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砂上の狩人  作者: eight
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第58話 ギルニアを統べる者⑦

ライラとルルが左右に跳んで躱す。そこへミルドが両手を叩き付けた。

同時に周囲の地面から炎が吹き上がった。


ルルは避けれたが、回避距離の短かったライラが炎を喰らって吹き飛ぶ。

「ぐはぁ!」

追撃に再度跳び、ライラに拳を叩かつけるも、寸前のところでライラは砂の中へ逃げ込んだ。

「逃がすかよっ!」

ミルドは自身の身体を爆発させる。

爆発は周囲の地面を抉り、砂ごとライラを吹き飛ばした。


爆発後の隙を狙い、ルルが背後から殴り飛ばす。

受け身を取ったミルドがルルに向け、両腕を突き出し、腕に纏わせていた炎が飛ばす。

ルルは風魔法でそれを弾き返した。

ミルドは返ってきた炎にそのまま突っ込むと、全身に炎を纏わせてルルに体当たりした。

不意を突かれたルルは避け切れず、吹き飛ばされ地面を転がる。


立て直したライラが棘のような円錐状の砂の塊を幾つも飛ばした。

「そんなものっ!!」

ミルドは避けることはせず、砂を殴って蹴散らしながらライラに突進する。

しかし、ひとつの砂を殴った時、中から先程飛ばされた直剣が現れた。

咄嗟に身体を反らしたが剣は腕を掠めて、ミルドの腕に傷を入れた。


ミルドは突進を止めた。

「へへっ!どうだクソ女。」

軽口を叩くライラだったが、もうその身体は傷だらけであった。

「ふっ!やっぱお前は面白ぇな。」

ミルドは右腕に出来た傷に左手をあてると、炎によってその傷を焼き塞いだ。


ミルドが再び両手に炎を纏わせ、地面に両手を付く。

ルルが阻止しようと風魔法を放つも、一切の阻害にならなかった。

ミルドが気合を入れた瞬間、先程より広範囲の地面から炎が噴き上がった。


分かっていたライラは砂を盛り上げ、踏み台を作ると、高く跳んで躱しながら、ミルドへと殴りかかった。

ミルドは炎を飛ばし対抗したしたが、横から飛んできたルルの風が炎を掻き消す。

「喰らいやがれぇ!」


ミルドは前に踏み出し、ライラの一撃を自ら貰いに行く。それを同時にライラの腹目掛けてカウンターを狙った。

両者が同時に攻撃を喰らう。しかし純粋な力はミルドに分があり、ライラはそのまま大きく殴り飛ばされた。

「うっ・・・」

地面に落ちたライラが呻き声を上げる。


「まさか人間界(こっち)でここまで楽しめるとは思わなかったよ。」

ミルドは腕に炎を纏わせながら、ゆっくりとライラに近づいていく。

「お前は楽しめたか?」

ミルドの問い掛けに、最早立ち上げる体力も無かったライラは中指を立てて返した。


ミルドは鼻で笑った。

「そうか。そいつは残念だ・・・じゃあ終わらてやる。」

倒れているライラの元まで来たミルドが右手を振り上げた。

その瞬間、ライラはミルドの足を掴み、砂へ潜って引き摺り込もうとする。

「させるかっ!」

ミルドが自身を爆発させる為に力を込めたその時。


「ライラ!逃げてっ!」


珍しくルルが声を上げた。それと同時にルルがミルドに何かを投げつける。


ライラはルルの言葉に手を離し、本能的に地中深くへ退避する。

「無駄だ!」

ミルドを中心に先程より大きな爆発が起き、周囲の砂を巻き上げた。

ルルは爆風に巻き込まれて吹き飛ばされる。


砂煙が晴れた時、そこにはミルドが一人立っていた。しかし、その足元には血溜まりが出来ている。

ミルドは目を見開き、自分の身体を見た。

ミルドの左半身は爆発によって吹き飛ばされていた。


「なん・・・だと・・・」


ミルドは口から血を吹き出し、その場に倒れた。


暫くし、ライラが地中から這い出てきた。

「クソ。出るだけでも一苦労だぜ。」

ふと見ると、ルルがミルドを死体を見つめていた。


「こいつは・・・一体何が起きたんだ?」

「パイルフレイムを、投げ込んだ。」

「誘爆させたってことか?」

「うん・・・自身の爆発じゃないから・・・」

「そのままもろに爆発を喰らったって事か・・・」


「しかし・・・」

ライラは地面に倒れ込む。

「これ以上は無理だな。」

ライラが大の字に寝転がった時、ルルの耳がピンッと反応し、そちらを見た。

ライラも釣られて見る。

「・・・マジかよ。」


視線の先には、上空に浮かぶ魔法陣が再び赤い光を放っていた。



「ブロウ。まだ戦えるか?」

ライラたち同様、魔法陣を見つめるディケンズが問い掛けた。

肩で息をしながらブロウが答える。

「戦うだけなら出来るが・・・さっきの嬢ちゃんよりもヤバいのが来るんだろ?」

「恐らくな・・・」



魔法陣から地面に赤い光が放たれ、光の柱が出来る。

しかし、そこから現れたのは多数の魔物ではなく、2体の巨大な魔物だった。


一体は、4mを越える灰色の体色をした一つ目の巨人。

武器は持っていないが、両手にバチバチと電気を纏っており、額には小さな角が生えている。

もう一体は、それよりも大きな体と長い首を持つ双頭のドラゴン。紫色の鱗で覆われ、翼と長い尾を有している。



2体を見たミゼットは舌打ちをした。

「ギガントケルズにデュランマドラか・・・こいつは終わりかもしれんな。」



ヘイリッドはその姿を見た瞬間に、ミゲイルを見た。

ミゲイルもまたヘイリッドを見る。

ヘイリッドが頷いたを見ると、ミゲイルは兵たちに向け、声を張り上げる。

「撤退!撤退しろっ!」


「撤退だっ!」

「下がれっ!」

ミゲイルの令に兵たちは声を上げ、残っている魔族たちを捌きながら後退していく。


2体の魔物に対し、今度は自分たちの番と謂わんばかりに砂漠の魔物たちが向かっていく。


サソリの魔物ウィーグテイルが巨人の足元から現れ、毒針を飛ばす。

しかし、巨人はその尾を掴むと持ち上げて、振り回しながら近くにいたに獣脚類の肉食竜アルドギドスに向けて投げつける。

2体がぶつかり倒れたところへ向け、口を開くと、角が光りだし、口から雷撃が放たれて2体を吹き飛ばした。


双頭竜の方へも何体かの魔物が向かうが、片方の首が口を開き、そこから放たれた水流ブレスによって蹴散らされていく。


皆はただ、その光景を呆然と見ていた。

そんな中、少女の悲鳴が響く。

巨人によって蹴りあげられたサイの魔物ルクディロスに乗っていたポッポリーが弾き飛ばされたのだ。


巨人はポッポリーの声に反応し、そちらに向けて口を開き、雷撃を放つ。


「ポッポリーっ!」

ライラが叫ぶより早く、ルルが跳んだ。

ポッポリーを守るように間に入ったルルに雷撃が直撃する。

ルルは声に成らぬ悲鳴を上げ、煙を上げながら墜落した。

「ルル!」


弾き飛ばされていたポッポリーもまた、頭から血を流し、気を失った。



それを見たライラは身体が震わし、小さく呟いた。

「・・・さねぇ。」

そして、ライラの中で何かが切れた。



「テメェだけはっ!絶対に許さねぇぞっ!」


ぶちギレたライラが手を翳すと、周囲の大気が震え、砂がどんどんと集まり、巨大な砂の球体を作り出した。


巨人もそれを見て、再び雷撃を構えた。

「うおぉぉ!!」

ライラが雄叫びを上げると球体から線状の砂が放たれる。

巨人も同時に雷撃を放つ。

両者の間でぶつかり合い、押し合いが始まった。


拮抗していたが徐々に雷撃が押していく。

ライラは更に雄叫びを上げた。

自分でもどこに残っていたのか分からない体力と魔力を手に集中させた。

周囲の砂が更に集まり、ライラの魔法の勢いが増していく。


「死にさらせぇぇ!!」


叫び声と共に砂が太くなり、雷撃を呑み込みながら進む。

巨人の顔に当たると、頭が弾け飛び、巨人はそのまま後ろへと倒れた。


力を使い果たしたライラは、両膝と両手を地面に付き、荒い息をしながら、巨人の方を見た。


「・・・っ!」

倒れている巨人の身体が震えだし、身体が一回り小さくなると同時に頭が再生する。

「そんな・・・」

しかしライラには、もう戦うだけの力は無かった。

立ち上がった巨人は怒りに駆られて咆哮をあげると、ライラに向かって突進し始めた。


「クソ・・・これまでか・・・」


ライラは諦めて、その目を閉じた。


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