1話:鮒の十字架
のほほんと生きる少年「烏鷺」がうっかり異世界に転移し珍道中を繰り広げる
僕は、葛葉烏鷺。違いの分かる男
兄は天元、弟が長生、妹が高子
烏鷺=白と黒で碁石の別名
天元=天元は囲碁用語で、碁盤の中心点のこと。
タイトル戦の名称にある天元は、ここからとったものである。
長生=長生は囲碁用語の一つで、死活がらみで同型反復になる特殊な形。
中国にある長生殿での対局中にこの形が出現したことからこの名がついた。
高子>高目=碁盤の隅から4・5あるいは5・4の位置のこと。
目外しと同じように使われるが、目外しより多少地に甘く(意識が低い)、中央重視の場合に打たれる。
※子=もくが本字、目=もくは当て字
うん、兄弟姉妹誰も囲碁が出来ないけどね。
母型の祖父が、安井算哲の子孫で棋士だったらしく孫にも囲碁をしてほしいと名付けたらしい
母方の祖母は、碁笥や碁盤を作る職人の家に生まれ、その縁で祖父と結ばれたんだって。
父方は、狐らしい…
一応説明しておくと、稀代の陰陽師の安倍晴明の母親が
葛の葉、信太、信田と呼ばれる稲荷大明神の第一の神使という伝説がベースね。
西漢氏の後裔で一説によると東漢氏と同族で
共に聖徳太子に仕え、東漢氏は東にさらに移住し伊賀忍者となり
西漢氏は河内に根付き楠氏などの土豪勢力と結びついた。
異説は多いけど、うちの家ではこれが正しい歴史と認識されている。
つまり、河内忍者がうちの祖先というわけ。
兄弟そろって運動は得意なほうだし…
そんな僕が、流行の異世界転移とやらを経験したんだ。
国内では北海道ぐらいしかありえない地平線が四方にある草原
植物に詳しくないけど…青じゃなく青い葉を茂らせた植物ってあり得ないよね?
ピンクの幹は桜がある意味ピンクと言えるから保留するけど。
全長4メートル、翼幅が6メートルのスズメとか…
8本足の馬とか…僕が知らないだけってことはないよね?
RPGが大好きな弟や、乙女ゲーム?やラノベ好きな妹なら喜びそうだが
僕は正統派のSFやファンタジーが好きなので意味がわからない。
僕を助けてくれたのが、騎士で貴族なラインハルト様と、従者で執事なセバスチャンさん
と思ってたら逆だったでござる…
セバスチャン・カールスバルグ伯爵と従者のラインハルト・ピルスナーさん…
セバスチャンなら執事が王道だろ!!と突っ込んでみても現実は現実。
セバスチャン13世…初代伯爵がランゲ・タンク公爵の執事で、公爵閣下が
いろいろあって王位を継承した結果、忠実な家臣として伯爵の地位を与えられたらしい
僕は所属学部すら覚えていない不真面目な大学生なんだ!!
出席カードを友人に出してもらって、コピーで試験を乗り切っているからね。
学祭と試験当日ぐらいしか学内に入ったことないし…
中近世っぽいから現代知識が使えそうだけど、僕自身がさほど知識を持っていないから無意味
スマホの仕組みがわからなくても使えるから!困らないからね!!
つまり、保護者が居ないとあっという間に飢えてしまう無能者?
第一こんなシチュエーションだと「異世界チートでチート無双」がデフォのはずなのに
実際は「チート異世界でニート無能」だもんねぇ…