些細な一言
些細な一言で、簡単に、全てを失える。
言ってしまおうか。
今ある幸せを、全て谷底に突き落としてしまおうか。
震える手で、文字を打ち込むのは、この衝動を抑えるためか。
それとも決意の現れか。
簡単に壊れる。築き上げてきたもの全て。
全てをさらけ出して生きてなど行けぬ。
だから抑えていた。その衝動。
完全なる敗北を味わわせ、奈落の底へ落としてやろうか。
私には出来る。私なら出来るんだよ。簡単に。
本当は、何も、築き上げてなどいない。
上部だけ、取り繕って出来上がったガラクタにすぎない。
そんなガラクタなど、いらない。
意味などない。意味があるものなどこの世にはない。
何処にもない。全ては無意味だ。
そこにあるのは、自分勝手な解釈だけだ。
都合よく切り取って、当てはめていく人生のパズルだ。
額に収まるように当てはめようとするから無理がでる。
始めから、その綺麗な絵柄に当てはまるハズもない私が組み込まれたから、全てがズレた。
私を外して全てを作り直せ。一から作り直せよ。
些細な一言で、一瞬でバラバラに出来るよ。
もう、このパズルは、完成しない。
やり直しだ。全て。全て。何もかも。やり直せ。やり直せ。
言ってしまおうか。些細な一言を。
言わずに踏みとどまるのは何故だ。