とも子へのモーション
「おい!」
急に冨士夫は正太郎を呼び出した。
「な、なんだよ。」
正太郎は嫌におどおどしている。
「おまえ、とも子さん、、いや、桂子の店の背の高いマブい女の人にラブレター書いたそうやな?」
正太郎はびくついて
「いやあ、そんなん、知らんわ」
と言いきって震えている。。
「じゃ、何でそんなに震えてるんだ?」
「いや、べ、別に」
「1カ月前、おまえに、あの人の話したろ?おまえそれでラブレターだしたんじゃねえのか?」
正太郎は黙っている。
冨士夫「おい、何とか言ったらどうだ?」
しばらく黙ってから、正太郎はポツリポツリと話し出した。
「実はな、俺、あの人の事、すっ好きやねん。」
冨士夫「何??おまえ、それやったらそうと俺に言えや」
「恥ずかしいから言えんかってん。だから、自分はあの人にラブレター出してん」
「そういう事か、でも、あの人には好敵手がいるぞ。」
「え?だ、誰?」
「俺やんけ」と冨士夫は開き直った。」
「そんな・・」
「そんなもへちまもあるかってんだ。おめえがモーションかけたから、俺も応じざるを得なくなったんだぞ。どうしてくれる?」
正太郎は無言だ。
冨士夫「決闘じゃ、決闘!お前と俺でサシで勝負じゃ!」
正太郎「明治時代と違って、今、決闘したら決闘罪で捕まるっで」
「じゃあどうする?二人で、背の高いマブい、いやとも子さんの前に行って、向こうがどっちの男を好きになるか訊いてみようか?」
「あ、それええな」と正太郎はすんなり言った。
「よし、じゃあこうしよう。桂子に頼んで、二人の前にとも子さんを呼び出す。それで、ラブレターを出したお前がいいか、元々好きだった(元々か?))俺がいいか、選んでもらおうじゃねえか?」
正太郎「そんな事したら仕事の邪魔になるぞ」
「でも、俺たちだって真剣だ。やろう!」
こうして、冨士夫と正太郎はついにとも子と面会する事になった。
桂子からその話を聞いたとも子は
「いや~ん、そんなん面倒臭いわ。私はただここで仕事してるだけなのよ。
男の人を二者択一で選べなんて、余計な事よ」ととも子は拒否した。
桂子「でもね、とも子さんだって気にしてるし。気に入らなければどっちもふっちゃえばいいじゃん」
と「そのふったり会ったりするのが面倒くさいわ。」
桂「じゃあ、1回だけでいいじゃない。それで決着付ければいいわよ。
とも子はため息をついた「はあー。仕方ないわね。でも今回だけよ、
これからは2度とそういうお誘いはごめんよ。いいわね。
「わかったわかった。」と桂子が言うと
奥から亮太が出て来て。
「そんなんせん方がええのとちゃうか?余計な男に関わらん方がええで」
桂「でもこのままやったらなあ、とも子さんにも引っかかることだろうし」
亮「よっし、じゃあこうしよう。俺と桂子が付いて行って意見する方がええで。それでどうや?」
「それで行こうか?
と「でも、もうこれ1回限りよ」
とも子は渋々っと言った感じだ。