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剣物語  作者: 渋谷かな
19/78

感知

「待ってろ! 姫! 俺が必ず助けてみせる!」

 救世主様は、悪夢に支配された姫の救出に向かう。

「なんだ? やけに風が強くなってきたな。まるで嵐がやってくるみたいだ!?」

「ウインド・ストーム!」

「うわあ!?」

 救世主様は、突風に吹き飛ばされる。

「これぐらいの風で吹き飛ばされるとは、救世主様とは名ばかりですね。」

「いたたたたっ。不意打ちしておいて、よく言うな! おまえは何者だ!?」

「私は風の剣騎士ハヤテ。姫を護衛する剣騎士だ。」

 現れたのは、風の剣騎士のハヤテ。

「姫を守るのが仕事なら、俺じゃなくて、姫を操っている悪夢の剣騎士と戦えばいいだろう!」

「大切な姫を人質に取られているんだ! 堂々と反抗したら、姫の命が危ないかもしれないだろう!」

「なんだよ。結局、カエンも、ウスイも、ヒムロも姫が何者かに操られていると知っているのか。」

「そうだ。だから我々は救世主様に姫の救出を託して死んでいくのだ。」

「なんて愚かな考え方だ。」

「何とでも言え! 私は救世主様が自分の思いを託せる相手なのか、また姫を助け出してくれる相手なのかを見極めるだけよ。」

「なら、もう一度、俺にウインド・ストームを撃ってこい。」

「なに?」

「一度見た、おまえの突風は、もう俺には効かない。」

「おもしろい。救世主様の実力がどれほどのものか、見せてもらおうか! ウインド・ストーム!」

「ハヤテ! おまえに教えてやる! この世界では、剣が全て、剣が最強! おまえの風は、俺の剣技には敵わないのだ! ソード・ウインド!」

「なに!? 私の風がかき消されただと!?」

 ハヤテの突風を救世主様は剣圧で吹き飛ばす。

「どうだ? これで俺の実力が分かっただろう。俺は必ず姫を助ける。だからハヤテ、一緒に姫を助けに行こう。」

「それはできません。」

「なんだと!? ハヤテ、おまえもウスイやヒムロの様に、あくまで戦うことを選ぶというのか!?」

「違います。風向きが変わりました。招かざる客が来たようです。」

「え?」

「フッフッフ。よくぞ気づいた。風の剣騎士よ。」

「嫌な風ですね。何者です? あなたは?」 

「俺は闇の剣騎士クライ。悪夢の剣騎士が早く姫を連れてこないから、あのお方が直々に姫をもらいにやって来られた。」

「あのお方!?」

「俺は邪魔になりそうな剣騎士を葬るためにやって来たのだ。」

 闇の剣騎士クライの目的は、剣騎士の抹殺だった。

「救世主様は、先に姫の元へ。こいつの相手は私がします。」

「おっと、誰一人として、あのお方の元へは行かせないぜ。」

「それはどうかな? 風よ吹け! そして全てを吹き飛ばせ! ウインド・ソード・スラッシュ!」

「そんな風、闇の中を吹く強風に比べれば、無風も同じよ! ダーク・ソード・スラッシュ!」

 互いの必殺技がぶつかり合う。

「早く! 行って下さい!」

「そんな!? おまえを置いていくなんて!? そうだ! 二人で戦えば、闇の剣騎士ぐらい倒せるはずだ!?」

「私を無駄死にする気か!」

「ハヤテ!?」

「救世主様! 姫を頼みましたよ!」

 風の剣騎士ハヤテの決意が救世主様に伝わる。

「分かった。必ず姫は助ける。死ぬなよ。ハヤテ。」

「ありがとう。救世主様。」

 救世主様は先を急ぐのだった。

 つづく。

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