輝く夢
「ま、眩しい!? なんだ!? この光は!?」
悪夢の剣騎士クロムの目の前に、突如、強い光が輝き出す。
「うわあああー!」
救世主様が強い光を放ち、クロムの悪夢を打ち破る。
「ただいま。」
「バカな!? 私の悪夢から解き放たれるなんて!?」
「クロム。どんな悪夢だって、覚めない夢はないんだぜ。俺の夢の方が、おまえの悪夢よりも強かったってことだ。」
「クッ!?」
悪夢の世界を破られたことに動揺しているクロム。
「この世界は剣が全て。剣が最強だ。潔く剣で勝負をつけようじゃないか。」
「いいだろう。正々堂々と剣で勝負だ。いでよ! 悪夢の馬! ナイトメア!」
「ヒヒーン!」
クロムは、悪夢の馬ナイトメアを召喚した。そして馬にまたがる。
「悪夢の騎馬剣騎士! 救世主様! いざ! 勝負だ!」
「卑怯だぞ!?」
「卑怯? 邪悪なる者にお仕えする邪悪剣騎士の私には誉め言葉だ。いくぞ! 救世主様!」
「負けるものか!」
夢の剣騎士の救世主様と悪夢の剣騎士クロムの最終決戦が行われようとしていた。クロムは馬に乗って、上段から救世主様に、次々と剣を打ち下ろす。
「どうだ? 救世主様。私の攻撃にいつまで耐えきれるかな?」
「クソッ!? 馬に乗っているだけで、クロムのパワーが倍以上だ!?」
「オラオラ! どうした? 救世主様。このままなぶり殺しにしてくれる!」
どんどん窮地に追い込まれていく救世主様。しかし、どこか救世主様には焦る様子はなく、不気味な冷静さをクロムは感じていた。
「なんだ? この違和感は? 確かに攻撃しているのは私のはずなのに!? なんなんだ!? この違和感は!?」
「もう、終わりか?」
「なに?」
「こんな程度の攻撃では、俺の夢を抑え込むことはできないぞ! うおおおおおおおー!!! 輝け! 俺の剣気! 爆発しろ! 俺の夢よ!」
「うわあああー!?」
「ヒヒーン!?」
救世主様が強大で爆発的な剣気の光を放つ。光の輝きは圧倒的で、悪夢の馬ナイトメアを消滅させていく。
「バカな!? ナイトメアがかき消されたというのか!? 救世主様は、私の攻撃に恐怖を感じなかったというのか!?」
「おまえの攻撃より、いじめっ子の方が怖いんだよ。」
「いじめっ子?」
剣物語の世界のクロムには、いじめっ子という言葉の意味は分からなかった。母親や火油注など、頭が上がらない者、抵抗できない者の方からクロムよりも強い恐怖を感じた救世主様。戦って倒してもよいクロムに恐怖は感じなかった。
「俺には姫や剣騎士の仲間たちと共に、邪悪なる者を倒すという夢がある! 俺たちの夢は誰にも奪うことはできない! 夢は心の翼だ!」
救世主様が剣を必殺技の構えをする。
「夢を見ることは誰にだって自由だ!」
「夢など見ても敗れれば、ただの悪夢だ!」
クロムも剣を構える。
「なら何度でも夢を見ればいい! 夢は見るものじゃない! 夢は叶えるものだからだ! ドリーム・ソード・スラッシュ!」
「それなら私は何度でも悪夢を見させてやる! 夢など叶うことのないことを教えてやる! バッド・ドリーム・ソード・スラッシュ!」
救世主様と悪夢の剣騎士の必殺技がぶつかり合う。
「うわあああー!」
悪夢の剣騎士クロムの体が宙を舞い、地面に打ち付けられた。救世主様は剣を振り切った。
「クロム、今度会う時、いじめよりも怖い悪夢を考えておくんだな。」
救世主様はクロムに言葉を吐き捨てると、邪悪なる者デカノーホウトの待つイビル・キャッスルを目指して駆けていった。
つづく。




