不安にならなくっても
体育館への渡り廊下
部活に行くため歩いていると
聞き慣れた声に呼び止められた
それはいつも傍に感じて
ちゃんと傍で守ってくれる
私の1番大切な人
「何の話してたんだ?」
切り出された言葉の意味がわからなくて
思わず首をかしげてしまう
「……」
なんか照れてる
ますますわからない
「何?」
声をかけると、
彼は目をしばたかせ
あぁ、とため息のような声を漏らす
「さっき男子と話してただろ」
あぁ、と今度は私の方が
同じため息のような声を漏らした
「部活の連絡事項だよ」
「そか」
二度ほど頷くと安心したように歩きだし
途中でいきなり振り向いた
「必要なんはわかるけど
男子とあんましゃべんなよ」
悪いとは思うけど、
つい笑みが浮んでしまい
はぃはぃ、と
返事も軽く返してしまう
「お前、可愛いんやから
そこは自覚しとけよ」
そんなこと言うのは、君だけだよ
とは思ったけれど、
言葉にはせずに
彼の横に並んで歩く
「部活遅れるよ」
「信じてねーな」
まぁまぁ、と
諭しながら歩きはじめる
想ってるから心配してる
それはちゃんとわかってる。
でもね、
そんな風に不安にならなくっても
私はいつも、いつだって
君だけしか見てないよ
不安になってしまうところも、また、
可愛いと思えるんだけどね