尾はブンブンと振っている。


 時折僕の体に巻き付いては、チラチラとこっちを見ている。


 まだもふもふが足りないのかな?


 それにしてもスゥは何を言っているのだろうか。


 タマってここには猫はいないのにな……。


 それに近づいてくる男を見て、僕は大丈夫なような気がした。


「みんなだいじょうぶだよ?」


 続けてケルベロスゥのお腹をもふもふすると、そのまま僕の上に被さってきた。


 相変わらずケルベロスゥは大きいな。


「ありがとう」


 男は僕の横を通り抜けると、そのまま馬に手を触れた。


「俺を逃がしてくれてありがとう……」


 男の瞳からは一筋の涙が流れていた。


 きっとケルベロスゥを見て驚いていたのは、馬が食べられると思っていたのかもしれない。


 そっと馬に頬を合わせる。


 馬も嬉しいのか震えている。


 いや、あれはおててさんがグチャグチャして、震えているように見えていただけだった。


「すまないがこれを止めてくれないか? これでも私の家族みたいなものだ」


 男は馬を自分の家族だと言っている。


 僕にとってケルベロスゥと同じような気持ちなんだろうか。


 僕はおててさんに止めるように声をかけようとした瞬間、馬の目がパチパチと瞬きをしているように見えた。


 おててさんは隣で丸を作っている。


「もうなおったよ?」


「治った?」


 男はおててさんを見ると、首を傾げていた。


「こっちをみてって」


 おててさんは馬に指をさしていた。


 さっきまで傷口をグチャグチャしていたところは、しっかりと閉じており元の姿に戻っている。


「おっ……お前!?」


『ブルルーン』


 馬は嬉しそうに男の頬にスリスリとしていた。


『おい、ココロ! 手が止まっているぞ?』

『もっとしないの?』

『はやく! はやく!』


 ケルベロスゥは馬が起きたことに、全く興味がないようだ。


 その後も僕は寝転びながら、ケルベロスゥをもふもふし続けた。

お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

TOブックスより書籍発売中 コミカライズ企画進行中
畑で迷子の幼女を保護したらドリアードだった。〜野菜づくりと動画配信でスローライフを目指します〜
▼ここから作品に飛べます▼
配信を覗く
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ