初対面
いよいよ、とも子と冨士夫と正太郎が会う事になった。
一応、付き添いで桂子も参加した。
場所は地下の喫茶店。
ところが時間になっても、正太郎が来ない。
時間より10分も過ぎた。
(しかし、まあ待て、ロシアには約束時間より1時間25分も遅れる人がいる!)
冨士夫は焦ってきた、彼はすかさずケータイで電話した。
「もしもし、正太郎?お前何やってっるんだよ!約束の時間だぜ。
え?延期する?冗談じゃない。もう、とも子さんも桂子も来てるんだぞ。
・・・・そうか?来るのやめるか?
じゃあ、俺が一人で、とも子さんをもらっていいな?
怖気づいたのか?・・・・緊張する?
冗談っじゃない俺だって緊張しとるわ。
・・・わかった。ほなな」
と電話を切った。
桂子に「正太郎こないよ」
「どうするの?」
「仕方ない3人だけでやるか?」
その間、とも子は苦笑している。でもなんか面倒臭そうだ。
と「亮太さんも呼んだら?」
桂「そうしようか。」
桂子「それで、結局どういう事なの?ラブレター書いた正太郎さんの意図も知りたいわ」
冨士夫「要するに俺が、いや僕が、正太郎にとも子さんの事いいな、って話したんだよ。
それを俺を、いや僕を出し抜いて、正太郎がラブレターを出したってわけよ」
とも子はほとんど何もしゃべらなかった。
富士「とも子さんはどう思いますか?」
と「どうって、わかりません。」
桂「冨士夫君こそ、とも子さんをどう思ってるのよ?」
「好きです」
とも子はもじもじしている。
「好きだとして、とも子さんにどうしてほしいの?」
富士「デートとか・・・」
するととも子は重い口を開けた。
「デートは時間かかるし、仕事ができる範囲じゃないと無理ね。」
富士「じゃあ、会ってくれるだけでもいいですか?時間に手間はとらせないから」
桂子「正太郎さんはどうなるの?」
「諦めてもらうしかないな」
亮太「そんな事して友情にヒビが入らないかい?」
「だって、今日の約束もすっぽかしたんだから、とも子さんの愛を受ける資格がないです」
と「なんか中学校の交換日記みたいね(苦笑)大人なんだから大人の恋愛がしたいわ」
亮太「それに、とも子さんはCADで洋裁のデザイン作っているし、付き合うんだったら真面目にしなきゃだめだよ。
富士「つまり、結婚を前提ってこと?」
桂「そこまで考えられへんと思うわ。仕事のウェイトも大きいし」
とも子「取り敢えず、時々会ってみることにしようか?」
桂「それでいいのね?じゃあ、それで決めよう」
亮太「そうしようそうしよう」
富士「お祝いにビールでも飲もうか?」
とも子「ジョッキでね(笑)」
というわけで、結局とも子と冨士夫が付き合う事になった。
何となく『軽いお見合い』みたいなもんだ。