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ーポール、はじめての生地作りー



----*----*----*----*

<迂回>

迂回(うかい、「迂」の文字が常用外漢字のため、う回とも表記)とは、本来の道を行かず、特定の場所を避けて(または通ることが不可能な時に)遠回りすること。また、その際に通る道のことを迂路、迂回路、回り道等と呼ぶ。鉄道・道路でもこの言葉が使用される場合もある。

----*----*----*----*


ダノ

「ヤギの製造工場で

ヤギが産まれるって、みに行く?」


ポール

「ああ、ポテヤギか、おまえみてこいよ」


ダノ

「お花をあげよう!ブルースターを持って行くよ!

開店準備よろしくね」


ポール

「なあ、ダノ、」


ダノ「ん?」


ポール

「俺が死んだら花じゃなくて、

トルコキキョウや薔薇じゃなくて

石で飾ってくれないか?」


ダノ

「オーライ、わかったよポール、

朝からロックすぎるよ」


ポール

「そして、祈らないでくれ」


ダノ

「オーライ、

パンクロッカーさん、行ってきます」


アンディ

「でもそうしたら、

重すぎて地球の裏側まで突き抜けて宇宙に行っちゃうよ?」


ポール「そうかもな」



アンディ

「ごめんね、僕、宇宙飛行士になれなくて

パパラッチじゃなくて宇宙飛行士だったら

宇宙に飛ばされたポールを助けられたかも」


ポール

「いいんだ、なりたいものになれば、大丈夫」


ポールは人差し指でアンディのおでこにLの文字を書いた


アンディ

「どうしていつも僕のおでこにLを書くの⁇」


ポール「さあな」

ポールははにかんでしらばっくれた


ポールは自分の分とアンディの分と

奥のボックス席でまどろむオスカーの分の

オレンジジュースをグラスに注いだ


ポールは深呼吸をして厨房に立った


アンディ

「ポール、何か作るの⁈」


ポールは人差し指を口に当て秘密の合図


アンディ「⁇」


ポール

「えーっと…」


小麦粉をそのままボールにザバーッ

調理油、イーストを適量

お湯を何度かに分けて入れ

捏ね、ひとかたまりの

大きな丸い生地ができた




ポール

「少し寝かせてっと…

よし、アンディ、トランプでもするか⁈」


ー30分後ー


ポール

「わー!また負けたああ!」


アンディ

「あはは!また僕の勝ちだ

ポールは弱すぎるよ」


ダノ

「ただいま〜」


ポール

「おかえり、工場はおもしろかったか?」


ダノ

「ヤギ可愛かったよ、アンディとポールも来ればよかったのに」


アンディ

「今度みにいく!」


ダノ

「アンディはほんとにポールっ子なんだから」


ポール

「ははは」


そう言うと、ポールは

小分けにした生地を伸ばして

熱した鉄板に並べた


ダノ

「え⁈何作ってるの⁈」


ポール「…バンズ」


ダノ

「えーーーーー‼︎」


ポール

「すべての女性は薔薇だと思う…

俺はプロムキングだったが今じゃ

しがないハンバーガーショップの店員」


ダノ

「やばい、ポールが自分語りモードに突入しちゃった!」


ポール

「かつてのプロムクイーンは今じゃ農園に嫁いで

プラムクイーン」


ダノ

「ババババーガーキングになろうよ!自信ないけど!」


ポール

「今じゃ彼女もなく、

ぷにょぷにょ戦隊のお世話になってる」


ダノ

「頼もしいじゃないか!なんかわからないけど」


アンディ

「その人たちは戦うの?」


ダノ

「アンディはまだ知らなくていいよ」


アンディ

「アンディこれだけは言える、彼女たちは戦っている」





ぷくっと膨れ上がった不揃いの形のバンズが焼きあがった



ポール

「なんじゃこりゃーーー」


ダノ

「お世辞にも綺麗なバンズとは言えないね」



オスカーが静かに立ち上がり厨房にやってきた


文句を言いだすのかと思いきや、

ひとくちバンズを食べると何かひらめいたような表情






オスカー

「…かつて、わしもプロムキングじゃった」



ポール、ダノ、アンディ

「えーーーーー‼︎」





ポール

「厨房を借りるぞ」


そう言うとオスカーは缶詰が積んである棚から

トリッパの缶詰を取り出し

フライパンで温め始め、

無造作にじゃがいもとにんじんの皮をむき

ざく切りにすると別のフライパンで炒め

トリッパの中にぶっこんだ

水を足し、塩コショーで味を整え煮ること数十分



ポール

「俺たちも食べてみよう」


もぐもぐもぐ


ダノ

「あ、美味しい!

美味しいけど、バンズではないね

なんて言うんだろう…」


アンディ

「美味しい!

でもすごい歯ごたえ、僕の母さんは食べられない」




オスカー

「フォカッチャじゃ」


トリッパを3人分、小皿に分け入れた




オスカーは無言で小麦粉の袋を指差した


そこには強力粉の文字


ポール

「あちゃー」


ダノ

「薄力粉じゃなかったんだね

ちなみに普段のバンズも食べてみよう」



ーいただきますー



ポール

「…うまい、このスープいけるよオスカー!」


ダノ

「やばい、めっちゃ美味しいじゃん」


アンディ

「母さんにも食べさせたい!

母さんの分、タッパーに分けてもらえる?」



ダノ

「…僕、思うんだけど、

サイドメニューをオスカーに作ってもらうのはどうかな?

野菜たっぷりごろごろスープとかいう名前でさ!」


オスカーは胸の前で腕を組み、一息置いてつぶやいた


オスカー

「乗りかかった船じゃ」








ーいつものバンズー


ポール

「おええええ‼︎石が石化したみたいだ‼︎

違う、石が石化⁈とにかく石みたいだ‼︎」


ダノ

「ゲボォ‼︎軽石食べてるみたい‼︎

モサモサにも程がある…

こんなの毎日食べてたの⁈」


アンディ

「僕と母さんは週末だけ食べているよ?」



オスカーは満足げな笑みを浮かべた

その横顔はかつてのプロムキングそのものだった













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