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マジガチで本当本気

 ヒルダさんとのガチ戦闘は避けたい!

「盤石の王よ……」

 防御魔法を発動させ、鋼鉄の壁を前方に出現させる。


 しかし、その分厚い壁はメイスの一振りによって砕け散った!

 さすがと言ったところだ。

 だが、これならどうだ!


「光の精霊よ……」

 俺の周りに光のドームが出現した。


 吸血の魔剣の攻撃も防いだ防御魔法だ。

 ヒルダさんといえでも……。


「ぬりぃんだよ!!」

 豪速のメイスが光の壁に触れた瞬間、壁が瞬く間に霧散した。


 ヤバい。

 間合いに入られた。

 これは本気を出さざるを得ないな。


「もらった!」

 顔面を狙ったメイスを首の動きだけでよける。

 メイスが空振りした後、回し蹴りが襲ってきたが、これは左手でいなす。


「オラァ!!」

 メイスと蹴り技、肘鉄の連続攻撃が襲いかかってきた。

 だが、これも冷静に一つずつ、確実に防ぎ、いなし、かわす。

 おっと、フェイントが3つ入ったが、これも余裕をもって対処する。


「くそがぁぁあ!」

 ヒルダさんは攻撃を続けるが、残念ながら俺には当たらない。

 パワーと破壊力は吸血の魔剣に勝っているものの、手数とスピードは比較にならない。

 このスピードでは俺に攻撃を当てるのは難しい。


 学院時代からヒルダさんが本気モードで俺に向かってきた時には、こちらも本気を出すと決めている。

 そうしないと、ヒルダさんがケガをするからだ。

 しかし、俺が学院生を相手に本気を出した場合、昔からろくなことにならない……。


「だあ!!! ムカつく!!!!」

 ヒルダさんが急に攻撃を止め、メイスを大地に叩きつけた。

 メイスが派手な音を立てて大地に埋もれた。

 

 ヒルダさんは飛び退いて間合いを広げると、肩で息をしながら俺をにらんできた。


「テメーが私よりだんちでつえーってのは分かってる! だが、そうだとしても、テメーのその人を哀れむ様な顔が昔から気に食わねーんだよ!!」

「……いや、そんな顔はしてないっす」

「してんだよ!! だから、テメーは学院時代からぼっちなんだ!」

 

 ――ぼっち。


 そうなのだ。

 俺は学院生たちとレベルが違いすぎて、逆の意味で彼らと肩を並べることができずに孤立していたのだ。

 ヒルダさんは、そんな俺を気にかけてよく話し掛けてくれたが、それでも友人と呼べる存在にはなれなかった。

 本音で気兼ねなく話せるようになったのは、つい最近のことだ。

 

 学院時代、俺たちはみな勇者を目指すライバルで、誰もが自分こそが勇者になれると信じ、半熟な英雄のプライドを胸に秘めていた。

 そんな若者たちの中で、俺が受け入れられるはずはなかった。


「しかし……ぼっちってのは言い過ぎでしょうが!」

「ぼっちの陰キャだったじゃねーか! 私が優しく話し掛けなきゃ、もっと完全に孤立してたぞ!」


「舎弟扱いとパシリは優しさとは違いますぅ!」

「テメー、学院時代の私に同じセリフがはけんのかよ!」


「陰では言ってましたぁ!」

「……ほう」


 ヒルダさんの目がすわった。

 あっ、これガチの本気モードだ……。

 学院時代でも1回しか見たことがない顔。


「……アラン。テメーにはお仕置きが必要なようだな」

 ヒルダさんがドスの効いた声を上げながら、襟に右手を入れた。

 そして、懐から1冊の本を取り出した。

 本から禍々しい魔のオーラがひしひしと伝わってきた。


「その本は……?」

「禁忌の魔道書だ」

 おい、ヤバいのをあっさり出したな。


「で、それをどうするつもりです?」

「テメーをぶっ倒すのに使うに決まってんだろうが!!!」


 ヒルダさんが躊躇なく魔道書の表紙を開いた!

 途端、魔のオーラが一気に周囲に解き放たれた。

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