3話:めぐりあい
烏鷺という少年、相変わらず意味が分からない…帝都への栄転に伴い管理部ヘ、預けるため同行させたが「チート世界でニート」とか、「引きこもれぬ」とか、「無双なんて飾りなんです、偉い人はそれをわかちょらんのです」とか意味不明な発言が多いし。
この間もわが家名を「エーベルバッハ」か「バンコラン」のどっちだと言い出すし…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
流されまくっている烏鷺です。セバスチャンさんと帝都に向かって旅を続けています。
帝都に着くとニートする予定です。だって大学生だよ?文明の恩恵がない世界だよ?自慢じゃないどマッチですら火をつける自信はないよ?お仏壇のお灯明に火をつけようとライターで親指をやけどした経験があるんだよ?
火打石で火をつけろなんて…問題用紙を見ずにセンターを満点取れって言うぐらいむりげーだし。
結局ニートするしかないじゃん。大学生が持っている経験値なめんな!使い物にならない役立たず以下の経験値だぞ!…バイクに乗れてもバイクが無い、スマホを使いこなせてもスマホが無い。
料理なんて、フィルムをはがしてレンジでチンレベルの僕に竈を使って作れって言われても、立ち尽くすしかないわけで。
知識チートって、相手が受け入れられるだけの技術レベルが無いと無意味なんだよ?チップを複数使ったプログラム式ロボットが作れても素材そのものが入手できなければ妄想と同じだし。
古式武術を一応習ってたけど、師範クラスの人が見習いレベルって世界で何の役に立つというんだ。
10里を毎日歩く体力が普通の世界で、文明人は虚弱というレベルだし。そもそも文字が違うから読み書きできないんだ!
魔法が使えるようになったわけでもないし…The一般人のレベルすら僕にとって高根の花という現実を突きつけられたら選択肢はニート一択になるよね?
でもニートするなら資金力が必要という現実も理解できる。
肉体労働も事務仕事もできない僕が生き残るにはどうしたらいいんだろう?
この世界の文字って仏像に書いてあるような蛇がうねっているような文字だし…梵字って言うの?
うん、詰んでるよね…チートな世界でニート…僕にできる仕事があればいいんだけどねぇ。バイクに乗っているから機械いじりのまねごとならできるけど機械がないし。
車は高くて手が出なかったからいじったことない。車いじりができたら馬車にかかわる仕事とかありえたかもね。
転移者向けの基礎教育次第かな?