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砂上の狩人  作者: eight
39/54

第39話 再戦のアルドギドス

「クラウンが死亡しました。」


「・・・そうか。」女の報告にグライドは特に驚く事もなく答えた。

「どうされますか?」

「サーベルスはいるか?」

「いますが・・・宜しいのですか?万が一負ければ、勿体無い気もしますが。」

「万が一を考えても仕方ないだろ?それに他の者を何人も送るはめになるよりはマシだろう。」

「畏まりました。それと・・・」

女は少し言いあぐねる。

「何だ?」

「ミリオンが行きたいと。」

「ギルニアにか?」

「はい。」

「クラウンが死んだのであれば、アイツには無理だ。許可は出さん。」

「伝えておきます。」





ライラとディケンズは宿泊所に来ていた。

いつものようにエリーザの店で仕入れたパンと途中で狩った肉を焼いて食べる。

「そういや、聞いたか?ルルの奴が戦ったらしいぞ。」

ディケンズが切り出した。

「戦った?何とだ?」

「コズモンドの奴さ。」

「ああ、殺し屋の連中か。んで、勝ったんだろ?」

ライラは肉を喰いながら、興味無さげに訊いた。

「ああ。」

「まぁ、ルルだしな。心配の必要もねぇよ。」

「何でも果たし状が届いたらしいぞ。」

「果たし状?とんだ暗殺者だな。」

「まぁ、暗殺が専門って訳でもないらしい。」

「アタシらにも届くかもしれねぇって事か。」

「或いはな。」

「まぁ、何でもいいさ。来たら殺るしかねぇって事だろ。」

そう言ってライラは骨を焚き火に放り込んだ。




翌朝、宿泊所を出て、西に向かう二人。

岩など遮蔽物が少ない砂原地帯に出る。見通しの良さは有利にも不利にも働く。


「出来れば、前回と同一個体が良いな。」ディケンズが呟く。

「まだ生きてりゃ良いけどな。」

暫く二人が探すと、近くで魔物の威嚇音が聞こえてくる。

「近いな。」

「奴か?」

そこにはアルドギドスと対峙する3頭の中型竜の姿があった。

「ありゃあ、ギルニアラプトルか。」

鋭い爪と連携によって相手を追い詰める、一般的な肉食竜の一種。

アルドギドスの周りを囲むように立ち回り、それぞれが威嚇をしている。本来アルドギドスを相手に勝てる魔物ではないが。

「奴さん、こないだの奴だぜ。」ライラはソールオングルの光弾で破壊された肩の甲殻を見て言った。

「手負いと踏んで挑んだか。」


アルドギドスは咆哮を上げると、尻尾を振り回し、牽制と共に砂煙を起こした。

ラプトルたちは警戒しているが、煙の中から現れた顔が1頭に食らい付き、そのままもう1頭に投げ飛ばす。

ぶつかった2頭が転倒した。

残りの1頭が背後から取り付くも、身体を揺らして振り落としたところへ、火球を喰らされ絶命した。

立ち上がった1頭に食らい付き、地面へ叩き付けると、そのまま脚で抑え込む。


最後の1頭に顔を向けた直後、ディケンズの放った光弾が地面で爆発を起こす。

新たな敵の出現にラプトルは逃げ出した。踏まれていた1頭も爆発でアルドギドスが怯んだ隙に抜け出し、逃げていった。

アルドギドスはライラたちを視認する。

「悪いが、お前さんはアタシたちの獲物なんだよ。」


ライラたちを覚えているのか、獲物を逃がされたことに怒ったのか、アルドギドスは大きく身体を揺らし、咆哮を上げる。

それは開戦の合図であった。


ライラが走り出す、そこに向けアルドギドスが火球を放つ。

ライラは目の前に砂の壁を作り出し、火球を防いだ。

砂煙の中に突っ込んで跳ぶと、剣を横向きに振り抜く。

アルドギドスの口を捉え、口を裂くように傷が入った。

怯んだアルドギドスが咄嗟に尻尾を振り、ライラは籠手を防ぐが、そのまま大きく吹き飛ばされる。


追撃で火球を放とうとした時、背後から光弾が飛び、背中に直撃して爆発を起こす。

衝撃で前傾になったところに目掛け、立ち上がったライラが砂の中に手を突っ込み、砂の爪を繰り出した。

飛び出した3本の砂の爪がアルドギドスの顎に当たる。

ふらつき倒れそうになるところを堪えたアルドギドスは尻尾で砂煙を巻き上げた。


視界を隠す砂煙に向け、ライラが手を翳した。

「前と同じ手は喰わねぇよ。」

宙に舞った砂が、ライラの手の前に集まり大きな砂の玉を作ると同時に視界が晴れる。

こちらに向けて火球を放とうとしているところへ、ライラが砂の玉を放つ。

アルドギドスの放った火球は砂の玉を蹴散らし、そのままライラへ一直線に飛んでくる。

「ちぃ!」

ライラは横に大きく跳んで、そのまま砂に潜った。

アルドギドスは追撃せず、背後から飛んでくる光弾を大きく上に跳躍して躱し、尻尾をディケンズへ振り下ろす。

「くそっ!」

悪態をついたディケンズは、上から叩きつけられる尻尾を後ろに走って避けた。


アルドギドスは再び大きく咆哮を上げた。ライラに切られた口元に傷から血が吹き出す。


ライラがディケンズの隣に砂から出てくる。

「あと何発いける?」

「高出力なら、多分1発だ。」

「尻尾を狙えるか?」

「尻尾?動き回られちゃあ無理だぞ。」

「アタシが何とかする。」


そう言うとライラは駆け出す。

アルドギドスは火球は吐かず、噛み付こうとした。

ライラは股の下に滑り込むように避けながら、脚に一撃入れる。しかし、脚の堅い皮膚には傷が入らなかった。

ライラはそのまま尻尾の横を抜けながら、デザイルを落とし、裏に回った。

尻尾を振って砂煙を巻き上げながら、アルドギドスが振り返った。

視界が無い中、注意を引くために敢えて声を上げる。

「ほらっ!来いよ。アタシが怖ぇのか!?」

口元の傷から、火球は来ないと踏んだライラは、大きく下がりながら、砂煙を手元に集めて砂の玉を作る。


目の前まで来ていたアルドギドスの噛み付きを横に跳んで躱しながら、砂の玉を飛ばした。


砂の玉は左目に当たり、アルドギドスが怯んだのを確認すると、先程落としたデザイルに手を翳す。

カタカタと揺れたデザイルが、アルドギドスの左脚の周りを渦を描くように動き、流砂を作る。

アルドギドスは片脚が沈んだことにより、転ばぬように尻尾を地面に着けてバランスを取る。


「ディケンズ!今だ!」

「任せろ!」


ディケンズの放った光弾が、尻尾に当たって甲殻を砕いて爆発をした。

アルドギドスが呻き声を上げながら、大きく怯む。

ライラはすかさず走り出し、甲殻の剥がれた尻尾に渾身の一撃を放つ。

「邪魔な尻尾とおさらばだぜぇ!」

ズサァ!っと音と共に切断されるかと思いきや、剣は尻尾の中程で止まった。

「あら?」


アルドギドスは尻尾を振り上げ、剣ごとライラを上空に飛ばした。


「おわぁ!」

ライラは空中で体勢を立て直すと、頭に向けて剣を振り下ろす。

狙いがズレて角に当たるも、ヒビが入り、角が折れた。

衝撃で頭が下がったところへ、斧を抜いて駆け出して来ていたディケンズが首目掛けて、一撃を加える。


首から血が吹き出し、アルドギドスは大きく頭を上げ、再びライラが放り投げられた。

「おわぁ!」

そのままライラは砂の中へ落ちていった。


そうしてアルドギドスは最後の声を上げると、その場に大きく倒れた。


ディケンズが斧を引き抜いた時、背後からライラが出てくる。

「大丈夫か?」

「あの高さからだと、流石に衝撃が強ぇな。」

ライラが砂を払いながら、腰の辺りに手を当てる。



「リベンジ終了だな。」

ディケンズが一息ついた。

「もっと尻尾がスパッと切れる予定だったんだけどな。」

ライラが切れかけの尻尾を見ながら言った。

「あの太さで中に骨も通ってんだから、普通の剣じゃわミゼットみたいな馬鹿力がなきゃ、スパッとはいかねぇだろ。」

「そんなもんか・・・」

「まぁ兎に角、これで終いだ。剥ぎとっちまおう。」

「だな。モドンのジイさんの依頼は何だっけ?」

「さぁな。忘れちまったよ。牙とか角とか適当に剥いどきゃあいいだろ?」


二人があれこれ剥ぎ取っていると、背後からトコトコと歩いてくる者があった。



「にゃあ~」


その声に二人は動きを止めた。


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