二人の男
とも子のいる洋裁店だが、本当に調子よくいっている。
CADの操作も楽々できるようになった。
でもね、「桂子」がやってるのに「とも子の洋裁店」って不思議だと言う人もいるんだ。
でもね、みんなの好きなロンリーガール=とも子が主人公だから、これでいいのだ。
実際、とも子の業務成績が評価されて、ギャラもアップしたんだ。
まったくいい、感じだね。
ところが、ある日桂子は店の近くでばったり、高校の同級生に会った。
男だ。名前は冨士夫。
「よう、桂子ちゃん。久し振りだね。元気?」
「あ、元気よ。冨士夫君はどうしてるの?」
「君のとこは、旦那さんとあと一人、長身の女の人がいるよね?」
桂子は不審に思った。
「え?なんで長身の女の人の事を知ってるのよ?」
「そら、店の近く通ったら、見かけるやん。どうしてよ?」
「あんた、とも子さんにラブレター書いたのあんた?」
冨士夫「えええ???そんなもん書くわけがないだろ」
「ホンマ?」
「そらそうよ。だって、お互いに面識ないじゃん。
おい、誰か、その長身の人にラブレター出したのか?」
桂子は渋々、
「そうなんよ。誰からかわからないねん」
冨士夫は苦笑して
「そらそうやろ(笑)ラブレターは自分の名前を秘密にして出すもんやで。
すると冨士夫は思いついた。
「あ、もしかしたら、あいつや!」
「あいつって誰よ?」
「正太郎や。実はな、こないだ、正太郎に君の店の長身の、割と可愛いニコニコしている・・・」
「うるさいなあ、名前で言いよ。とも子さん」
「そうよ、そのとも子さんの話を正太郎に話してん。」
胡散臭そうに桂子は訊いた。
「どんな話よ」
富士「う?いやあ、あのとも子さん、マブいって」
「マブいって何よ?」
冨士夫は一瞬もたって「だからカンワユイってこと!」
桂子
「キャー!私らが知らんうちにそんな話してたのね?この変態!」
「何が変態やねん。カワイイもんはカワイイって言うてるだけや」
桂子は懇願するように冨士夫に手を合わせた。
「お願い、彼女とても調子いいねん。だから邪魔せんとってよ」
富士「いや別に邪魔なんかしてないよ。ただ、正太郎が俺を出し抜いて
ラブレター出したのが気に入らん。一言相談すりゃいいのに」
「な、あんまり関わらんようにしてや。店の売り上げにも影響するし、私らあの子が便りやねん」
「よし分かった。取り敢えず、俺から正太郎に話してみてどういう事なんか確かめてみるわ」
一方、とも子はまったくそんな事を気にしてない。
ひたすら、仕事に集中している。
だから冨士夫や正太郎の事はまったく知らない。
桂子もそんな話には一切かかわってない。