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てめぇ

「クッハハハハ! 勇者アラン、破れたりっ!」

 しゃくに障る甲高い笑い声とともに、無数の漆黒の刃が俺に殺到した。

 メルに気を取られていた所為で反応に遅れた。


 やばっ、死……。


 と、思った瞬間、無数の刃たちがもの凄い勢いで右側にぶっ飛んでいった。

 あっと言う間に遥か彼方に吹き飛ばされていく。

 おかげで魔剣の攻撃は俺に当たらなかった。

 

 助かった!

 でも、何でだ?


 吸血の魔剣は、俺の視界が果てるギリギリの場所で壮大な土ぼこりを上げて着地した。

 遠方を確認できるスキル「千里眼」で見てみると、魔剣の形は最初のバスターソードのそれに戻っていた。

 そして、その場所には、ケイオスがバスターソードの柄を握り締めたまま仰向けにぶっ倒れていた。

 

 白目をむいている。

 気絶しているようだ。

 右頬が酷いほどに真っ赤に腫れ上がっていた。


「神の御前で呪われた剣なんぞ使うんじゃねーよ」


 さっきまでケイオスがいた大聖堂の屋根に声が響いた。

 黒い修道服が揺れている。

 その人は、右手に青い血に濡れた打撃用武器のメイスを持ち、口に紙巻きたばこを咥えていた。


「ヒルダさん!」


 俺は喜びの声を上げた。

 神官と信徒たちを無事に避難させたヒルダさんが駆け付け、ケイオスにメイスで一発を食らわせたのだ!

 

 ヒルダさんは魔法力が高い特異体質のくせに、メイスでの戦闘にこだわっている変わり者だ。

 その戦闘力は3073。

 希望の7人の中でも上位の実力者だ。

 

 そんな「殉血の女神」から不意打ちを食らい、まともに一撃を受けたケイオスが無事でいられるはずがない。

 しかも、ヒルダさんのメイスの打撃部分には金属のトゲトゲがいっぱい付いている。

 これが痛いのなんの!

 俺は何度も打たれたことがあるから知っているのだ!


 吸血の魔剣は、持ち主であるケイオスの意識が途切れたために、血を授かる前の状態に戻ったようだ。

 いやー、マジで助かった。


「ヒルダさん! さすがです!」

 俺は大きく手を振って助力に感謝を示した。


「あんっ?」

 なぜか、ヒルダさんがめっちゃ眉間にしわを寄せてメンチを切ってきた。


 あれ?

 俺、何か機嫌を損ねることをしたっけ……?


「アラン、てめぇ……」

 ヒルダさんが怒りに肩を震わせている。

 あれか、吸血の魔剣相手に苦戦したからか?


「ぜってーに許さねぇ……」

 ヒルダさんが左手に持ったたばこを俺に突き付けた。

 いや、ケイオスごときに遅れを取ったからか?


「よくも、メルちゃんを泣かしやがったなぁぁぁあ!!」

 ヒルダさんがドームの上で絶叫した。

 ……そのことですか。


「アラン、テメーは死刑だ」

 たばこが乱暴にうち捨てられた。

 ヤバい。

 これはヒルダさんが本気モードのやつだ。

 

「このメイスでボッコボコにしてやんよ」

「ヒ、ヒルダさん、誤解です!」

「問答無用じゃ、ボケえええええ!」

 ヒルダさんはメイスを大きく振りかぶると、俺に向かってその身をぶっ飛ばしてきた。

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