王都に到着
約100人程いた騎士様達。
何人かは先触れとして先に王都へ向かったらしい。
残りの方々は4つの集団に別れ、俺と姉さんの前後左右に配置された。
好奇心を隠さず憧れの眼差しでチラチラと窺い見る者、品定めをするようにじっくりと見つめる者。
分からんでもないよ。
俺たちは余所者だし、異邦人ったって今のところ『自称』だし。欧米風の顔立ちの中で俺たちの和風の顔は珍しく見えるだろうし。女の落ち人は珍しいって言ってたから、姉さんの方が視線を集めてるかね。
手前味噌だけど今の姉さんは結構イケてる。
元々の顔も悪くないし、そこに少々の補正済み。その上今や『神様』製の新品の身体だしな。ボンキュッボン。
そりゃ目も引くか。
俺だって男からネットリ見られるのはゴメンだから願っても無い状態ではある。
だがな!
見た目に騙されんなよ騎士諸君。姉さんは愛想はいいけど一筋縄じゃいかんぞ。
迂闊に手を出すと大火傷するぞー。
その中で一際強い視線を時折感じる。
なんだろね、憧れ?嫉妬?なんか戸惑ってる?殺気は感じないんだよ。まさかの愛?一目惚れなの姉さんに?
分かんねぇなコレ。
あれだよな、火龍とやり合ってる時に最初に駆けつけてきた獣人達の中のリーダーっぽいヤツ。
彼等だけ他の騎士様達とは空気感が違う。
騎士ってよりも傭兵に近いか?
だらしない訳じゃなくて、実戦を積んできた迫力が騎士様達より断然あるんだよな。
決して馬鹿にしている訳じゃないよ?めっちゃカッコいいし強そうだ。
…………………姉さん好きそう。直感。
まぁその辺は肉親とはいえ縛るつもりはないから、ご自由にだけどな。俺も大人になったなぁ。
己の成長にしみじみとしながらぼんやりと周りを眺める。
獣人リーダーさんの隣にいるのって、もしかしてエルフでは?
中性的な顔立ちだけど、決してヒョロい訳じゃない。しっかりと筋肉がついてるのが、しなやかな体の動きから分かる。
背も俺より高そう、うらやまけしからん。
美形で高身長ズルいー。瞳の色も不思議な色だな。距離があるからよく見えないけど。
なんて見てたら目が合ってしまった。
キリリとした目が俺と合った瞬間に、フッと微かに和らいで。
待て待て待て!男にときめいてどうする俺!
いくら異世界でもBL要素は要らんぞ‼︎
大人しく前向いて歩こう。
俺のBL未遂(?)以外はたいした事件も起こらず、のんびりと周りを観察しながら歩くこと約半日。
着きましたよサウザード王国の王都‼︎
さすがに騎士団に囲まれたままだと目立ち過ぎるって事で、とりあえず森から一番近い隊舎に向かうことになった。
騎士団御一行様も一旦解散となり、オズワルド総団長様と獣人騎士様(仮)達が残ったようだ。
俺たちの前に3人の獣人騎士様が並んでいる。
「彼等はサウザード王立騎士団の中の第四騎士団団員達だ。
ここに揃っているのは第四の中でも精鋭の一番隊と言われる面々。そして彼が精鋭達を束ねる団長のアデル。
こっちが副団長のミシェール。」
「私はマリアです。こちらは弟のシュバルツです。」
「よろしくお願い致します。」
姉さんが挨拶し、一緒にペコリと頭を下げたら、なんだかビックリしたように目を見開かれてしまった。
控えめに手を差し出されたので、握手かな?と思い姉さんと交互にそっと手を出して2人の手をキュッと握ると、更に驚いたようで2人の目尻がほんのりと赤くなっている。
エルフさん副団長さんなのか。近くで見ても綺麗な人だよな。
もう1人はリックさん。
リックさんとも握手したが肩が外れるかと思うくらいぶん回されたのには笑った。
俺たちの世話係に任命されて嬉しいのか?仲良くなれそうで俺も嬉しいよ。
あらまぁ姉さんがイケメンの照れ顔に萌えてる……
そして俺は確信した。
姉さんに強視線を発していたアデル団長さん。
アナタ姉さんに惚れたね。