8話:水の星へ愛をこめて
いつもの烏鷺です、無事任務を果たし…と言うには帰り道が残っていますが、とりあえず書類や証拠を受け取り馬車の点検中です。
西に向かい、南北街道を右折し途中駅逓に泊まりつつ町に戻るコースの予定です。駅逓は元の世界の駅逓制度に民間人も利用できるよう各種施設が追加されたもの。道の駅や高速道路のSAに役所の出張所が追加された感じだと思ってくれればおおむね一致すると思います。
宿泊施設に、馬房、馬車の整備ができる工房、近隣の農家が出す露天、警備隊の駐留所、駅馬車の乗降場、貸し切り馬車を雇える窓口、食事ができる施設…これらを守る城壁に囲まれた旅の休憩所が駅逓と呼ばれている施設です。
冒険者組合の窓口もあるので旅の途中で護衛を雇えてとても便利です。待機中の傭兵たちが訓練と実益を兼ねて街道付近の魔獣狩りをしているので、ご近所の奥様方にも好評です。
駅逓で、休憩を取りつつ旅程を組んでいます。SAで早めの休憩をって高速道路でも書いてありますしね。馬車の運転も安全確認で思っている以上に集中するので疲れがすぐにたまるんです。
安全第一で行きますね。途中で護衛を雇えない人たちを拾ったり、一緒に移動したりと衛視としての役目も果たしているので怒られません。
間もなく帝都への分岐に到着します。一緒にいる商人さんの馬車はまだ北に向かうのでここでお別れになるようです。
分岐で手を振って別れの挨拶をしていたら、商人さんの馬車に便乗していた家族が1組帝都に向かいたいって言ってきたので載せてあげることにしました。
娘さんがかわいいんです。色恋じゃないですよ?だってまだ幼児ですし。う~ん?愛玩動物的可愛さと言いましょうか?
こんな小さな手なのにちゃんと指があるんです!当たり前なんですけどなぜか感動します。
帝都と言っても、南の外殻都市に行くらしいので最後まで送っていけませんね。西の都市でお別れになります。
う~ん…こんな子供ができるなら早く結婚してみたいですよね。いいなぁ、僕が小さいころ親もそう思ってたんでしょうか?
残念ながら西の都市についてしまいました。家族は西の都市に入らず南に向かうそうです。城門に向かう僕に一生懸命手を振ってくれる子供に感動しました。
無事帰還した報告を衛視詰め所に持っていきましたら、隊長がとんでもないことを言い出しました。来週に中央都市に僕が行く必要があるって。
中央って、昇進や叙任じゃなければ懲罰が無いと衛視としていく必要はない街です。大きな町で品物が豊富なので休暇の時は買い物に行きますけど。
褒められるような仕事はしていないし、怒られるようなことも隊長レベルまでのはず?なぜ呼ばれたんでしょうか?
あと1話の予定。予定は未定にして決定にあらず。
はみ出たらタイトル案がもうない。