雷竜
「ここが積乱雲。サンダーバードはどこにいるんだ? あいつよりも先に見つけなければ。」
雷の剣騎士シデンは、地獄の大伯爵フルフルを倒して、サンダーバードから雷の精霊の剣騎士のソード・ナイト・アーマーを手に入れるために、積乱雲にやって来た。
「なぜ、おまえが生きている?」
「その声は・・・バアル!」
シデンが声のした方向に振り返ると、自分を殺した天候神の悪魔バアルがいた。
「なんだ!? その剣騎士の鎧は!?」
バアルの剣騎士の鎧は先程までの悪魔ブラックなものではなく、雷が光る雷光のような色をした剣騎士の鎧に変わっていた。
「これは雷の精霊サンダーバードの剣騎士のソード・ナイト・アーマーだ。」
「なんだと!? サンダーバードの!?」
シデンは、既にバアルがサンダーバードの雷の精霊の鎧を手に入れたことを知る。
「おまえも我が質問に答えろ。私が確かに殺したのに、なぜおまえが生きている。」
「雷親子が私を死の淵から目覚めさせてくれたのだ。」
「だが、残忍なフルフルが行ったと思ったのだが?」
「悪魔は私が倒した。」
「冗談はやめろ。おまえごとき下級剣騎士に、我ら上級悪魔が倒せるはずがない。」
「信じる信じないは好きにするがいい。今度は私がおまえを倒す番だ!」
しかし、言葉とは裏腹にシデンにも分かっていた。殺された、さっきでも敵わなかった相手が、ほんの少しの間に、さらにパワーアップしている。とてもではないが最初から勝てる見込みのない戦いだった。
「せめて、私がサンダーバードに会って、雷の精霊の剣騎士の鎧を手に入れていれば・・・。」
この弱気がシデンの本音であった。
「それでも、それでも、やってやる。やってやるぞ! この大空と雷の平和を守るために! バアル! 決しておまえの好きにはさせないぞ!」
「こい。死にぞこない。」
シデンは、決死の覚悟でバアルに挑む。
「サンダー・アタック!」
しかし、シデンの雷は、バアルにかき消された。バアルが雷の精霊サンダーバードのソード・ナイト・アーマーを手に入れてしまったことによって、二人のレベルの差が開いてしまったのだ。
「終わりにしよう。」
バアルが簡単に雷の槍を作り出す。
「死ね! サンダーバード・スピア!」
「ダメだ!? 死ぬ!?」
バアルの投げた雷の槍がシデンに飛んでくる。シデンは瞬間的にだが、自分の死をイメージできた。
「ガオオオオー!」
その時だった。口から雷を吐き出す化け物が現れて、バアルの放った雷をかき消してしまった。
「なんだ!? この化け物は!?」
「竜だ!? ドラゴンだ!?」
現れたのは、雷の竜だった。
「誰だ? 私の眠りを妨げたのは。」
雷竜は、かなり怒っている様子だった。
つづく。




