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8.奴隷会議

 私の名前はチャルナ。


 獣王様が束ねる獣人の国。

 獣王国ガルガルガ。


 私は巫女候補だった。


 生まれが平民だったこと。

 自分で言うのもなんだが、優秀だったことで貴族の巫女候補に目をつけられでしまい、奴隷になった。


 貴族の巫女候補。

 もう巫女になってるだろう女は、王子の婚約者であった。


 私は巫女になりたかったわけじゃなかったけど、育ててくれた両親に少しでも恩返しができるならと、巫女の教育を真面目に受けていた。


 真面目な態度と優秀さから、周りからは巫女になるのは私で確実なのではないかと噂されていた。


 それまで巫女に一番近い存在だったあの女が私を蹴落とそうとするのは当然だったのかもしれない。


 あるはずのない噂や、それを証明する証拠が私の前に並んでいた。


 これで解放されるのかと言う気持ちと、両親に申し訳ない気持ちで牢に入った。


 私の教育係であった人のおかげで、王国に店を持っている奴隷商人のミコトさんのところに売られることとなった。


 私には巫女の知識があるため、口外しないよう呪いがかけられている。

 解くことができるのは獣王様だけとのことだ。


 巫女の知識なんて必要ない。

 私が欲しいのは強くなるための知識だ。


 私が小さい頃に見た。

 あの冒険者のように強くなりたい。


 だからあの冒険者に似たご主人様と目があった時。

 この人となら強くなれると思った。


 お調子者のマサと一緒というのは不安だが、ご主人様が選んだのだ。

 何かしら使えるのだと思う。






 俺の名前は蒼咲 正也。

 気軽にマサって呼んでくれ!


 俺は滋賀生まれの滋賀暮らしをしていた高校生!

 のはずなのだが、気がついたら檻の中にいた!


 正直焦った! 拉致!? 監禁!? まさかエロ同人的な展開!? と。


 まあエロ同人的な展開はなかったのだが、ミコトさんによると行き倒れていたらしい。


 なんで檻の中にいたのかというと、ミコトさんが奴隷商人だったからだ。

 とは言っても俺は奴隷になったわけではなく、馬車に空きがなかっただけだった。


 しかし行くところもなければ、金もない。

 魔物がいるっていうこの世界で戦う力もない俺が生きるためには奴隷になって、ミコトさんから生きる術を学ぶのが良い選択ではないかと思った。


 一番驚いたのは奴隷とは思えない暮らしだった。

 1日三食の食事とこの世界についての教育。

 護身術として剣術を習ったりもした。


 小さい頃は弓道をやっていたが、男なら剣で魔物を倒すのがロマンだと思ったので剣術を習っていた。


 ご主人様ことアドさんに買われたのは、この世界に来て1ヶ月ほど後のことだった。


 面接みたいなものでミコトさんにも言ってなかった「この世界」と言ってしまった。


 おかしな奴だと思われて買われないかと思ったが、ルナちゃんと一緒に買われることになった。


 奴隷からのスタートではあるが、ここから俺の物語は始まるんだとウキウキしている。


 アドさんの目標はランクS。

 この人についていけば俺もランクSに、英雄なんて呼ばれたりするかもしれない!


 弟のようなオーギス、フィーちゃんやルナちゃんという可愛い仲間。

 お父さんポジションのアドさんと一緒に頑張りますか!


 ちなみに、ご主人様であるアドさんには言う予定である力を持っていたりする。


 鑑定。俺はそう呼んでる。

 ミコトさんが嘘を見破る力と嘘がつけない力を持っていることを知っているし、アドさんが45歳であることも知っている。


 この力に気づいたのはミコトさんのことを知りたいと思った時だ。

 騙されるかもと思っていたからな。


 ミコトさんが嘘をつけないことがわかったので提案を受け入れた。

 でなければ奴隷になんてなりたくないだろう。常識的に考えて。


 アドさんと2人っきりになった時にでも告白する予定だ。


 ここだけ読むと違う告白に見えるが、違うからな!


 俺はちゃんと女の子が好きだからな!






「第一回。奴隷会議を始めます。

 進行は一番奴隷のフィーが務めます。

 よろしくお願いします」


「「「よろしくお願いします」」」


 主人であるアドが眠っている夜。

 奴隷である彼女たちは一階にある倉庫となる予定の部屋に集まっていた。


「今回は皆さんのことを知るための会議です。

 明日は迷宮に行くとご主人様はおっしゃられていましたので、誰が何をできるのかを知っておかなくてはなりません」


 一同が頷いたのを確認してフィーが話し始める。


「まずは私から。基本的に魔法を使います。

 攻撃魔法と治癒魔法が使えます。

 得意な攻撃魔法は水です。

 治癒魔法には自信があります。

 以上です」


「次は俺? えっと、二番奴隷? オーギスです。

 得意なことは大剣で魔物を真っ二つにすることです。

 あと力が強いです。以上です」


「では次は私が。三番奴隷のルナです。

 魔物とは戦ったことはありませんが、剣術をそれなりに使うことができます。

 基本的に一撃離脱の繰り返しになると思います。

 魔法も使えないことはありませんが、威力は高くないので剣術との組み合わせで使うことがあります。

 以上です」


「じゃあ最後は俺だな。四番奴隷のマサだ。

 お兄ちゃんって呼んでもいいぜ!

 ルナちゃんと同じく魔物とは戦ったことはない。

 1ヶ月ほど剣術を習った程度だ。

 足を引っ張ることになるだろうと思うが、精一杯頑張るのでよろしくお願いします」


 小一時間ほどで奴隷たちの会議は終わった。


 明日の迷宮攻略でアドは驚くことになる。


 会ったばかりの奴隷たちがしっかりとカバーしあって迷宮を攻略して行く姿を目にしたからだ。


 アドはあと数日もあれば1の迷宮を攻略するだろうと予想した。


 しかしこれからだ。


 2人一組で1の迷宮を攻略することが奴隷たちの課題だとアドは考える。

 理想は1人での攻略だと。


 2人一組で1の迷宮を攻略し終えれば2の迷宮の攻略が始まる。


 数日後、奴隷たちが1の迷宮を攻略した。 


 アドから話があると集められた奴隷たちに「10日以内で1の迷宮を2人一組で攻略するように」と、命令が下る。

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