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砂上の狩人  作者: eight
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第65話 時をかける幼女①

いつも読んで頂き、ありがとうございます。

明日、2月27日から諸事情により多忙となりますので、誠に勝手ながら2週間くらい投稿をお休みしたいと思います。

ご理解いただけますと幸いです。





えっ?・・・バイオハザード9発売?

い、いや、諸事情による多忙ですよ・・・

黒のローブにとんがり帽を被った女が、コンクリートで出来た建物の間を、箒に跨がり飛んでいく。

曲がり角を曲がると、道は無く袋小路になっていた。

女が舌打ちをして向きを変えようと時、背後から二人の男がやって来る。


「もう逃げられんぞっ!魔女モルン!」

「アンタらもしつこいね。ワタシはただ楽しんでるだけだよ。別に世界を滅ぼそうなんて考えちゃいないさ。」

「貴様がそのつもりでも、貴様の行動一つで歴史が大きく変わるかもしれんのだ。悪い様にはしない、大人しく我々に捕まれ。」

「何だいそりゃあ、ワタシはただ生きてるだけでも罪ってことかい?だいたい、捕まえようとする側の『悪い様にはしない』なんて言葉、信用出来るわけないだろう。」


モルンが言い終わる前に、後ろにいた男が何かを飛ばした。

「っ!」

モルンが足を見ると太ももに刺さった透明な注射器が姿を現した。


(これは・・・錬金術の。)


「今だ!」

二人の男が捕らえようした瞬間、モルンが手を翳す。

するとフラッシュのように青い光が瞬いた。

光を受けた瞬間、男たちの動きが止まる。


モルンは自身の身体を見た。身体がどんどんと縮んでいく。


(退行毒・・・また厄介なものを。このままでは直に魔力も失われる。その前に逃げるか。)


モルンが目の前に手を出すと、掌の上に青い光で出来た時計が現れ、短針と長針が凄い勢いで回りだす。

そして、青い光に包まれ、モルンはその場から消えた。

次の瞬間、男たちが動き出した。


「しまった!逃げられたか・・・」

「どうします?」

「どうするもこうするも、最早この時代にはいないだろう。我々としてはどうすることも出来んさ。」






一面の砂地に突如青い光が走り、モルンが現れる。

モルンは辺りを見渡した。


(砂漠・・・だとすれば、アビドかギルニアか。)


モルンは再度、自身の身体を確かめた。6歳くらいの見た目まで退行していた。

手を翳し魔力を込めるも、小さなつむじ風が出来るだけだった。


(この魔力ではまずいな・・・)


モルンは再度、辺りを見渡す。

一面の砂原。町の気配は無かった。


(何とかして町まで出なければ・・・)


その時、上空から声が聞こえた。

「あれぇ~!?」

見上げると一体のハーピーが降りてくる。

モルンは咄嗟に身構えた。

「一人?迷子かな?」

ハーピーはモルンの両親を探すように辺りを見ていた。


金髪のベリーショート。活発な印象な女だった。見た目では25歳前後だろう。

危険な魔物かと思ったが、そのハーピーの着衣に付いている紋章を見てモルンは警戒を解いた。


(あの紋章はハーラル王家のもの、つまりここはギルニアか。)


「君は迷子?お父さんとお母さんは?」

ハーピーの問い掛けにモルンは少し思案する。


(この女についていき、町に出るのが得策か・・・)


モルンは嘘を付いた。当然、本当の事など言えない。

病気の母親を治す薬を探しに来たが、迷子になってしまった。

砂漠のど真ん中にこんな子供が一人で来るなどと、自分でも無理があると思ったが、その女は思いの外、すんなり受け入れた。

「こんな小さいのに立派だね!君の名前は?」


モルンは迷った。この時代であっても「時の魔女モルン」の名は危険かもしれない。

そうして遥か昔に捨てた本名を言うことにした。


「・・・アナスタシア。」

「アナちゃんかぁ。可愛い名前だね!」

女は笑顔で言った。恐らく砂漠に一人きりだった少女の不安を取り除こうとしているのだろう。


「ワタシの名前はポッポリー!ヨロシクね!」

「お姉ちゃんは王国の人なの?」

「そうだよ!ワタシはこの砂漠の保安部隊なんだよ。砂漠で困ってる人がいたら助けたり、危険な魔物がいたら周りの人たちに教えてあげる仕事をしてるの。だからアナちゃんのことも助けてあげるね。」

「王都に行きたい。」

「ニグへ?ニグに住んでるの?」

「お母さんの薬、錬金術で作れるの。」


たしか王都ニグにはルドマン・ギャレドスのアトリエがあったはず。


「錬金術?あぁ、エドゥリアさんのお店だね。」


(エドゥリア?ルドマンの血縁か、或いは何処かで世界線が変わったか・・・)


「じゃあ、連れてってあげるね。」

ポッポリーは翼を広げ、背中に掴まるよう促した。


その時、つむじ風が吹き、中から鳥の顔をした男が現れた。

「わあぁ!ルーゼス様!急に驚かさないで下さいよ。」

ルーゼスはポッポリーの言葉を無視してモルンを見る。

モルンもその姿を見つめた。


(土地神か・・・当然、私の正体に気付いているな。)


「ポッポリーよ。その娘をこちらに渡せ。」

「えぇ!何ですか急に。アナちゃんはただの迷子ですよ。」

「いや、その者は危険だ。」

「何言ってるんですか、こんな可愛い子供が危険なわけないじゃないですか!」

モルンはわざと不安そうな顔をして、ポッポリーに掴まった。

「ほらぁ!怯えちゃってるじゃないですかぁ。」

「いいから、こちらに渡せ。」

「嫌です。」

「渡せ。」

ポッポリーは大きく口を膨らます。

「なのぉー!!」

大声と共に衝撃波が走り、ルーゼスが一瞬怯む。


その隙にモルンを背中に乗せたポッポリーが大空へ飛んで逃げた。

「スゴいでしょ?『なの砲』って言うんだよ。」

ポッポリーは得意気に笑う。

「でも、後でルーゼス様に怒られちゃうなぁ。」

少ししょんぼりしながら、ポッポリーはニグへ向けて飛んでいった。


その姿をルーゼスが見つめる。

「魔力はほぼ失われていた。今のままでは危険はないか・・・」





王都ニグにある錬金術のアトリエ『ルプランデル』に着いた二人。

「こんにちわぁ~!」

カウンターの向こうで給仕服の女が頭を下げる。

「いらっしゃいませ。」

「ローゼルさん!エドゥリアさんはいますか?」

「マスターは今、外しております。」

「あぁ、そうなんですか?どうしようかな。」

「どうかされましたか?」

「実は、この子のお母さんの病気を治す薬を作って貰いたくて・・・」


ローゼルがモルンを見る。一瞬だけ目付きが変わったが、ポッポリーは気付かなかった。

モルンもローゼルを見る。美しく、どこか冷たい印象であった。そして、人間ではないこともすぐに分かった。


(これがホムンクルスか・・・)


「ポッポリー様。」

「はい?」

「そう言えば、一時間ほど前にラムゼン様がお探しになっていらっしゃいましたよ。」

「えっ!本当ですか?朝は何も言ってなかったのになぁ。」

「工業区の方へ行かれると仰ってました。薬の件は私の方で聞いておきますので、宜しければ。」

「そうですか。えぇ~どうしよう。アナちゃんは大丈夫?」

モルンは頷いた。

「じゃあ、ローゼルさん。直ぐに戻るんでアナちゃんをお願いしますね。」

そう言うとポッポリーは店を出ていった。


再び二人は見つめる。先に口を開いたのはモルンだった。

「人払いか?」

「その方が宜しいかと。」

「確かにな。」

「ご所望は退行毒を治す『イルシアの雫』ですね。」

「作れるか?」

「素材が一つ足りませんが、砂漠で手に入りますので、ポッポリー様に頼んで頂ければ。」

「そうか・・・だが良いのか?私は・・・」

時の魔女だと言いかけた時、遮るようにローゼルが言う。

「貴方様はポッポリー様のお知り合いであり、お客様でしかありません。」

「そうか・・・済まないな。」


ポッポリーを待つ間、ひとつ思い出し尋ねた。

「この店の主人はルドマンではなかったのか?」

「ルドマン様はエドゥリア様の曾祖父に当たります。」

「なるほど。その時代か。」





「ラクサーナの実ですかぁ。近くに危険な魔物がいなければいいですけどね。」

戻ってきたポッポリーにローゼルが必要素材を伝えた。

「とりあえず、行ってみますね。途中で誰かいたら手伝ってもらいます。」

「それが宜しいかと。」

「アナちゃん。それじゃあ行こうか!」



王都を後にして、ポッポリーに捕まりながらモルンは飛んでいく。

暫くするとポッポリーが何かを見つけた。

「あっ!良い人が居たよ!手伝ってもらおう。アナちゃん、しっかり捕まってね。」

そう言うとポッポリーは急降下をはじめながら、大きな声で叫んだ。



「ディケンズさぁ~ん!!」

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