第一章 第八話
八話『ハジマリ。ハジマリ。』
それは、城というより完全にサーカス小屋だった。まるで、国王だけが居座れるような。
サーカスの布をどかし、中に入ると仮面をつけたピエロが高そうな椅子に座っていた。
「お前が国王か?そして、お前が今さっきのフラッシュの原因か?」
「ヨクゾオ分リデ!ヒサビサノキャクダナア。」
声が、上がり下がりする気持ちの悪い声だった。
そして、おかしな鎌をもって近づいてきた。
闘う気満々か。
もうほぼスキルは使えない。自前の力で何とかするしかない。
鎌と剣が当たる金属音がサーカス内に響く。
何とか殺したい。その一心で、魔力を温存しながら戦った。
しかし、スキルの使用が上手い。
「ショーカーン!!」
ピエロのスキルによりライオンと兎の硬い風船が出てきた。
逃げて、逃げて、逃げまくった。
まるで見世物の様に。
「アハハ!君面白イ!マルデ僕ノスキル同ジ『道化師』!」
スキル名は何なんだ?スキルの特性が型破りすぎてわからない。
魔力が溜まり終わった。
何度も微弱な破撃を打った。しかしスキルにより、攻撃を玩具にさせられ防がれる。
本当に、どういう能力なのだろうか。
闘い方を見る限り、冒険者だったのかもしれん。手慣れている。
攻撃しては、能力に任せて自分は引く。サポーターのような攻撃方法だ。
推理していると急にピエロがうわ言を言い始めた。攻撃は止めずに。
トランプを使った斬撃攻撃を放ちながら、
「ある日、トランプ通りの名前の冒険者が集まりました。キング、クイーン、ジャック、エース。そしてジョーカー。」
急に語りだしたが、聞き入ってしまった。
なんだ?童話かなんかか?
疑問に思っていたが次に恐らく『亡霊召喚』を使って、
「シカシヒゲキハオトズレタ!マルデヨルノヤミノヨウ!」
と、道化師の声でまた話し始めた。
その後、『霊鎖』という、霊による鎖攻撃を放ってきた。逃げつつけん制もしたが、軽くいなされた。
「オーバーディオの実験に使われた。この意味わかるかな?」
その言葉がピエロから発されたとき…嫌に頭が回った。
こいつも…被害者…なのか…?