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七、京城

 李残花、西宮慎、楚搖光、蘇落花四人が京城に着いた時、四匹の白馬に引かれる大きな馬車は城門から出てきた。馬車の周りに、馬に乗る随行は四人いる、四人は全て黒衣こくいを纏い、笠を被り、腰に刀を佩き、明らかに護衛だった。その馬車が城門を出ると、その後について、また同じ様な馬車が三台出てきた、その周りにも同じ様な護衛がついている。

 四人は道端に下がり、馬車の行列を眺めて李残花は言った。「この格好は、黒衣鏢局こくいひょうきょく鏢師ひょうし、こんなに沢山雇うとは、よほどのお金持ちだな」

「それはそうとも、あの方も知らないとは、どうやら嬢さんは地元の人ではないな」と応じたのは近くに立っている門番の兵士、李残花は今狐面を被っていないので、ただの江湖女子に見えた。

「その通り、今日着いたばかりだ」李残花は兵士に目を向け、微笑みを見せて聞いた。「ではあの方は、一体何者だろうか」

「あれは京城で最も大きな生地屋、はく家の馬車だ。白家の生地は、王宮の中でも使われているようだ」

「じゃあ彼らは今どこへ行くのか」

江南こうなんだ。そこで新たな店舗を開くと言ったけど」言って良いかどうかを考えるように、少し間を置いてから兵士は続けた。「実際は京城から逃げていると、皆分かっているさ」

 李残花は怪訝そうに聞いた。「逃げるって、なぜ」

「もちろん北方の戦火が京城まで延焼えんしょうするのを恐れるから、最近、京城から逃げ出すお金持ちは少なくない」と言ってから、兵士は一歩近付き、声を殺して言った。「実は、朝廷まで都を江南へ移るつもりだという噂もある。要件がなければ、お前らも早速離れた方が良いぞ」

「なるほどね。お気遣いどうも、でも生憎、要件があるから来た訳だ」と答えてから、李残花は振り向いて蘇落花を見た。「そろそろ入城しようか」

「そうですね、私が案内しますわ」と言って、蘇落花は三人を率いて城門を抜けた。


 蘇落花について、三人は市街にいる人集りを抜けて皇城こうじょうの近くに着いた。

「今の兵士は人たちが京城から逃げ出していると言ったけど、相変わらず非常に賑やかだな」と西宮が言うと、李残花は応じた。「それは覚え違いだわ。彼が言ったのは人たちではなく、お金持ちたちだ。逃げられる人はほんの一握り、逃げたくても逃げられない庶民の方がずっと多いわ」

 この時、先頭を歩く蘇落花は立ち止まった。「着きましたわ」

 ここは朱漆しゅうるし塗りの大門の前、門の上に「教坊きょうぼう」と書いてある扁額へんがくが掛かっていた。

 蘇落花が先に中に入り、門番は彼女を見たら、何も聞かずに四人を通した。

「教坊って、確か歌舞を教習するところだけど」と楚搖光は周りを見渡しながら言った。「公孫嬢様はここにいるのか」

 蘇落花は答えた。「はい、師匠の剣舞は剣術でもあって、踊りでもあります。ですから、師匠は羽衣衛ういえいの統領でもあり、教坊で踊りの師範も務めています」

「羽衣衛って?」

禁軍きんぐんに属し、皇帝を護衛する組織です。成員は皆女性で、普段は舞姫ぶきに混ざって、正体を秘密にしています」間を置いて、蘇落花は一笑して言い足した。「師匠と私以外はね」

 話している間に、蘇落花は三人を庭の奥にある部屋の前まで連れて来た。屋内から数人が話している声が微かに聞こえる。蘇落花が手を上げて扉を叩こうとした時、李残花は言った。「待って」

 そして李残花は懐から白い狐面を取り出して、それを被ってから言った。「はい、叩いて良いぞ」

 蘇落花が再び手を上げる前に、ふと屋内から一人の女性は声を上げて言った。「叩かなくて良い、入って」

 蘇落花が扉を開くと、屋内にいる四人が目に入った。

 扉に最も近いところに座っているのは四十代に見える綺麗な女性、蘇落花はまず彼女に一礼した。「師匠、ただいま帰りました」

 李残花も深く一礼して言った。「師匠、お久しぶりです」

 西宮もお辞儀をして言った。「公孫嬢様、ご無沙汰しております。昔、一度だけ会ったことがありますが、覚えておられますか」

 三人の言葉を聞くと、この女性が公孫嬢様と呼ばれる公孫桜こうそんおうだと分かり、楚搖光は思わず目を丸くして彼女に向けた。

 母親のような優しい眼差しで、入って来る四人を一々見てから、公孫桜はゆっくりと口を開いた。「落花、帰るのは早いね。残花、まさか君も来たわね。西宮君、お久しぶり、もちろん覚えているとも、私はまだそれほど老いていないわ。そして、この嬢ちゃんは?」

 楚搖光は慌てて答えた。「あっ、はい、私、楚搖光と申します。公孫嬢様に会えて、とても嬉しいです」

「なるほど、楚嬢さんだね。君に会えて、私も嬉しいわ」と言って、公孫桜は壁沿いに並ぶ座席を示した。「さあ、立っていないで、皆座ってから話そう」

 四人が着席した後、女中は茶を運んで来た。四人の前に茶碗を置いて茶を注いでから、女中は部屋を出て扉を閉じた。

「では紹介しよう」と言って、公孫桜はすぐ近くに座っている女性を手で示した。「こちらは兵甲府の二府主、顧嬢様だ」

「私はお嬢様なんかじゃない、名前は顧未離こみりだ、名前で呼んで良い」と言った顧未離は髪の短い若い女性だった。肩まで伸ばす髪の長さが不揃いで、まるで自分が刀で勝手に切ったようだが、全く醜くに見えず、却って凜然として颯爽たる風姿を感じさせた。彼女の座席の傍らに、一振りの雁翎刀が置いてある。話しながら、顧未離は入ったばかりの四人に目を向け、鋭い眼差しは刃が如き、全ての秘密を見抜けるようだった。

「はっ、失礼、忘れてしまったわ、顧将軍がこの呼び方が気に入らないね」と言って、公孫桜は次の人を示した。「そしてこちらは、儒門じゅもんから来た孟書楼もうしょろう公子だ」

 孟書楼は儒生じゅせいの格好をしている若い男、身に青い服を纏い、手に白い扇を持つ。彼の座席の傍らには一振りの長剣が置いてある。自分が言われたのを聞いて、孟書楼は両手を合わせて抱拳してから、微笑んで言った。「拙者はただ一介いっかいの儒生で、まさか今日は名が武林に轟く四人のお嬢様の中の三人にも会えるとは、光栄の極みでございます。唐門の唐敗嬢様がいないのはちょっと残念ですが」

 公孫桜は軽く笑った。「ふふ、ご謙遜を、儒門の次期当主と選ばれた孟公子の名前こそ、武林には知らない者がいないわ」

 最後に、まだ紹介されていないのは部屋の最も奥の隅に座っている、顔が陰に覆われる目立たない二十歳くらいの男だった。彼を一目見て、公孫桜は視線を戻し、まず顧未離と孟書楼に向けて、今入ったばかりの四人を紹介した。

「この二人なら、顧将軍と孟公子は既にご存知かと思うが、我が弟子の李残花と蘇落花だ。この方は東瀛の武士、名前は西宮慎、残花の友人だ」と言って、公孫桜の視線は楚搖光に留まった。「この楚嬢さんとは、私も今会ったばかりです」

 李残花は応じた。「この子は私が蜀中で出会った友人だ」

 諸人の注目を浴びた楚搖光はとても緊張して、頭を下げて言った。「は、はい。三人のお嬢様と、孟公子のご高名は、ずっと前から聞いおりました。無名の者ですが、今日は皆様に会えて、とても光栄です」

 孟書楼は楚搖光を見て、微笑みながら一礼した。

 顧未離も返礼として会釈してから、公孫桜に言った。「公孫嬢様、挨拶も済んだし、そろそろ本題に入ろうか」

「そうだね、では」と言って公孫桜は蘇落花を見た。「すみませんが、ここからの話は他人が聞くべからず。落花、君は西宮君と楚嬢さんを別室に連れて、きちんと招待しよう。残花はここに残ってくれ」

「用事があるなら、我らはこれ以上お邪魔しません」と言って西宮が立ち上がると、楚搖光も立ち上がり、二人は蘇落花に従って部屋を出て行った。

 部屋の扉が再び閉じられたのを見て、李残花は隅に座っている男に目をやり、口を開いた。「私の考えが正しければ、師匠の言う用事はさぞこの方とは大いなる関係があるのだろう」

 公孫桜は頷いた。「その通り、今日私は皇帝陛下の命を奉じて顧将軍と孟公子をここに集めたのはこのためだ。本来は戦力が少し足りないと思うけど、ちょうど君が戻ってくれて、これで十分だと思うわ」

 李残花は聞いた。「戦力?一体私たちに何をして欲しいかしら」

「護衛だ。君たちはこのしょう先生を無事に蘭州まで送って、彼を秦王に会わせてもらいたい」と公孫桜が話している間に、隅に座っていた男は立ち上がり、前に出た。

 公孫桜の話し声が消えると、男は口を開いた。「拙者の名は肖言しょうげん、陛下の伴読はんどくを務めた者で、曽て秦王殿下の伴読を務めたこともある」

 肖言は薄青の儒服じゅふくを着ている文人、彼が歩いて来る足捌きを見ると、武術には全く通じないことを李残花はすぐ分かった。李残花は暫く彼を見て聞いた。「伴読とは確か皇子たちに付き添って読書する人だな。あんたはなぜ秦王に会いたいかしら」

 肖言は答えた。「この旅の目的は秦王にを説得し、出兵して狼族の軍勢を後方から襲ってもらう。それによって京城の危機を解くのだ」

 李残花は言った。「あんたを侮るつもりはないけど、こういう大事なことのためなら、使者としては朝廷の高官を派遣すべきではないかしら」

 今回は公孫桜が答えた。「伴読には官位がないけど、皇子たちに最も近い人だ。この旧友の間柄があるから、宰相よりも信じられやすいかも」

「はい、陛下はまさにそういうつもりだ」と肖言は言い足した。「しかも陛下は既に拙者に交渉の全権を委ねた。秦王が出兵してさえくれれば、どんな条件でも呑んで良いと」

 李残花は言った。「どんな条件でも?皇位を譲っても構わないかしら」

 躊躇なく、肖言は頷いた。「皇位を譲っても構わないのだ」

 この意外な答えに、李残花は少し呆れ、暫くしてまた言った。「しかし使者の護衛なら、朝廷が軍隊を出すべきではないか。どうして私と孟公子みたいな江湖人に任せるかしら」

「軍隊は目立ち過ぎて、遅すぎるから」と公孫桜は答え、間を置いてまた言った。「しかも、護衛に使える兵力など今はもうない」

 李残花は顧未離を見て言った。「それはつまり、北方の戦況はよほどまずいんだな」

「何を隠そう、そうだとも」と顧未離は答えた。「本朝の軍勢は本来狼族より少し上回っていたが、精兵の大半が秦王の麾下にあるので、今使える兵力は狼族に遥かに及ばぬ。冬の時は大雪が道を塞いだから、敵の進軍が遅かったが、春になった後、雪が融け、地面が硬くなった。それに今の戦場は馬が走りやすい平原が多い。狼族の軍隊は殆どが騎兵で、我らの軍隊は主に歩兵、つまり今の天時てんじ地利ちりも敵のものだ」

 諸人は暫く黙り込み、そして最初に口を開いたのはやはり李残花だった。「今黄河の北に、我らの土地はいくら残っているかしら」

 顧未離はため息をついて答えた。「殆ど失っている。今禁軍統領である王劫おうごうは禁軍を率いて安陽あんようで城に拠って戦っている。敵の騎兵が攻城に不向きなので、今のところは食い止めているけど、長くは持つまい。援軍がなければ、城が落ちるのは時間の問題だ」

「王劫と言えば」と孟書楼は顧未離を見て言った。「それは兵甲府の三府主ではないか」

 顧未離は答えた。「そう、我が同門の弟だ。だから彼のためにも、私は援軍を連れて来なくてはいけない」

 孟書楼は言った。「しかしまさか天子を守衛する禁軍まで出動したとは、どうやら兵力がかなり不足しているな」

 公孫桜は応じた。「これは機密だが、君たちには隠すまい。元々京城を出ないはずの禁軍は、今は殆ど全員出動した。京城に残っているのは老弱の兵を除いて、我ら羽衣衛しかないのだ」

 李残花は聞いた。「王将軍はあと何日もてるかしら」

 顧未離の答えは簡短だった。「一ヶ月だ」

 李残花は頷いた。「顧将軍の目に狂いはないはずだ。では京城から蘭州までは何日かかるかしら」

「馬で行けば、普通は一ヶ月くらいかかる。最も速い馬でも二十日が必要、大急ぎで急行すれば、十数日で着くのもあり得なくもないが」と言って顧未離は肖言を見た。「しかしそれは大変苦労で、我ら江湖人が構わなくても、肖先生にとっては辛いかもしれぬ」

 肖言は軽く笑って、答えた。「拙者は宮廷で育った者だが、殿下たちに従って馬に乗ったことは少なくない。苦労ならもちろん覚悟している。今は既に燃眉ねんびの事態だ、拙者のことはお気になさらず、必ずついて行って見せる」

「結構だ」と顧未離は言って、公孫桜を見た。「肖先生が言った通り、燃眉の事態だ。話が済んだなら、早速出発したいんだが」

 公孫桜は頷いた。「分かった。駿馬しゅんめと路銀は既に備えた。昼食後、私が君たちを城外まで送ろう」

「はっ、さすが公孫嬢様、用意周到だな。では私も荷物を準備するから、先に失礼する」と言いながら、顧未離は立ち上がり、座席の傍らにある雁翎刀を腰に佩いて、公孫桜に軽く頷いてから部屋を出た。

 従って孟書楼も立ち上がり、長剣を背負って、公孫桜に抱拳した。「拙者も一旦失礼しましょう」

「拙者も、ちょっと準備して来る」と言って肖言も離れると、部屋の中に残っているのは公孫桜と李残花しかいなかった。

 李残花は茶碗を持ち上げ、一口啜ってから口を開いた。「師匠、実は、この弟子が今回ここに来たのは、詩意城のことがためだったが、どうやら今はそれどころじゃないわね」

 公孫桜は微笑んだ。「まあそうだろうと思っていたわ。でも私は京城から離れないから、君がちょうど今来てくれて本当に助かった。詩意城のことは私と落花が留意するわ」

「うん、そうしよっか。そうだ、唐門で起きたことは既に済んだ、詳しいことは後で落花に聞けば良い」間を置いて、李残花はまた言った。「私が帰るまで、二人の友人のことは師匠に頼むわ」

 公孫桜は頷いた。「安心して、たとえ京城が攻撃されても、私は必ず二人を無事に離れさせるから」

 李残花は言った。「師匠の約束があれば、もちろん安心するとも。では次の問題は、お昼ご飯は何かしら」

 公孫桜は軽く首を横に振った。「そんなことより、まずは友人たちに別れを告げるだろう」


 昼食の主菜は蒸し黄河鯉魚こうがりぎょと焼き羊肉ようにく、他にはいくつかの野菜があり、大きな皿に小さな包子パオズが沢山並べてある。公孫桜の師弟三人、そして顧未離、孟書楼と肖言以外、西宮慎と楚搖光も誘われて列席していた。

「ふむ、良い良い、全部私の好物だ」と言いながら李残花はおかずを眺めている時、顧未離と孟書楼は彼女の顔を注目していた。

 それに気づいて、李残花は目を上げて聞いた。「どうした、私の顔はそんなに珍しいかしら」

 顧未離は答えた。「江湖では誰も見たことのない李嬢様の顔だ、それは珍しいとも」

 李残花は顔に指を当てて言った。「その噂は別に間違っていないさ、今見られているこの顔も素顔ではなく、師匠からもらった人皮仮面だ。狐面をつけたまま食事するのはさすがに無理だからな」

 孟書楼は笑って言った。「なるほど、しかしそう言うなら、拙者は李嬢様の素顔には一層気になりますな」

「そんなことより、冷めないうちに食べよう」と公孫桜は言って、先に箸を取り、皿から包子を一つ挟んで、隣に座っている楚搖光の椀に置いた。「これは京城で有名な灌湯包ガンタンパオだわ、食べてみて。中身はまだ熱いから、ゆっくり食べてね」

「はい、ありがとう、頂きます」と言って、楚搖光が箸を持ち、他の諸人も箸を取った。

 半刻も経たず、顧未離は椀の上に箸を置き、「ごちそうさま」と言って、茶碗を持ち上げた。

 公孫桜は言った。「さすが『兵は神速を貴ぶ』、顧将軍は食事まで速いですね」

「ええ、軍中には何もかも速さを求めるから、慣れている」と言って、顧未離は茶を一口飲んだ。「皆様は気にせず、ごゆっくりで良い」

 また一刻くらい経つと、他の人も続々と飽食した。最後に箸を置いた孟書楼は懐から真っ白な絹の手拭いを取り出して、ゆっくりと口元を拭いた。

 孟書楼が手拭いを元通り折り畳んで懐に収めると、公孫桜は茶碗を持ち上げた。「この後皆様はすぐ起程きていするので、この送宴そうえんに酒は用意しておらず、この一杯の茶で、皆様の旅の無事を祝いましょう」

 全員が茶碗を持ち上げ、「乾杯」と一斉に言ってから、皆自分の茶碗を飲み干した。

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