表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/54

蒼空

「サイは目がいいんだよ。鷹の仲間だからな。空の高い所から草むらの小さな野鼠だって見つけ出すんだ……」

 ユキの隣に転げたアルスがユキに話し掛けた。


 窓辺の止まり木に彫刻の様に止まっていた〈サイ〉が、自分の名を呼ばれたと思ったのか

首を傾け「ピュリピュリ」と鳴いた。


「だから空の見える所にいろよ。きっと見つけられるから」


 ユキは寝ころんだまま窓辺のサイからアルスの方へと向き直った。

「――――つまり私が迷子になるってこと? いい大人なんですけど?」

 ユキが頬杖を付く。


「迷子になるだろ。いい大人なのに落ち着きが足りないから」

「オーケー、わかったわよ」

 コロンと転がってユキはアルスにぴったりとくっついた。

「ほら」ユキがじっとアルスの瞳を見つめた。

 アルスの明るく蒼い瞳は、サマルディアに広がる空の様に綺麗だ。

「空の見えるとこ…………ねぇ」

 ユキが含み笑いをする。


「お前な……」と言ってアルスはユキに覆いかぶさった。

「真剣に聞いてないだろ!?」

「真剣に聞いてるったら!」



 ――――――ユキが天を仰ぎみる。

 背の高い木々が鬱そうと空を覆いつくし、その陰にユキは埋もれているようだ。

 

 どこまで行けば空を見る事ができるのだろう?

 

 このまま大地に沈み込み、ユキは永久に蒼空を失ってしまうような気がした……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルーセント・ムーンの獣→「未完のレガシー」→彼方からの手紙・・・1作目「ルーセント・ムーンの獣」2作目「未完のレガシー」3作目「彼方からの手紙」になります。よければシリーズを通してご覧ください。 ドラゴン・ストーン~騎士と少女と失われた秘法~新作もよければご覧ください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ