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剣物語  作者: 渋谷かな
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炎の蜥蜴

「勝負だ! サラマンダー!」

「おまえごとき人間が、この俺に戦いを挑むというのか? 身の程知らずが! 死ぬがいい!」

 炎の剣騎士のカエンは、炎の蜥蜴サラマンダーと対峙している。サラマンダーは、たかが人間が自分に戦いを挑んでくることを不愉快そうだった。

「くらえ! サラマンダー! 私の炎を、おまえに認めさせてやる! ファイア・フレイム!」

 カエンの炎がサラマンダーに放たれる。

「ふん。」

 全身炎のサラマンダーは、かわすことなく炎を自分の炎で吸収してしまう。

「なに!? 炎を食った!?」

「何かしたか? こんな小さな炎では腹の足しにもならないな。本当の炎というものを教えてやる! サラマンダー・ファイア!」

「うわあああー!?」

 サラマンダーが炎を放つ。その炎は火でできた蜥蜴の形をし、カエンの体を貫通する。

「面白い余興だったぞ。人間にしては、よくやった方だ。」

 サラマンダーは、燃えているカエンの亡骸を見ながら呟いた。


「カエン。」

「カエン。」

「カエン。目を覚ましなさい。」

 誰かがカエンに声をかける。

「う、うう、こ、ここは?」

「炎の死後の世界です。」

 カエンは目を覚ました。目の前には微笑んでいる女性が一人いた。

「フェニックス!? ということは、私は、また死んだのか?」

「はい。サラマンダーに燃やされて死にました。」

「また会えましたね。フェニックス。」

「カエン。あなたは私との約束を守ってくれました。ニコッ。」

 微笑みながら見つめ合うカエンとフェニックス。まるでカエンは自分が死んだことを嬉しがっているみたいだった。

「あなたに不死鳥フェニックスの剣騎士の鎧を託してあげたいのですが、今のあなたの実力では、私を従えることはできません。」

「そうですね。サラマンダーにすら勝てないのですから。」

「ですが、あなたと私が二人で共同すれば、きっとサラマンダーも、あなたの実力を認めてくれるでしょう。私の炎も持って行って下さい。」

 カエンはフェニックスの炎を分けてもらう。

「ありがとう。二人で手と手を取って助け合う。私は、フェニックス、あなたとならできそうな気がします。」

「私もです。では、いきますよ! サラマンダーに勝ってください! 炎の剣騎士カエンの魂よ! 甦りたまえ! リジェネレイショーン!」

「フェニックス、また会いましょう。」

「はい。私は、あなたを待っています。」

 カエンの精神体が現実世界に戻っていく。


「サラマンダー! 勝負は終わっていないぞ!」

「な、な、な!? おまえは俺の炎で死んだはず!?」

 サラマンダーは殺した炎の剣騎士が姿を現わして驚く。

「私は何度でも甦る! これもフェニックスのご加護だ!」

「フェニックスだと!? バカな!? 炎の最上位に位置するフェニックスが、おまえごときに力を貸したというのか!?」

「そうだ! 私とフェニックスの炎を味あうがいい!」

「あの小娘め!?」

「燃えろ! 私の炎! くらえ! フェニックス・フレイム!」

 カエンの炎が火の鳥の姿をして飛んで行く。

「ふざけるな! 俺はサラマンダーだぞ! たかが人間ごときに負けてたまるか! 今度こそ塵一つ残さずに燃やしてくれるわ! サラマンダー・ファイア!」

 サラマンダーが火の蜥蜴の炎を放つ。

「いけ! 私の炎! いけ! フェニックスよ!」

 フェニックスの炎が、炎の蜥蜴を切り裂いていく。

「俺の炎が!? うわあああー!?」

 火の鳥がサラマンダーに命中する。自分の炎よりも強力なフェニックスの炎に、サラマンダーは吸収できずにダメージを受けている。

「どうだ! サラマンダー! これが私たちの炎だ!」

「いいだろう。フェニックスも認めし人間なら、我が剣騎士の鎧も使いこなすことができるだろう。」

「それでは!?」

「おまえに託そう。我がサラマンダーの剣騎士の鎧を。」

 サラマンダーの炎がカエンの実を包み込む。そしてカエンにサラマンダーの剣騎士の鎧が装着されていく。

「これがサラマンダーの剣騎士の鎧!? なんという熱さだ!? 少しでも気を抜けば、私自身が燃え尽きそうだ!?」

「俺を使いこなすぐらいでないと、フェニックスの剣騎士の鎧など夢のまた夢だ。手が届かないぞ。」

「ありがとう。サラマンダー。私は、これから修行を重ねて、もっと強くなってやる。そして、おまえに認められてみせる。」

 カエンは、サラマンダーの剣騎士の鎧を手に入れた。

「姫、救世主様、みんな。私はサラマンダーの剣騎士の鎧と共に、みんなの元に帰るぞ。フェニックス、また会おう。」

 カエンは帰路を進んでいく。

 つづく。

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