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U・LA・LA!  作者: mimuka
3/4

3

「うっうん…。何とか」


「でも驚いたねぇ。クロウさん、ULALAちゃんのこと、好きだったんだ」


「全然知らなかったんだけどね…」


「う~ん。でもクロウさん、ずっとULALAちゃんのこと、見てたよ。リハーサルの時からずっと」


「えっ、そうなの?」


「うん…。どこかで共演とかしたの?」


「記憶にないけどなぁ。…でも確かに顔合わせをしたことはあるから、どっかでは会ってたと思うけど…」


「おーい、そこの2人! CM終わるよ」


司会者の声で、アタシと女の子はすぐに切り替える。


「「はい!」」


…そしてその後、彼が戻って来ることはなかった。


司会者もあえてそこには触れなかったけど…今頃電話が鳴り響いているだろうな。


視聴者からの、問い掛けの電話が…。


「とんだ災難だったわねぇ。うらら」


帰り道、マネージャーの車で送ってもらいながら、アタシは深くため息を吐いた。


「ホント。これからの仕事に影響大ね。しかも返答はどうしたとやらの」


「そこは濁すしかないわね。そもそもあまりしゃべったことがないのに、クロウくん、案外情熱家なのね」


「本当におバカだったのね。アタシの本性も知らず、表の顔に騙されているんだもの」


「そのぐらい、アナタの演技力がスゴイってことでしょ? まっ、騒がれるけど、その分、仕事も入ると思うから」


「嬉しいような、ありがたくないような…」


「でもどうするの? クロウくんのこと。OKならばこっちもそういう対応するけど?」


「事務所的にはOK?」


「ウチは不倫とかめんどくさい恋愛じゃない限り、OKよ。縛ったって、しちゃうもんはしちゃうし。下手に縛り付けたって意味ないわよ」


「理解のあるこって…」


「で? どうするの?」


「…ちょっと考えさせてくれる?」


「分かった。でもあんまり時間はかけないでね」


「ラジャ」


家に着いた後、アタシは自室に戻った。


家族と同居しているけど、もう夜も遅く、リビングには両親が晩酌をしていた。


「ただいまぁ」


「おかえりぃ」


「お疲れさん」


ウチは余計な干渉はしない主義だ。話したいことがあるなら、自ら話さなければ誰も何もしない。


一見冷たいようだが、反抗期の時ほどありがたいと思ったことはない。


そして今も、芸能生活に疲れているアタシを呼び止め、アレコレ聞いてこないのが嬉しい。


部屋で着替えた後、シャワーを浴びに行こうと思っていたら、ケータイがブルッた。


画面を見ると、何とクロウから!


…いつナンバー交換したっけ? こういうの、アタシはあまりしないタイプなんだけどな。


まあ何はともあれ、出ないとイロイロあるだろう。


「―はい。ULALAです」


『あっ、ULALAさん! クロウです! 今、大丈夫ですか?』


…彼は深夜とも思えないぐらい、ハイテンションだった。


疲れた体にはキツイな…。


「ええ、大丈夫です」


顔は引きつりながらも、声はULALAを装う。


『今日は本当にすみません! オレ、舞い上がっちゃって…』


「はい、びっくりしました。マネージャーさんに怒られちゃいましたよね?」


『うん、こってり…』


ご愁傷様、と冷めた顔で思った。


『それで…返事、なんだけど。ULALAさんはどうかな? オレのこと…』


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