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剣物語  作者: 渋谷かな
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氷 VS 無

「カエン、ウスイ。みんな、姫のために、世界の平和のために来てくれたんだ。」

 救世主様は、邪悪なる者になった伝説の剣騎士デカノーホウトを倒すためにイビル・キャッスルを進んでいる。

「二人だけじゃないぜ。」

「ヒムロ! おまえも来てくれたのか!」

 現れたのは、氷の剣騎士ヒムロだった。

「みんなパワーアップして、ここに向かってきている。救世主様は先に進むんだ。」

「え?」

「隠れているのは分かっている。私の凍気にはお見通しだ。」

「なかなかやるな。」

 そこに黒光りをした剣騎士の鎧を着た男が現れる。

「何者だ?」

「俺は、無の剣騎士ナクス。邪悪なるお方の命令で、救世主様の命をもらいにきた。」

「それは残念だったな。」

「何?」

「おまえは私に倒されるからだ。」

「それはどうかな?」

「救世主様、先に進め。世界が平和になったら、また会おう。」

「ああ。ヒムロ、約束だ。必ず会おう。」

 救世主様は、ナクスの相手をヒムロに任せて、先に進む。

「すんなり救世主様を行かせてくれるんだな?」

「直ぐにおまえを倒して、救世主様の後を追うだけだからな。」

「そんな簡単に私の氷を溶かすことができるかな?」

「なんだ!? ヒムロの氷の剣気が高まっていく!?」

 ヒムロの氷の剣気が上昇していく。周囲の床や壁に氷が張っていく。

「くらえ! ブリザード・アタック!」

「ギャアアアー!?」

 ヒムロの氷がナクスにまとわりついていく。そして、そのままナクスを氷漬けにして、氷の中に閉じ込める。

「アイス・ボックス完成。私の氷の中から脱出は不可能。救世主様の後を追えるのは私だったようだな。」

「クックック! それはどうかな?」

「なに!?」

 氷の中に閉じ込められたはずのナクスの笑い声が聞こえてくる。

「オール・ナッシング!」

「私の氷が無くなっていく!?」

 ナクスを閉じ込めていた氷が、ドンドン無くなっていく。

「俺は全てを無にする剣騎士。おまえごときの氷では、俺を閉じ込めることは不可能だ。」

「クッ!?」

「俺の能力は、氷を無にするだけじゃないぜ。おまえの存在も無にすることができるんだぜ!」

「なんだと!? 私の体が消えていく!? うわあああー!?」

「無の前に全ては、無意味なのだ。さらばだ。氷の剣騎士よ。」

 ナクスの無の力で、ヒムロの体が指先足先から消されていき、完全に消えてしまった。

「どうやら救世主様の後を追うのは俺のようだな。」

 無の剣騎士ナクスが救世主様の後を追追うとする。

「おい? どこへ行く気だ?」

「何?」

 ピタッと歩いていた足を止めるナクス。

「これは氷の結晶!? ダイヤモンドダスト!?」

 ナクスが周囲を見渡すと、氷の結晶がキラキラと舞い散っていた。

「ナクス! 勝負はこれからだ!」

 姿は見えないがヒムロの声が聞こえてきた。

 つづく。

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